暗器屋さんは未来に触れる

「訓練しないかい?」

「「「はぁ?」」」

ここは『中根商店』、客はあまり来ず、暇をもて余していた傘喰、佐々木、シオンの三人が仕事中にもかかわらず、だらだらしているといつもの店主の急な発言に眉をひそめた。

「え、えーと…はい?」

「訓練しようって事だよ。日本語分からないの?みんな?」

「日本語は分かりますけど、訓練って言うのが分からないんですよー」

佐々木が他の二人も気になっていた訓練について聞いた。

「どこでやるのよ、訓練。というか全員戦闘スタイルが違うでしょ?模擬戦でもやるの?」

シオンが続けると、言い出した店主が突如笑いだした。

「フッフッフー!ハーハッハハー!そんなときのために今流行りのVR を買っていたのだー!」

(((またこいつ金を無駄に使いやがったのか!!)))

「何でそんな物を買ってしまったんですか!?ただでさえ金無くて頑張ってた所に『ヤミ金社長戦』(詳しくは『暗器屋さんの荒仕事1、2』参照)でもギリマイナス何ですよ!金関連は僕が担当なんですからね!?大変なのは僕なんですからね!?分かってるんですか!?え!?分かってるんですか!!」

「分かったから!ごめん!やめて!グーで叩くのはやめて!いやっ!魔改造アイロンは本当にだめだから!でも流石に充電はね?」

「充電済みよ。フル火力で行ける。佐々木、そっち掴んで。」

「はーい、すいませんねー。でも悪いのは店主…なんですからね…?」

「いやぁぁぁぁぁぁあああ!」



場所は変わって店の奥へ

「ひどいよ…みんな…」

店主は先程の下りでふてくされ、部屋の隅で小さくなっていた。

「…大丈夫かな?あれ」

「大丈夫大丈夫。いつもの復讐。そんな事よりこの部屋で何が起きるの?」

店主の身を案じる佐々木とふてくされた店主を慣れたように扱っているシオンが話していると説明書を手に持って傘喰が来た。

「今から、この部屋でVR ゴーグルを着けてもいます。えーとこれが説明書だから各自読んで。説明めんどいや。」

「「えー」」

「店主もいい加減機嫌直してくださいよ。

」(ほら、二人共!なんかして!)

(なんかしてって…何すれば…あ、そうだ!)

お、佐々木がなにかしら思い付いたようだ。

「店主ー!速く店主の技見たいですよ!ほら機嫌直してくださいよー!」

「そ、そうだよ!ね、機嫌直して?」

佐々木は褒め殺しに移ったけどシオンさん適当ダナー…

傘喰のシオンへの適当ダナーという視線に気付いたのか、こっちを見るなと言いたいのか手でシッシと振っていた。

「いいもん…僕は有意義な使い方をしたんだもん…」

褒め殺しても店主の機嫌は直らないため、無理やりかぶせて、各自起動した。VRゴーグルの形は顔の半分程隠れるよくあるタイプの物だが、感覚器官のすべてが接続されるもので、原理はいまいち説明書読んでもわからなかった。

「…っと。凄いな!これは。」

ゴーグルをかぶり、起動させると一瞬視界が真っ黒になったが直ぐに視界が明るくなった。

見えている場所は草原だ。もうこの地球には無いのではないかと思ってしまうほどの広さで、清々しい風が頬を撫でる。

「おー!すごーい!」

「すごい!なにこれ!すごーい!」

「いいもん…べつに…ってすげぇぇぇぇ!未来だぁぁぁぁ!未来きたぁぁぁ!」

店主…あんた買った本人なのに驚き過ぎだよ…一番興奮してるんじゃないか…シオンさんも驚き方が子供だよ…だから何歳なんだよ…

「ふう、一通り驚いたところで、始めますか!」

「そうですね。」

「じゃあ、金剛式鍛錬術『鬼護虚』」

はじまるのか…


訓練『鬼護虚』通称・鬼ごっこが!


この後、鬼をじゃんけんで決めて刀も銃もバスターブレードも変な拳術も使わず、童心に戻り四人で楽しくふつーに鬼ごっこをしたのだった。

たまに鬼ごっことかそういう遊びしたくなるよね。

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