勘違い少女登場

「ん~~~」

「ユウ・フィーマ!!」

「へ?」


いきなり…しかも大きな声で名前を呼ばれ、少し驚きながら振り向く

すると、そこにはピンクの髪を靡かせた少女が立っていた

気付けばユウとピンクの少女以外誰もいなかった


「ぇ…っと、どちら様?」


今日転入してきたユウは、少女の名前をはじめ何も知らないので

自然と首を傾げ尋ねることになった


「なっ!?…ふんっ、まぁ転入生だから私(ワタクシ)のことを

 知らなくても仕方ありませんわね

 名乗って差し上げましょう、私はセリーヌ・アルフィールよ!」

「へぇ~、よろしくね~」


ユウはヘラッと笑い、握手しようと右手を差し出す


パシッ


「ッ!?」


ユウの差し出した手は、思い切り叩き落とされた

ユウは初めての出来事に目を白黒させ、叩き落とされた右手を左手でさする


「よろしくなんてしないわよ!するわけないでしょう!?

 私とあなたでは、立ち位置が違いますのよ!

 まったく、転入早々リュウ君に構ってもらって!!

 図々しいにも程がありますわ!!それに…」

「…(あ~…これは、噂の嫉妬ってやつですか…)」


向こうの世界では、色恋沙汰には無縁だったユウ…

というか、まだ自分には早いと思っていた

嫉妬なんて言うことも、誰かが誰かを好きで…

でも違う人と仲が良くてそれに嫉妬して嫌がらせしたとか…

いわゆる噂でしか知らなかった

自分に無関係だと思っていたのに、

ココに来て嫉妬の対象になってしまうとは、予想外だった

でも、知識で知っていたため、意外に冷静に現状を把握できた


(ん?なんか震えてる?)


視線を下に落とすと、杖が小刻みに震えている


(隠し扉みぃ~つけた!)


チラリとセリーヌを見る

何やら熱く語っているが、ユウにはただの意味不明な言葉にしか聞こえない


(さっさとBの空間に行こう)


セリーヌの相手をするのが面倒になったユウ

隠し扉が見つかった今、ココに残る理由は無い


「開け」


小声でそう言うと、静かに扉が現れ無音で開いた


(へぇ~…セリーヌに気づかれずに開けたいって思ったからか、音が出ない

 なるほど、イメージすれば音も消せるんだ!)


新たな発見をし、ユウはセリーヌしかいないCの空間を後にした


「はぁ…変な事に巻き込まれたなぁ…」

「何が??」

「あ、ライナ…さっきセリーヌって子に会ったんだけど…」

「あぁ、あの子ね~

 あの子は、ただの勘違い女よ」


ズバリと酷い事を言うライナ


「まぁ…確かに…」

「何!?アイツに何かされたの!?」

「ライナうるさい…ココにいる皆に聞こえてるけど」


リュウに言われ周りを見る

セリーヌ以外のクラスメイト全員が揃っていて、

ライナの声に驚いたのか皆ユウとライナの方を見ている

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