第7話

まずお前が知っていることを話せ。


「残念ですが夢のようなあいまいな記憶しかありません。先にあなたの知っていることを教えてもらえませんか」


 そう言いながらさも当たり前のようにキャスリングでキングを移動させた。 それはそうとお前チェス上手いな。


「おや、チェスをするものならキャスリングは常識でしょう」


 元の世界でのお前はその常識すら持っていなかったがな。


「そうですか。記憶にないですね」


 記憶がないほうが強いってどういうことだ。やっぱりわざと負けてたのかこいつ。


「それも含めて、お話しいただけますか」


 じゃあ話そう。何か思い出したら言ってくれ。それから俺はSOS団結成からその軌跡を駒を進めながら話した。


「ずいぶん楽しそうな倶楽部ですね」


「まあな。だがハルヒには願望を実現する能力があるんだとさ、お前らによれば」


 それから機関、未来人勢力、情報統合思念体についてとそれぞれのハルヒの解釈を説明してやった。


「倶楽部の方はともかく『機関』については覚えていませんね。あなた以外の四人は完全に記憶を失っているとみて間違いないでしょう」


 クラブじゃなくて団だ。まあいい、はいチェックメイト。


「おや、もう少しでこちらもチェックでしたのに」


 残念だったな、トリックだよ。それよりいい加減お前の意見を聞かせろ。


「聞いた話から類推するに、おそらく涼宮さんの力でしょう。問題は、何がこの状況を引き起こしたのか、ですが。心当たりはありませんか。あなたがここに来るきっかけとなるようなことに」


 俺と長門がよく行く図書館へ五人で行ったその次の日にこの有様だ。


「ではその日の出来事を話してもらいましょう」


 という古泉に対し、やれやれとため息をつきながら俺は話し始めた。

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