月からきた猫

街が眠る静かな夜

眠れずにいた僕は、ベランダから空を見ていた。

今日は満月で、月明かりがとても眩しい。

手を翳せば、夜だというのに影絵が出来上がる。

ふと、少し前を見やれば、お向かいの家の屋根に、一筋の光のシャワーが降り注いでいる。

なんであそこだけ?

疑問をもち、首を傾げた僕は、今宵、とても不思議なものを目にした。

そいつはまるで

今日の月みたいな黄色の目をしてる。

君はあの月から来たのかい?

そう聞いた僕にすました顔した真っ白な猫は、ぴたん、と尻尾を軽く僕の手に打ちつける。

馬鹿じゃないの?と鼻であしらわれたような気がする。


真ん丸満月の今晩は、月明かりから猫が出てきた晩でした。


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300文字の恋の話 渚乃雫 @Shizuku_N

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