第2話
新幹線に乗ること約1時間半。僕は岐阜羽島駅に着いた。
一人の新幹線は初めての経験で、今まで同じものを見て来ているのに全てが新鮮に見えた。予約した窓側の席に座るのにもドキドキした。
だが、まだこれから電車に乗るのだ。おじいちゃんが住んでいるのは岐阜の郡上八幡という所だ。山がいっぱいあって、川が東京と違って濁っていない。澄んだ川では毎年飛び込み大会が行われるらしい。僕は参加してことないが、よく地元の子たちが川に飛び込んでいるのを遠くから見ていた。
今からそこへ向かうために、名鉄に乗って岐阜駅に向かう。そこからは乗り換えの繰り返しで、郡上八幡駅で降りるのだ。それも一人で。不安が大きいが、楽しみも同時にある。
大きなリュックと、ゴロゴロ引きずるキャリーバックを持って、電車に乗り込んだ。
着いた時には、すでにお昼の1時を超えていた。太陽が真上にいた。
岐阜は蒸し暑いことで有名なのだが、郡上はそこまで暑くはないらしい。それでも、東京よりずっと暑い。ジリジリと照りつける太陽が、肌を焼いているのを実感した。改札口を出ると、そこには見慣れた姿があった。
「おじいちゃん!」
僕が叫ぶと、気づいたようにこちらを見て手を振った。嬉しそうに笑いながら近づいてくる。おじいちゃんは、麦わら帽子を被り、タンクトップに半ズボンの格好だった。それでも小麦色に焼けているおじいちゃんは、外で畑仕事をしているらしい。元気一杯の僕の自慢のおじいちゃんだ。
「よお来たねぇ。ケイ、元気やったか〜?」
おじいちゃんはニコニコしながら僕の頭を撫でた。
「うん!もちろん!おじいちゃんも元気だった?」
そう聞くと「うんうん。」と頷いて皺だらけの顔をくしゃくしゃにして笑った。そして、「じゃあ、行こうか」と言って僕と手を繋いでおじいちゃんの家に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます