2話 通勤

「まもなく5番線にニュータウン方面多賀町行きの電車が到着します。安全のため黄色い線の内側でお待ちください。」

駅のホームから、電車が来るアナウンスが流れていた。

今日も相変わらず混雑している電車。ドアが開くと沢山の人々が電車の中から降りてくる。

「まもなく発車しますー!閉まるドアにご注意ください。」

その発車アナウンスと同時にドアが閉まる。車内はいつもと同じ景色だった。新聞を読んでいる人。携帯電話をいじっている人。テスト前だろうか、学生が必死に参考書を読んでいた。外の景色はいつも綺麗だった。海が見える。波はいつもより高く感じたが、そうでもないみたいだ。車内案内の液晶パネルには、笹久保のニュースが流れていた。

「立教馬大学の夢研究家笹久保教授が今まで不可能と言われ続けた夢の世界に繋げられる装置が完成したと発表がありました。まだ、実験段階であり、商品利用としてはまだ実現は難しいそうです。明日、笹久保教授ご本人が完成した装置の最終実験に取り組むと大学側を通して発表しました。最終実験の内容として、笹久保教授ご本人が夢の世界に歩むという実験だということです。」

俺は、少し不安があった。笹久保とは言え、もし失敗をすれば、笹久保は二度と現実の世界には戻ってこられないことを知っていたからだった。だが、どこを見ても、世紀の大発見ともあり、笹久保のニュースが流れている。

「次はー多賀町、多賀町、終点です。お忘れ物のないようにお気をつけください。」

車内アナウンスが鳴り響く。

職場は自宅から二駅のところ。二駅とは言え、予想以上に距離がある。

駅からは人混みな紛れながら、歩いて職場に向かう。

通勤、通学の人だらけだ。途中のコンビニに寄り、飲み物とおにぎりを買って行った。

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