第3話 夏祭り

 幼馴染おさななじみのサツキから渡された草履ぞうりを僕がドキドキしながらなおしていると、サツキからこんな言葉を掛けられた。

「ハヤトくん。ハヤトくん、わたしのこと学校でけてるでしょ!」


 こう言ってサツキは、僕の顔をのぞき込んだ。僕はドキドキしながらも頭の中で、何と答えたら良いか言葉を探した。そしてサツキにこう言ったのだ。

「サツキ… サツキはクラスの人気者だからさぁ、話し掛けにくいんだよ」


 そう僕が言うと、サツキは僕から草履ぞうりを受け取りうれしそうな顔をして、こう言った。

「ハヤトくん やっぱりハヤトくんって、手先が器用きようなんだ」


 この時、僕はうれしかった。それは幼い頃、一緒に遊んだ時の事をサツキが覚えてくれていると思ったからだ。僕は試しに、サツキにこう言った。

「サツキ… 何で知ってるんだよ!」


 サツキに僕がこう言うと、サツキはうれしそうに、こう答えたのだ。

「ハヤトくん 昔、一緒いっしょに折り紙したでしょ!」


 この言葉を聴いて、僕はうれしくなった。するとサツキは僕に向かって、こう言ったのだ。

「ハヤトくん 昔みたいに、一緒に金魚すくいしようよ?」


 僕は友達との約束が気になったが、こう答えたのだった。

「サツキ… わかったよ、サツキには負けないからな!」


 そう言うとサツキは、にっこり笑った。藍色あいいろ浴衣ゆかたと髪をい上げたサツキの姿はとてと新鮮で、見惚みとれてしまった。


つづく…

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