ピンクのヒーローと確かな描写のコントラストが素晴らしいアメコミノベル!

アメコミヒーローというジャンルの小説化や『日本マンガ化』をする際、どうしようもない壁があります。
それはフルカラーという壁です。
アメコミは基本、全ページカラー。日本の漫画雑誌でそれはできないし、カクヨムのサイトをハッキングして本文を七色に染め上げるということも不可能です。

ですが、この作品は素晴らしいヒーローのアイデアと作者の文章力で、その壁を易々と破壊しています。

全身ピンク、快活で明るくかわいらしく、それでいて強いヒーローのピンクシールが魅力的で、作中で彼女を追うフェイクのように次へ次へと読み進めてしまいました。

また、他の派手な色の描写を続けヒーローと対比するのではなく、不気味なヴィランやフェイク少年を取り巻く閉塞的な心情や環境を軽妙かつ、確かな文章力で描写することで対比させ、作品にまさにアメコミのようなコントラストが生まれているのが素晴らしいです。段落ごとにブライアン・ボランドが書くような素晴らしい絵と色彩が目に浮かびます。

ストーリーも先が気になる展開が続き、読者を飽きさせません。まさに『アメコミノベル』!
可憐なヒーローと、イヤーワンを迎えているフェイクから今後も目が離せません。