暗器屋さんとデュエリスト
「「「「ありがとうございましたー」」」」
今日も気の抜けたような声が響き渡る。
ここは誰が見ても口を揃えて「うわぁ、田舎」と思わず呟いてしまう程に山に囲まれた場所。『中根商店』
一見、外装は昔ながらの駄菓子屋に見えるが扱っているものはお菓子などと優しい物ではなく復讐をしたい、しなければならない、と考える人への武器、暗器、兵器の販売、貸し出しを取り扱っている『裏』系の店だ。そんな店の黒髪の高校生程の店員、僕、傘喰が店のカウンターで伸びながらぼやいた。
「今日も一人しか客来なかったな~。」
「こんな辺鄙な場所でこんな店やってるからよ」
傘喰のやる気皆無なぼやきを責任者に聞こえるほどの大きさで皮肉を返したのは傘喰よりも古参店員であり、ちょっと前に単独で国際テロ組織を滅ぼして無傷でかえってきた金髪ロリっ子(しかし20歳超えてるから合法?)のシオンであり。
「そんなこと言われても…こんな辺鄙な場所でやらないとこんな店ポリスメンに捕まっちゃうよね?」
シオンの皮肉に真っ向から立ち向かったのはこの店の最高責任者である20歳位の清潔感ある爽やかな青年、店主(本名誰も知らない)だ。
「別にポリスメンに捕まってもいいでしょ?店主なら。」
「良くないよね!?シオンちゃん最近酷くなってきてない!?というかポリスメンに捕まったらすぐにシオンちゃんの名前出すからね!」
「そんなことしてみなさい…もし店主が無期懲役くらいになったとしても私が…私がこの手で死刑にしてあげるから…ね?」
シオンの味方を売った際の店主へのえげつない死刑宣言してるのに顔と仕草が天使だった。故に健全な男子である店主と傘喰はこんな反応である。
「「くっ!可愛いけど言ってることが…!」」
「はぁ、バカばっかり…」
「バカばっかりとはなんだね!佐々ちゃん!」
「いや~、店主、シオンさんの本当の魅力をわかってないんですよ。」
「うん?本当の魅力は僕の方が知っているはずだよ?」
「そうですか?では、」
「そうだね…では、」
「「デュエル!!」」
先程まで一人で『中根商店』の売れない商品を物色していた腰まで伸ばした黒髪が特徴的な美少女、佐々木が店主とシオンの魅力についてデュエル会議し始めた。デュエルされている当の本人は顔を真っ赤にしている。そんな様子を見た店主と佐々木は、
「ほら!見てくださいよ!この真っ赤な顔!かわいいですよ!ねっ!ロリ属性解放中の方がいいです!」
「いいや!こっちもいいけどクールな方がかわいいよ!容姿とのギャップというのが頑張っておとなぶっているみたいで…ね!わかるでしょ!?」
ずっと真っ赤だったシオンの顔が爆発してしまうんじゃないかというほどの真っ赤になって口をムニュムニュしている。
そんなシオンの姿を再び見た変態デュエリストたちは…
「これを見て!可愛いでしょ!ねぇ!店主!ゲロっちゃってくださいよぉ!か・わ・い・いってぇ!この口をムニュムニュさせてる顔ぉ!かわいいいぃ!」
と言い、耐えきれないというような猛烈な勢いでシオンに抱きつく佐々木に対し、
「くっ!か、かわ、可愛いいいいい!」
店主が佐々木同等の勢いでシオンに抱きついた。(まあ、正確に抱きつく寸前で店主を蹴り飛ばしたから未遂に終わったけど。)
変態デュエルが終わったので、再びシオンを見てみるとまだ佐々木が抱きついていたが佐々木のことは無視をした。シオンはまだ真っ赤な顔に手を当て隠している。
「かわええ。」
僕は無意識に言ってしまった。仕方ないと思う、だってかわいいんだもの。だが、
「うわぁぁぁん!みんながいじわるするー!」
「「シオンちゃーん!!」」
僕の無意識の一言でシオンのキャパシティを遥かに超え、ロリ属性全開で店から逃げ出してしまった。
この後、戻ってきたシオンさんの様子が少しおかしかったのはまた別のお話し。
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