第3話
「何でいきなり銃をぶっ放したんだよ!」
「うっさいわね。あたしが疲れて帰ってきたのに出迎えもしないでぼんやりしてたから景気づけに一発撃っただけじゃない」
景気づけに実弾を撃たれたら俺の精神がもたんわ!それが許されるのは七つの海をまたにかける海賊だけだろう。
「それもおもしろそうね。今度海賊もやってみようかしら」
ハルヒは朝食のパンにジャムを塗りながらこともなげに言った。勘弁してくれ。目眩がしてきた。
「アンタほんっとにだらしないわね。医者の不養生もいいとこだわ」
あ、そう言えば俺はワトソン博士(職業:医者)だっけ。
「本気で言ってるの?あたしがいない間寝すぎて脳みそ無くなったんじゃない?」
ハルヒはそう言って俺に1枚の名刺をつき出した。
【キョン・H・ワトソン医師】
とうとう俺の名前は本当にキョンになっちまったなぁ。ちなみにお前の名刺も見せてくれ。ハルヒはフフンと得意そうに自分の懐から名刺を出した。
【名探偵涼宮ハルヒ】
あー何も言えねぇー。
「まあいい、俺はもうひと眠りするぞ」
「ちょっと、ちゃんと働きなさいよ!」
俺がここで医者として働くということは誤診をする以外にほかならず、この世界の警察の厄介になることうけあいなので適当なサボる理由を考えなくてはな。
「少し考え事するから静かにしてくれ」
ハルヒはアヒル口で俺を睨んでいたが、
「まあいいわ、久しぶりのロンドンなんだし、難事件を探してくる」
と言って台風のようにでていった。そうしてくれ、間違っても事件を起こすんじゃないぞ。
さてと、これはどうしたことだろう。やはり昨日の図書館が原因なのか。とりあえず、ただのタイムスリップなら朝比奈さん(大)の管轄だろう。いや、でも助けてくれるか疑問ではあるな。本格的にヤバい状況なら長門の方が力になってくれるだろう。まあ何にしても俺が走りまわることになるんだろうが。
ジリリリリリリリリン
目覚ましを彷彿とさせる電話のベルが鳴った。この時代に電話ってあったのか?まあいい。
『もしもしキョン?今から一時間以内にここまで来なさい。場所は××で依頼人はマスグレーブ。オーバー』ガチャン
俺は一言も喋る前に電話が切れた。だが依頼人の名前に聞き覚えがあった。たしか執事が行方不明になる事件だったような。でもあの事件はホームズがワトソンに会う前の事件だったような。まあいい。どうせハルヒの思いつきだ。罰金を言い渡される前に出発しよう。
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