第6話

 翌日俺の目を覚まさせたのは一発の銃声…ではなく、カチャッという貴金属の触れあう音だった。


「おや、起こしてしまいましたか」


 ああ。だがなぜお前がコーヒーを淹れてくれたんだ?


「これでも執事ですから、とでも言えば納得してもらえますか?」


 執事と言うからにはファン〇ムハイ〇家くらいやってほしいもんだ。


「……あれは努力してどうこうのレベルではないと思いますが」


 いるのかよ。俺としては冗談のつもりだったんだが。やっぱりここは異世界なのかね。 クロス―オーバーは色々と怒られるから勘弁だぜ。


「まぁ本当のところ、涼宮さんに頼まれたのですよ。あなたが起きそうになったらコーヒーでも淹れてあげて、と」


 ふーん、ハルヒがねぇ。


「いい彼女さんではないですか」


古泉、まず顔を洗え。それから眼科へ行ってこい。


「おやおや。ならあなたは精神科へどうぞ。最近は夢から深層心理を読み解く方もいますよ」


 そんなことより少し面貸せ、ハルヒもいないことだし。


「いいですよ。せっかくですからチェスをしながらはどうですか?」


 お前は相変わらずだなぁ。 古泉は手際よく駒を並べると中央のポーンを動かしながら楽しそうに微笑んだ。

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