第35話
古泉が…モラン?それは何の冗談だ。
「よくも…よくもみくるちゃんを」
ハルヒが銃口を古泉に定める。
「ち…違う!違いますよ涼宮さん!僕はモランなんかじゃありません!」
古泉は手を振って必死になって否定した。
「じゃあ誰がみくるちゃんをやったのよ!古泉君が私たちの一番後ろにいたんでしょ!そもそもここへ来るときだってどうしてドレスを着たあたしやみくるちゃんより後ろを走ってたのよ!キョンと同じくらい速く走れるはずじゃない!」
「僕はやっていません!一番後ろにいたのはルパンの仲間が背後から襲ってこないようしんがりを努めていたからです」
古泉へ向けた銃口を震える。落ちつけハルヒ!古泉が敵かどうかまだ決まってないだろ!突然ハルヒが俺に銃口を向けた。
「キョン、キョンはあたしの味方よね?」
ハルヒ。落ち着いて、銃をおろせ。
「だって最初に古泉君がやってきた時、キョンが知り合いって言ったのよ。古泉君が悪い奴だったらキョンもあたしの敵ってことになるじゃない!」
ハルヒは再び銃を古泉へ向けた。
「分かりました。これで信じてくれますか?」
古泉は持っていた銃を床に落としハルヒの方へ軽く蹴ってよこした。
「どうしたのモラン?そんなにハルヒのことが好きになっちゃったの?今更そんなことしても遅いと思うけど」
「うるさい、黙れ!」
古泉が珍しく怒鳴った。俺も古泉同様銃を床を滑らせてハルヒへと渡した。ハルヒは二つの銃を見ながら迷い始めた。俺たちが本当に信じてもよいのかどうか。俺も古泉が本当に敵じゃないのか考えてみた。
確かに怪しい点はある。だが俺の良心が訴えている。古泉に限って俺たちを裏切るなんてあり得ない。それにそれだけじゃねぇ!何か分からんが何かが引っ掛かってる。畜生、一体何を信じればいいんだ。
『やれやれ。すっかり敵の術中にはまっておるようだ。これだから人間は争いが絶えないのだ。だがそれも仕方のないことなのやもしれん』
俺たちは驚いて一斉に声のした方に目を向けた。その先には部屋の隅っこの方で毛づくろいをするシャミセンがいた。
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