episode1 #3「炎美と柑菜」
「ひょっとしてコレを見て言ってるワケ?」
何だか呆れた様な顔をされながら袖に描かれた文字を見せて言われた。
「言っとくけど私、スフィアって名前じゃ無いわよ。私は里中 柑菜(さとなか かんな)って名前で、コレは…」
っと途中まで話ていた時、男は慌てて話に入った。
「あ、イヤ別に人を探してるってワケじゃないようなそうでもあるようなあ」
「はあ??」
曖昧な言い方に流石に困っているツインテ女子こと柑菜に男は1から事情を説明した。
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「名前は黒崎 炎美(くろさき えんび)。歳は多分23でそれ以外の記憶が無くって唯一覚えていたのが『スフィア』を探してるって事だけでそれが何なのか分からずに探してたって事ね」
柑菜は整理しながら説明を分かりやすくまとめてみた。
「まあ、そういうことですね」
炎美も頷きながら返事をした。
しかし柑菜は溜息をつくと炎美にこう言った。
「言いたいことは何となくだけど理解したわ。だけどねえ、それが本当に私達の事を言ってるかどうか分かんないじゃない」
柑菜は続けて言った。
「確かにこの場所でスフィアって言ったら私達の組織がまず思い浮かぶでしょうね。でも、あなたの言い方をすると人の名前だっていう可能性もある訳よね」
柑菜の話を黙って聞いている炎美。自分の立場からして何も言い返せ無かった。
「それに、私達に用があるなら用件ぐらい思い出して貰わないと!化け物退治?異能力者の保護?それとも入隊希望?」
そう言われて炎美は思い出そうとしたがやはり思い出せ無かった。
「言っとくけどあなたの保護は私の管轄外だから!そう言う事なら警察にお願いして!それじゃ」
柑菜はそう言って立ち去ろうとしたが炎美は慌てて引き止めようとした。
「ちょっと待って!」
「もう何よ!」
何度も引き止められたせいで大分お怒りの柑菜は大きく息を吸うと…
「今、大・事なお仕事中だから!!あんたのせ・い・で見失ったんだから、これ以上つきあってらんないの!!」
炎美はゼロ距離で柑菜の怒声を浴びせられた。だが炎美は今のセリフである事を思いついた。
「なら俺も捜すの手伝うよ。1人で捜すより2人で捜した方が効率がいいでしょ」
お詫びの気持ちに協力しようと提案を出した。
「気持ちは有難いけど、今あんたそんな事してる場合じゃ…」
「大丈夫だよ。それに仕事の邪魔しちゃったしせめてそれぐらいはさせてよ」
柑菜は炎美の顔を見るとまた溜息をついた。
「分かったわ!取り敢えず連絡取れる様に連絡先を交換しましょ」
お互い連絡先を交換する時柑菜から注意を受けた。
「いい、見つけても相手に近付かないですぐに私に連絡すること!いい?」
「うん、分かった!」
そして二手に分かれ捜索をすることとなった。
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