キャバクラなんて異世界もおなじ!
ひのえ
第1話 新人ぼーいはおとこのこ?
酒蔵からシャンパンをもって出てきた長身のウェイターはこちらに声をかける。
「モエピン出ますので・・・グラスとクーラーお願いします。」
「はっはい!」
僕はグラスを用意しつつ横をちらりと見た。
妖艶な雰囲気の男はシャンパンのラベルをはがし留め金をするすると解いていく。急にこちらを向いたかと思うと目を合わせてほほ笑む。
「そんなに気になりますか?」
「―――ッ!」
僕は顔が熱くなるのを感じ、目をそらした。
一部始終を見ていたガタイのいい犬耳の店長はいたずら好きの少年のような顔で叫んだ。。
「導入はこの辺でいいだろ!女の子回せないから早く出しちゃって!」
僕は大学に入り決意した!
僕は男らしくない。小学生では女の子に間違われ続けるし、中学校では女の子に間違われて告白されるし、高校なんか悪ふざけで文化祭3年連続で女役の劇をやらされた・・・
僕は変わるんだ!そのためには男らしいバイトに入って力をつけるんだ・・・僕はいろいろなバイトに挑戦した!
まず建設!やっぱり力がないとだめだよね。
結果・・・力がなさ過ぎて足場一つ持てない・・・しまいにはめちゃくちゃに車誘導しちゃって怒られて首になった・・・だめだ・・・
次のバイトは引っ越し!これなら2人で運ぶから難易度下がるはず!
結果・・・家具のガラス割っちゃって以来ずっと梱包に・・・しまいには段ボールもたせてもらえなくなって仕事のメールが来なくなった・・・梱包は評判よかったのに・・・
次々!力を使うんじゃなくて、もっとこうかっこいい感じでいこう。
ということで次はバーテンダーに!
結果・・・気づいたらゴミ捨て場に上半身の服ズタボロになって寝てました。意外とゴミ袋って温かいんですね・・・次の日職場に行くと店長さんから
「君接客はすごくいいんだけどちょっとお酒辛そうだから・・・やめた方がいいかもね・・・?」
そんなこんなで何やってもダメな僕は気づけは2年たっていた。
僕はバーをクビになった帰り道でふと怪しいお店の横にある求人誌を手に取った。そこには色々な怪しい仕事が乗っており時給が高いものばかりだった。ぜひ読者さんも一度は手に取ってほしい。実際に風俗街の横にあるので。ふと目に留まる求人があった。
『お酒飲めなくても力がなくてもおっけー‼ラウンジボーイ募集!君もけもみみやエルフと一緒に楽しいキャバクライフ!』
これなんかぴったりじゃないか!それに時給も2000円だし・・・?ここで稼いで服やらネックレスやらで男らしくなれば・・・!
面接は随時と書かれていたので早速電話してみた。
prrrrrrr・・・ガチャ
「ありがとうございます。ラウンジEveのまがみと申します!」
通りの良い声が電話から流れた。
「あ、あの・・・!」
僕は働きたいというのが場違いなように感じてあたふた。
「はい!もしかしてご指名キャストの出席確認ですかー?」
「い、いえ!じ、実はその・・・求人誌を見まして!」
「あ、そうだったの!あっはっはっは、ごめんなさいね。面接したいんだけどいつ頃来れそう?」
急にフランクになり、ぼくもほっと胸をなでおろす。
「明日でも・・・!なんなら今からでも大丈夫です。」
安心と共に湧き上がってきたやる気と自信はすぐに消える。
「そうなの?じゃあ今から来て!」
「わかりました。え⁉今からですか⁉」
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