第3話 イケメン三人衆

 登校初日にして自分の素顔を見られたかもしれない俺は、少し気分を落としながら歩く。


 学校に来てから大分時間が経っていたのか、新一年生はたくさん来ていた。廊下には中学からの友達なのか、グループで話している人たちもいた。


 廊下から他のクラスを覗きながら歩いていると、3つのクラスがやたらと女子の密度がすごかった。


 なんじゃありゃ?とはなったがすぐに理由は判明した。というか、何となく察しはついていた。でも、2クラスだけだと思ってた。後、もう1クラスあるとは思わなかった。


 その集団の真ん中にはイケメンの男子がそれぞれいた。なんで、そんなことが察せたのか。それは、俺が中学一年の時に実際体験していたからだ。それはそれは凄かった。360度女子に囲まれていたからな。男子からは嫉妬の目線が見えていた。出来れば変わってほしいと思う位ということは、当事者になってみないとわからないだろう。


 3人ともイケメンだった。一人は遠くから見ても高身長だと分かるイケメン。一人も明るいイケメン。もう1人もイケメン。ごめん。語彙力なくて。


 取り敢えず3人中2人、目があったので、目線で挨拶をする。朝からお疲れ様です。


 目が合うと、2人ともニコッと笑って返してくれた。女子がキャーキャー騒いでうるさかった。流石、イケメン。


 俺は、2組の教室に戻って、自分の席に座った。すると隣の席の男子生徒から声をかけられた。腕は筋肉が付いているのか、太く、がっしりとした体型だ。なにかスポーツをやっているんだろう。


「はじめまして。俺は山本聡やまもとさとし気軽にさとしって呼んでくれ」


 ここはどうすればいいんだ?普通のモブとしては最初は苗字。段々と下の名前呼びになる感じだよな。よし。


「俺は桜木俊さくらぎしゅんよろしく山本」


 苗字で呼ぶと山本は少し残念そうな顔をした。訂正いれないと。


「初対面の人を名前で呼び捨てはできない性格なんだよ」


 すると山本は納得しったという顔になる。よし!


「そうか。よろしくな、俊」


 おお、名前呼びですか。さてはあなたいわゆるリア充とかいうやつですね。いや、知らんけど。


「なあ、もう見たか?あのイケメン達?」


 そう、深刻そうに山本が切り出してきた。


「ああ、もちろん見たぞ。イケメンだったな」


「女子達がそっちに行くせいでこのクラスにはほとんど女子がいないし、しかも……」


 突然クラスが、女子のキャーキャー声で騒がしくなる。


「そうそう、今みたいに女子がうるさ、く、て……」


 山本が俺の後ろを見ながら歯切れが悪くなる。


「どうした?山本?」


「どうしたも何も、後ろ」


 俺は言われるがままに後ろを見てみると、ちょうど話題にしていた、イケメン2人が俺の後ろに立っていた。

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