第12話
まず初めに、あいつとは誰だ。と考えようとしたが、あまり今回の現象に関係がなさそうなので無視することにした。優先順位を付けると今考えることではない事だ。考えるべきことは他にある。
一つ目、ハルヒのトンデモパワーは健在なのか?
あいつが望むことは叶っているのか。それにしては依頼人が来るまで時間がかかりすぎていた。それにだとすればおかしな点がある。古泉だ。あいつは超能力を失っているらしい。だとすると閉鎖空間はどうなる?神人を倒す人間がいないと世界は崩壊してしまうのではなかったか。ということは、ここでのハルヒは一般人なのだろうか。俺は『保留』と書いてそれを丸で囲った。
二つ目、未来人は何をしているのか。
これがタイムスリップなら真っ先に顔を出さないといけないはずだろう。そもそも朝比奈さんは記憶を失っている。こういった時は代理の人なりが来るんじゃないのか?いつもの規定事項はどうした?それともこれが規定事項とでもいうのか?
その時俺はこの考察の致命的欠陥を発見した。
来れる訳ねぇじゃねえか。ハルヒの力で中学の時より前の歴史には戻れないんだ。じゃあここは何だ。異世界か、あるいは時空改変されたのか。それともハルヒは自分たちだけは抜け穴みたいなものを使って過去へ戻ってきたのか。俺は『タイムスリップ』と書いてその頭に△印をつけた。なんとなくだが、今回は朝比奈さん(大)の力は借りれない気がした。
では最後にして最大の疑問点。長門はどうした?
もし思念体と連絡がつくんなら、真っ先に俺たちのもとへ駆けつけてくれるはずだろう。じゃあ、連絡がつかないのか?それでどこかで俺達を探しているのか。いくらハルヒでも長門だけつまはじきにするようなことはしないだろう。それにあの朝倉は何だ。妹を探してほしいとか言っていたが、現実の朝倉は長門同様で妹と呼ばれる存在はいないはずだ。俺は『朝倉涼子』ー『妹?』とノートの端に書き込んだ。長門は今どこで何をしているのだろう。
ここまで考えて俺は三つの疑問を同時に解決する衝撃の回答を見つけた。だがそれは…あり得ない。あり得ないし俺は認めない。
長門が…あの長門有希が、再び世界改変を行い、自らは姿を隠す。
つまり鍵を揃えられないようにして世界改編のリセットをできなくしているなんて。
俺は必死に違うことを考えようとしたが、夜遅くまでこの結論を振り払うことができなかった。
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