第4話
玄関を飛び出した後、特に行く宛もなかったのでそのままブラブラしていた。久しぶりに来た郡上は、ほとんど姿は変わっていなかった。東京都は全く違う風景を見ていると、新鮮な気持ちになる。しかし、一人であることを歩いていると感じてしまう。夕方に近いからなのか、お母さんと一緒に歩いて買い物をしている人が多い。一緒に夕食の話をしたり、学校の話や友達の話をしているのを見ると、羨ましかった。商店街を通ろうとしたのだが、これ以上見ていたら泣きそうになったから違う道を選んで歩いた。
しばらく歩いていると、見たことのない場所へ来た。建物が遠くに見える所へ来てしまったみたいだ。
「ここ、何処だろう…」
心が揺れた。日が傾き始めているので、何処か不安を煽るような雰囲気だった。建物が遠くに見えるということは、ここは小さな丘になっているのだろうか。確認することは出来ないので、近くをウロウロしていると、僕の目の前に一枚の桜の花びらが落ちて来た。
「え?桜…?」
地面に落ちた花びらを取ろうとした時、下から強い風が吹いた。その風で花びらは空高く飛んで行き、僕の手の届かない場所へと消えてしまった。
「一体、何だったのだろう…」
不思議な思いを胸に秘め、帰ろうとした時。
目の前に桜の木が立っていた。
「あれ?こんな所に桜の木なんてあったかな…?」
不思議に思い、その桜の木に近づいた。そうすると、その桜の木の奥には小さな社が見えた。いつの間にかあったその社は、静かに佇んでいた。
僕は、引き寄せられるようにその社へと近づいて行った。
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