念願の庶民生活!

───あれから半年






カランコロン




「サラちゃん、いつものセット宜しく!」


「は~い!」




ここは、とある国の街から少し離れた街道沿いに有る2階建ての小さな喫茶店。


私はあれから着ていた貴族の服や自分の私物を売り、そのお金と持っていたお金でこの家を買った。街から離れていたこともあり結構格安で買えたのだ!


そして、1階を喫茶店にして只今営業中。


前世でお菓子作りも趣味だった為、そのレシピと貴族の時に飲んでいた紅茶の知識もあって、前世の時に夢だった喫茶店を始めた。


最初はなかなかお客さんが来てもらえなかったけど、根気よく街の人や街道を歩いていた旅人に手作りのお菓子を食べてもらって宣伝してたら、次第に口コミが広がって今では常連客が沢山いる程繁盛してます。




「はいロブさん、いつものケーキセットです。今日のケーキはチーズケーキですよ」


「おお!サラちゃんのケーキはいつも美味しそうだな!」




カウンターに座った常連客のロブおじさんが嬉しそうに、紅茶とチーズケーキを見ている。




やっぱり、令嬢辞めて庶民になって良かったな~。こんな風に私の作ったお菓子を喜んで食べて貰えるのは本当に嬉しい!




店内を見回すと、他のお客さん達も嬉しそうに私の作ったお菓子を食べて紅茶を飲んでくれている。


私はその様子をニコニコしながら眺ていた。








───日が沈みかける夕方。




さて、そろそろ閉店でもしようかな。




そう思い、お客さんの居なくなった店内で閉店作業を始めた。




カランコロン




あら?こんな時間にお客さんなんて珍しい。




不思議に思いながら入口の方を見てみると、ローブを纏いフードを目深に被った背の高い人が一人立っていた。


ちょっと怪しく感じたけどここは街道沿い、たまにこんな旅人も来るので気にしない事にする。




「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ」




そう微笑んで、厨房に水とおしぼりを取りに向かおうとしていきなり腕を捕まれた。




「・・・ようやく見付けた」


「え?」

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