南京錠は強敵だった

「だって、心配になるでしょ!?

 アイツなのよ!勝手に勘違いして思い込んで他人にぶつかっていく奴なのよ!?!」

「や、それは皆知ってるし」


興奮しながら話すライナに、それを冷静に答えるリュウ

リュウの言葉に、周りにいたクラスメイト全員が頷く


「み、皆知ってるんだ」


全員が知っている事に、ユウは驚いた

まぁ、人数の少ないクラスだ…全員知っていても不思議では無い


「あぁ、アイツの妄想癖は今に始まったことじゃない

 俺達が入学した時…10日前から皆知っていることだ」

「え?皆10日前に入学したばかりなの?」


ユウは、セリーヌと関係の無いところに興味を示した

リュウも特に気にせずに、そちらへ話しを進める


「あぁ、俺達は10日前…2月1日に入学したんだ

 まだまだ新入生だな」

「へぇ~、そうなんだ…皆学校生活に慣れてるように見えたけど…」

「そうかな?授業が始まったのは、昨日からだよ!

 それまでは、校内の案内が3回ほどあって~、

 身体測定とか親睦会とかがあったよ!

 セリーヌの妄想癖は、入学する前から噂であってね~

 入学する前に2回くらい皆来たんだけど、そこで薄々分かりはじめて…

 入学式で早速発揮したから、今じゃ皆知ってるの」

「へぇ…入学式で早々に発揮出来るって、ある意味凄いよね…」


ユウは、少し間違ったところに驚いていた

凄いと言っても、自分もそうなろうとは全く思わないのだが…


「あ、ココって何するの?

 皆揃ってるけど、まだ課題が説明されてないわけじゃないでしょ?

 まだ、誰もクリア出来てないってことだよね?」


生徒が揃っている(セリーヌはカウントされていない)=課題が難しいと結びつけたユウ

ライナは、それを肯定するように力強く頷いた


「そうなのよ!

 鍵を開ける魔法なんだけど…鍵を開けるのが大変なのよ」


ライナは、大きな扉へ視線を移す

それにつられて、ユウもその扉の方を見る

そこには、大きな南京錠がついている大きな扉が一つあった

一人一人挑戦してリーナがアドバイスをしているようだった


ボンッ


「ん~、鍵の開錠はまだ難しいみたいねぇ~」


一通り皆が挑戦したのを見て、リーナは一言そう呟いた


「あ、まだ僕試してない!」

「あら、そうね

 それじゃ、ユウが一度挑戦したら、この授業は終わりにしましょう」

「ユウ、難しいけど頑張ってね!」


ライナの声援を受け、挑戦を終えた生徒の視線を浴びながら、扉の前に行く

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