ここは剣と魔法の世界
私がキッパリと断ると、断られると思っていなかった三人が驚いて口々に言ってきたが全部無視!
中にはこんな街外れの街道沿いで、女性一人で暮らしているのは危ないと心配されたけどそれも無視!
むしろ夜に女性一人の家に男三人が居る方が普通危ないと考えないのか?
そう思いながら、明日の仕込みが忙しいのと国にも帰らないので、とっとと国に帰って下さいと家から叩き出した。
────それが一週間前の夜の事。
「・・・ねえ、サラちゃん・・・あのローブの三人組毎日来てるけど、大丈夫?」
「・・・・」
いつものカウンターに座ったロブさんが、小声で窓際の四人掛けのテーブル席に座る三人を、怪訝な様子で見ながら言ってきた。
はぁ~。
チラリと三人を見て小さくため息をこぼす。
「・・・あの三人は一応知合いなので、大丈夫です。まあ、飽きたらそのうち来なくなるでしょう」
「サラちゃんがそう言うなら良いけどさ・・・」
まだ怪しむ表情をしているロブさんに苦笑しながら、例の三人の所におかわりの紅茶を運ぶ。
「おかわりの紅茶です」
「あぁ、ありがとう・・・その、サラステ」
「『サラ』です!」
ニッコリと有無を言わせない笑顔で答える。
「すまない、サラ・・・さん、この後時間空いて」
「無いです!」
「でも、義姉さ」
「追加の注文ですか?」
「・・・話」
「無いようですね?ではそれを飲んだら・・・とっととお帰り下さい」
さらに笑顔で殿下達の言葉を被せる様に切り、最後の一言は小声で低く三人にだけ聞こえるように言ってやった。
どれだけ粘っても帰らないから!いい加減国に帰れ!!
カランコロン
「いらっしゃいませ」
入り口が開く音がしたので、笑顔で振り向くと、
ドカドカドカ
明らかに人相の悪い盗賊風の5人の男達が入ってきた。そして、
「おらぁ!命が欲しかったら金目の物を出しやがれ!」
ズカズカと店内に入ってきた盗賊風の男達は、その見た目の通りの行動をする。
ガタッ
チラリと横を向くと殿下達三人が椅子から立ち上り、今にも行動を起こしそうだったので私は手でそれを制した。
流石にここで殿下達に動かれても、正直後がめんどそうなので本当に止めて頂きたい。
殿下達は何故と言う表情をフードの下から覗かせたが、それを無視して私は盗賊風の男達の前に出る。
「すみませんが、私の店で騒ぎを起こすのを止めて頂けませんか?」
声を掛けた事で盗賊風の男達のリーダーらしき人が私を見てきた。そして私の姿を上から下まで舐めるように見てニヤリと口角を上げて笑う。
「お前がここの店主か、なら売上金全部と店に居る客の金と・・・お前を頂いていくとしよう!こんな上玉そうそう見付からないからな。相当高く売れるぞ。まあ、売る前にちょっと色々楽しませて貰うがな。くくく」
周りの男達もイヤらしい笑いをこぼしながらこちらを見てくる。
「・・・もう一度申し上げます。私の店で騒ぎを起こすのを止めて頂けませんか?もし聞き入れて貰えないようでしたら・・・後悔しますよ?」
「何をごちゃごちゃ言っている!良いからこっちに来い!」
「・・・はぁ~忠告はしましたからね」
男が私に手を伸ばして来たのを確認して、サッとしゃがみ込み素早く男の腰の剣を抜いて柄で男の腹に一撃を喰らわす。
「うげぇ」
男は呻き声を上げて前のめりに倒れこんだ。
周りで唖然となってる男達の背後に素早く回り込み、剣の柄で後ろ首に一撃を与え、続けて二人気を失わせていく。
ハッと我に返った残りの二人がそれぞれ剣を抜いたが、私は怯むこと無く剣を捌き一人の男の手を切りつけて剣を落とさせ、その隙に男の腹に膝蹴りを入れて気を失わせた。
最後の一人は背後から剣を振り上げて来たが、素早く振り返って剣で受け止め腹を蹴り飛ばし、お腹を押さえている所を首に一撃を食らわしてこちらも気を失わせた。
「・・・く、くそー!こうなれば他のやつを捕まえて!」
「きゃぁーーー!」
リーダーらしき男はまだ完全に意識を失っていなかった様で、近くにいた女性のお客さんを捕まえようと手を伸ばす。
「お客様には手を出さない!」
そう私が言い放ち手をかざす!
「なっ!」
すると、女性の前に透明な障壁が現れ、男はそれ以上近付く事が出来なくなった。その間に私は男に近付きその肩に手を置いて、
「ぎゃぁーーーーーーー!!」
男の体に気を失うぐらいの電流を流し、男はそのまま床に崩れ落ち意識を失った。
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