暗器屋さんとチンピラごぼう[1]
「ありがとうございましたー」
店から金髪のチンピラ風の男が『中根商店』から出てきた。
「はぁ、今日の仕事は少しめんどくさいよ」
店主が珍しく自分から先程の客について話し出した。こういう時はたいてい代行サービスのほうでテンションが高いのだが、今日は珍しくテンションが低い。相当めんどくさいのが相手なんだろう。
「誰ですか?相手は」
店主のいつもとは違う様子に佐々木も気づいたようだ。
「今回の相手はYAKUZAさんがバックについてるキンピラ集団なんだよ。ちなみに依頼者のアニキがその組織に目をつけられて殺られたけど自分達だけでは仇がとれないから僕たちに頼んできたらしい。」
ヤっさんがついたキンピラ集団は確かにめんどくさい。キンピラ集団だけだったらバットもってゲバ棒もってあ"?ってやってるだけだから僕だけでもフルボッコにできるけどヤっさんはちまちま日常生活にも来るからめんどい。怖い怖ーいてっぽうをチャカチャカしてくるし。
「この依頼はあんまり得にならないわよ。兄貴が簡単に殺られる程度のキンピラに金があるはずないしヤっさんがついてるとかめんどくさすぎ、私は降りる」
今まで黙っていたシオンが口を開いた。シオンが言っていることはあっている。僕と佐々木も同じ事を考えていたようで何も言えなかった。しかし店主はニヤニヤしていた。
「ふっ!シオンちゃん…甘いよ甘すぎるよ!でっろでろの砂糖菓子よりも甘いよ!」
「でっろでろの砂糖菓子ってなんだよ地味に気になるんですけど…」
「何か裏にあるの?ただの依頼者への同情で決めたと思ってたけど」
「まあね、依頼者の父親の会社がそんな大きく無いけど現在進行形で右肩上がりらしいんだよ」
シオンが今までの呆れたような顔から目の色を変えた。
「ほう、詳しく」
「ごめん、このぐらいしか分からないんだ」
「けっ!使えねえな!ムカついてきた、キンピラ集団をごぼうに戻してくるわ」
シオンが八つ当たり気味に机に手をつくと何も掛かってない宇宙船の壁が回転して様々な銃器が掛かった壁になった。
「なんすかその機能は…」
「これ?元々あったわよ」
店主にアイコンタクトで真偽を聞いてみると「知らない」と返ってきた。
これもまたぽんぽんの仕業かよ…
「そ、その壁はいいとしてみんなこの依頼は受けると言うことで良いね?」
かなり無理矢理に店主は依頼の話に戻した。断ったらシオンが一人で切り込んで行ってしまうから危ない(主に相手側が)から僕たちがブレーキ役でついて行かないと。
「うん、何も言わないということは了解ということでいいかい?じゃあ、みんな準備してねこれから行くよ」
「え?今からどこに行くんですか?まだチンピラは活動しない昼間ですけど」
へー、やっぱチンピラって夜行性だったか
「佐々ちゃん、誰がキンピラを潰しに行くなんて言った?先にヤっさんから潰すんだよ」
そう言って店主は準備するために店の奥に入って行った。
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