再会
掴んできた人を見上げ、その顔を見て驚く!
「ま、まさかユリウス殿下!?」
私がそう驚きの声をあげると、その人はローブのフードを外した。
やはりその顔は半年振りに見るユリウス殿下。
その表情は何かを堪えてる様に辛そうだ。
「どうしてここに・・・?」
「・・・ずっと君の事を探していた」
「え!?」
なぜ?殿下が私を?探していた理由が思い浮かばないんだけど?
不思議そうに殿下を見つめていると、
カランコロン
再び入口の扉が開く音がして、そこからローブを纏いフードを被った二人が入ってきた。そして・・・
「義姉さん!」
そう言いながらフードを外した人を見て更に驚く!
「ヒューイ!貴方も来てたの!?」
ヒューイ・アズベルト 16歳
金茶の髪に蒼い瞳の美少年。
ヒューイが7歳の時に、その能力を見込まれアズベルトの分家から本家に養子に入ってきた私の義弟。アズベルト公爵家の次期当主。
「・・・なら貴方は」
私はもう一人のローブを纏った人をチラリと見つめると、その視線に気付きフードを外した。
「・・・・」
「やっぱり、アラン様」
アラン・ロズウェル 21歳
黒髪に黒い瞳の寡黙な美青年。
ロズウェル侯爵の次男でユリウス殿下の近衛騎士隊長。
ユリウス殿下とは同い年で幼馴染の仲。ユリウス殿下と婚約していた小さい時はよく三人で一緒に過ごした事もあった。
「皆様お揃いで国外のこんな所に、一体何しにこられたのですか?」
そう言い、まだ掴まれたままだった腕を振りほどいて三人を見回す。
「・・・義姉さん、実は・・・」
「ヒューイ良い、私から話す」
「・・・はい」
義弟が話しだそうとしていたのをユリウス殿下が止め、私に真剣な表情で向き直る。
「サラスティア、君に直接話したい事があって来たんだ。話すと長くなるが・・・」
「では、話が長くなるのでしたら先に閉店作業しても宜しいですか?」
「あ、あぁ」
話の腰を折って驚かせて悪いけど、とりあえず時間が遅いから店を閉店させたいんです!
お店の閉店作業を終え、2階にある住居スペースのリビングに三人を案内した。
ユリウス殿下にはソファに座って頂き、二人にも向のソファを勧めたが断られ別で椅子を用意する事に。最初アラン様は座るのを断ってきたが、立っていられると私が気になるのでと言って渋々座ってもらった。
私はいつもお店で出している紅茶をそれぞれにお出しし、真ん中の机に店で余ったクッキーを皿に乗せて置く。そして自分の分の紅茶を用意して空いている殿下の向のソファに座る。
「・・・美味い!」
「美味しい!」
「・・・美味しいです」
「ありがとうございます」
ユリウス殿下達は私がお出しした紅茶を一口飲んでそれぞれに驚きながら誉めてくれた。
「これは君が自ら淹れたのか?」
「ええ、いつもお店で淹れてお客様に出していますから、このクッキーも手作りでお店に出している物です」
「・・・これも美味い!」
殿下はクッキーも食べて誉めてくれた。
やっぱり作った物を美味しいと言われると嬉しいな!
嬉しくてニコニコしていると、殿下が不思議そうに私を見てくる。
「しかしサラスティア、君はそんな表情も出来たんだな・・・国に居た時はそんな表情を見たことが無かったよ、それにその姿・・・」
私の今の姿は髪をポニーテールにし、青いチェック柄のワンピースと白いフリルの付いたエプロンを着ている。
「この方が動きやすいんです・・・似合いませんか?」
「・・・いや、よく似合っている」
小首を傾げて聞いてみると、殿下は少し横を向いて口許を手で被いながら答えてくれた。なんだか少し顔が赤い様に見えるけど気のせいかな?部屋暑かったかな?
あれ?そう言えば、あれから半年たったからそろそろ殿下とマリアンヌ嬢の婚姻式の時期のはずでは・・・主役がこんな国から離れた所に居て良いの?
「そう言えば殿下、そろそろマリアンヌ様との婚姻式のはずでは?こんな時期に何故殿下自らこんな所に?」
「っ・・・それは・・・」
何故か言い淀み辛そうに俯く。
「・・・やはり僕から義姉さんに説明をしましょうか?」
「いや、私の罪だ、私から彼女に説明する」
罪?
私が疑問に思ってると、殿下は顔を上げ意を決したように此方を見つめてきた。
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