第2話
あれ、まだ生きてる。どうやら気を失っていたようだ。俺は銃で撃たれた訳でないらしい。なんだか左耳がグワングワンする。
俺はベッドから転げ落ちた格好だった。俺が寝ていたはずのベッドの山は規則正しく上下運動を行っている。つまり、誰かが寝ているってことだ。机の上には先刻の拳銃、ステッキ、帽子、コート、新聞、懐中時計が置いてある。恐る恐る拳銃に触ってみるとズシっと重く一発だけ空になっている。おまけに壁には銃弾が撃ち込まれていた。
今ベッドで寝ている奴は俺に銃を突きつけ弾を外した揚句俺を引きずり落としそのままベッドで寝てしまった、ということか。ふと拳銃を見るとイニシャルが彫ってある。
S・H
俺の頭の中には二人の人物が浮かんだ。だが両方とも当たりなんだろう。さて、どっちの名前で呼べばよいのやら。
「おい、ハルヒ。何寝ていやがる起きろ」「フザけるんじゃないわょ・・・キョンのくせに・・・zzz」
寝ぼけている人間へ発砲する奴にフザけるなと言われるのは心外にもほどがある。すまなかった妹よ。お前がたたき起こしてくれた方が格段に寿命に優しかった。とにかく現状を確認しないと。机の上にあった新聞を広げてみる。
うん、無理。全部英語。だが今がいつなのかは分かった。俺たちは百数十年ほど時代を遡っているらしい。この時点でここが何処なのかがだいたい分かったのだが、確認のため部屋の外に出てみる。部屋番号を見ると・・・案の定、「221B」となっていた。
そう、俺とハルヒはシャーロック・ホームズの世界に来てしまったのだ。
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