暗器屋さんとチンピラごぼう[2]
「着いたねー」
「そうですね」
「そうね」
「ここが例のヤっさんの本拠地ですか?ここ普通のオフィス街ですよね?」
店主に連れてこられた場所がどう見てもみんなが真面目に働く社蓄の王国だ。
「今流行りのエリートやくざだと思うよ」
「ほぁー、そんなんいるんですか」
「まあ、最近警察の皆さんの取り締まりがきついからオラオラするのは得策じゃないとか思ったんじゃないかな。その分悪質な詐欺とかが増えてるけどね」
店主が急に饒舌に話始めた。
よく知ってんな…本当にあんた何もんだよ、店主…
「ってこの前テレビでやってたよ。みんなも情報収集は重要だからニュース見ようね!」
普通の人間でした。すぐに答え出ました。
「はいはい、ニュースは大切ね、そういうの後で良いからはやく潰しましょう」
「おーい待ってシオンちゃーん」
シオンはまだイラついている様子で店主の言葉を無視して一人ビルの入り口に進んでいってしまった。
「危ないよー!シオンちゃーん!」
店主はそう言うとポケットからボタンを取りだした。
「店主、それ何です?」
「これ?」
佐々木が店主に聞くといたって普通に答えた。
「爆弾のスイッチ」
店主が押した。そのとたん目の前にあったはずのやくざビルが消えた。正確に言うとジェンガのように横に倒れず、地盤沈下のように崩れたのだった。
「うべぇー、爆風爆音すっご」
「いきなり起爆はないですよー」
「ごめんごめん、でもけがしてないよね?大丈夫?あ、シオンちゃん飛んでった」
生まれて始めてビルの解体現場に立ち会ったけどこんなの外国ではガンガンいこうぜしてるとかなー。
「爆弾の設置は店主がやったんですか?」
「違うよ」
「え?じゃあ誰が設置したんですか?」
「うーん、後で説明するよ」
「『中根商店』の協力者って何人いるんですか?」
「結構いるよ。協力者うひゃっ!」
「ちっ!避けやがったか…次で仕留める」
誰よりも至近距離で爆風を喰らった小柄なシオンが復活していきなり店主にアサシンアタックを繰り出した。
「まあ、そうなるわな」
「そうですね、あんなに爆破技術が高くても事後報告じゃあこうなりますよね。あ、警察が来ましたね」
「そうだね」
「「ずらかりますか」」
1時間後
やくざビルを爆破してキンピラのバックを一撃粉砕、組織解体、そしてシオンさんによる店主への鉄槌を終わらせた傘喰たち一行は本命のチンピラ集団のアジトがある裏路地の雑居ビルの前に来ていた。
「今回も爆殺でいいんじゃないですか?」
僕がそう言うとシオンと佐々木が急に噛みついて来た。
「傘喰、あんたまさか殺して「はい、ハッピーエンド」って思ってるの?」
「何ですか何ですかぁ!まさかそんなに優しく済まそうなんてぇ!」
シオンとクリムゾン佐々木はえぐい勢いで捲りたててくる。
「はい、はい、落ち着いて。佐々ちゃんシオンちゃんそういうのはバカどもにぶつければ良いからね?行こうか」
「「むぅ…」」
佐々木とシオンはまだ言いたいことがありそうな様子で頬をふくらませていた。まあ、無視するけどね。
雑居ビルに入ると落書きがそこらじゅうに書いてあった。
「こういうのが芸術っていうんですかね」
「こういうのが芸術っていうんだったらこんな世界即座にぶち壊すよ」
他愛ない会話をしていると階段が見えてきた。
「ここからは上と地下のふたてに別れて行動しようか」
じゃんけんで決めるようだ。
「みんないいかなー」
「「「「じゃーんけーんぽん!」」」」
傘喰佐々木シオン店主の順番でグー、パー、チョキ、ピストルとなった
「店主、子供っぽいことしないで下さいまよ。」
「店主、あんたこの中で一番年上なのよ」
「え、そうなんですか?店主って何歳ですか?」
「店主の年齢は…」
「ちょっと待って!いまじゃんけんの話してるんだよね!?」
僕にも気になる店主の年齢をシオンさんがスルッとエブリ県〇カミングアウトしそうになったのを店主が止めた。
「そういう風にしていかないと進まないんですよストーリーが」
「…何だかこの世界の真理に近づいた気がするよ」
「何かどうでもよくなってきたんでアジトに突撃しませんか?地下にあるんですよここ」
佐々木が僕と店主の下りに飽きたらしくいたって普通に言ってきた。
「何で知ってるの?佐々ちゃん」
「いや、まあ。先代のチンピラリーダーを絞めたんですよ」
「「「ええと、よろしくお願いします!佐々木のアネキ!」」」
「おう、ついてきな」
佐々木はいつもの柔和な表情からキリッとした顔に変わった。
「「「佐々木のアネキ…いや、アニキ!一生ついていきやす!」」」
「そういうのはやめだ。気楽にいくぞ!」
「「「はいっ!」」」
この後、結局傘喰達一行はチンピラビルで暴れすぎて爆発、粉砕してしまったのは別のお話。
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