暗器屋さんとゾウ用銃

「ありがとうございましたー」

「「「ありがとうございましたー」」」

今日も復讐用のアイテムを取り扱っている『中根商店』。その『中根商店』から紙に包まれている大きな箱状の物を抱え、本日最後の客が店を後にした。

「店主ーさっきの人何を買ってったんですか?」

「…佐々ちゃん?…その質問恒例になってない?」

「そうですかねー?」

「そうだねー」

「はははー」

「はははー」

先程出ていった客の対応をしていた店主に恒例となっている質問をする佐々木が

一通りの下りを終えたらしい。

「傘喰、あの下りいつもやってるの?」

ああ、そうかシオンさんはこの下りは初めての遭遇か。

「はい。いっつもこんな事やってますよ。まあ、店主は嫌々教えてる雰囲気出してるけどまんざらではないと思いますよ。」

「あー昔っから店主分かりやすいからねー」

「へーそうなんすか。というか昔からっていつから何ですか?」

「いつから…」

「15年前からだね。」

佐々木と話していた店主が話に入り、シオンの代わりに答えた。

「「え…」」

「おい、佐々木、傘喰。え…って何だよ。おい、説明しろよ。」

「いやっ!15年前って言ったらまだシオンさんは産まれてきてないよなーと思いまして…」

ねぇ?皆さん思いませんか?お前さん…どう見てもロリじゃな?って。

「私はー『私達が産まれた年なのに何で産まれてんだよっ!つーかシオンさん今何歳だよっ!』と思いまして…」

佐々木も同じようなことを考えて驚いていたんだなー。予想してたけど。

「よし、佐々木、傘喰。」

「なんすか?」

「なんですかー?」

シオンが微笑みながら佐々木と傘喰に改めて話しかけて来たため、一応こたえてみると、

「Die and dumped the brain」

こう即答し、とあるハンドガンのような物をどこからか取り出し、銃口を向けてきた。シオンさんの言葉を日本語に直すと、

「脳をぶちまけて死ね」

ということだった。何言ってんだよ…このひと…同僚に言うことじゃないよ…。

「えーと、シオンちゃーん?その銃ってさゾウ用のじゃないかな?」

は?ゾウ用?

「そうよ。私の愛銃『プファイファー・ツェリスカ』よ。ゾウの頭蓋骨も簡単粉砕、WW2以前の装甲車両程度なら簡単に貫ける優秀な作品よ。」

はい?何言っちゃってんの?ゾウの頭蓋骨粉砕する銃なんてどんな弾薬使ってるの?というか、

「反動制御出来るんですか?その体で。」

佐々木さーん!真顔で何言ってんの!それ思った!思ったけど言っちゃ駄目だよね!?

恐る恐るシオンの方を見てみると「いい質問ですねー」とでも言いそうな顔でまな板な胸を張っていた。

「ふふっ!いい質問じゃない!実際にやって見せればいいのね!」

地雷踏みぬいたっ!

この人、聞いても無いのに勝手に言いだすタイプの人か!でも可愛いから良し!

「というわけだから、店主。頭の上になんか…あ、これのせて。」

「ええっ!何で僕が巻き込まれないと!?」

「いいから、いいから。店の奥に行って。佐々木達も来なさいよー。ふふんっふんっ!」

なんか…シオンさんテンション高めで鼻歌歌ってる…

「シオンさん可愛いくね?」

「そうだねー。ぎゅってしたいなー。あ、傘喰くんは駄目だよ?」


「…知ってるよ」

「…そのちょっとした間はなに?」



場所は変わって店の奥。

先日使用したVRゴーグルがまだ放置してある。誰か片付けとけよって、片付けは僕の仕事じゃないか。働けよ僕。

「そこら辺でいいわ。動かないでよ。動いたら店主が脳をぶちまけるだけだからね。」

「ひえぇぇ!」

店主が『プファイファー・ツェリスカ』を持っているシオンさんによって金剛型2番艦にされているなか、一つ気づいた。

「シオンさん?店主の頭の上にある的って、みんな大好き『魔改造アイロン』じゃない?」

本作品で度々登場するビミョーアイテムだ。(詳しくは第3話・暗器屋さんと主婦アイテムをどうぞ)

「撃つけど、一つ言い残すことは?」

「えっ!?僕死ぬのっ!?店主だよね?僕って店主なんだよね!?」

「黙らっしゃっい!」

シオンが手に持っていた『プファイファー・ツェリスカ』の引き金を引いた。耳を念のため塞いでいたのにもかかわらず耳がバ〇スしそうになった。

「「すっげぇぇ!!」」

しかし、そんなものでシオンさんは店主の頭の上の『魔改造アイロン』に狙い違わず当てた。反動制御もしっかりしており、体格的にありえない。被弾したアイロンはグシャグシャになり、跡形が無くなっている。

「そうだ!店主は?」

店主は的となった場所で無傷で立っていた。

「店主もすごいねー、立ったままでいるよ…いや、立ったままで失神してる。」


「さすがの店主も失神しちゃうのね。」

「当たり前ですよ。こんなのを向けられてるだけでエンドスクロールが脳内で再生されますからね。」

「というか、シオンさん、どうやって反動制御と精密射撃を?」

「うーん、小説だから、かしらね?」

「へ?小説だから?」

シオンさんが何を言ってるか分からないがまあ、いい。シオンさんの射撃技術はすごいということが分かったでけ良しとしよう。

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