第2話 夏祭り

 友達と約束した花火大会に向かう途中、僕は幼馴染おさななじみの女の子と遭遇そうぐうした。そして彼女から声を掛けられたのだ。彼女の名前はサツキ、小学生時代からの幼馴染おさななじみだ。サツキは花火大会の今日、浴衣姿に草履ぞうりいて来ていたのだが、草履ぞうり鼻緒はなおが切れ、僕に助けを求めて来た。


 彼女の視線を感じた僕は頭の中が真っ白になりながらも、彼女の方へと人混みをき分け近づいて行ったのだ。するとサツキから、こんな言葉を掛けられた。

「ハヤトくん 久しぶり、わたしの草履ぞうり鼻緒はなおが…」


 そう言うとサツキは僕に、自分のいていた片方の草履ぞうりを僕に手渡したのだ。僕は草履ぞうりの切れた部分を観て、サツキにこう言った。

「サツキ… 慣れない草履ぞうりいて来るからだよ、しょーがない」


 こう言って僕はポケットからハンカチを出し、鼻緒はなおの切れた部分をなおしていた。その間、サツキの右手が僕の左肩に寄りかかり、僕の心臓の鼓動こどうはドキドキしていたのだ。そしてこの鼓動こどうをサツキに気づかれないか、僕は気が気ではなかった。


つづく…

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