放送するPPP
「大衆に直接語りかけてこそ、社会活動なのよ!」
プリンセスが、いつものようになにかの本の受け売りを偉そうに語っていた。
「別に私たちは社会活動家ではないけどね。」
私の言葉をプリンセスは軽くスルーした。
「というわけで、みんな、これをつけて。」
プリンセスは足元に置いてあった箱の中から、ヘッドホンとマイクを取り出して5人それぞれの前に置いた。
「今から、ラジオをやるわよ!」
「ラジオ?」
「そう。録音はマーゲイがやってくれるわ。生放送ではないし、気楽にやってちょうだい。」
プリンセスは嬉々とした表情でヘッドホンを装着する。
「ちょっ、俺たちなんにも聞いてないぜー?」
イワビーが抗議するが、プリンセスは台本を配り始めた。
「この台本に沿ってやればちゃんと進むわ。それじゃあ、始めるわよ!」
私たちは慌ててヘッドホンをつけてマイクのスイッチを入れた。
♪オープニングBGM♪
プリンセス「PPPの」
全員『ぺぱらじっ!!』
プリンセス「みなさんこんばんは!ロイヤルペンギンのプリンセスです。」
コウテイ「コ、コウテイペンギンの...うぅ、ムリだ。」
ジェーン「はっ、コウテイさんが自己紹介でもう気絶してます!...あ、どうも。ジェンツーペンギンのジェーンです。」
イワビー「イワトビペンギンのイワビーだぜ!」
フルル「フルルー。フンボルトペンギン。」
プリンセス「ちょっと、コウテイ、しっかりしなさい。」
ベシッ(フリッパーでコウテイの顔を殴打する音)
コウテイ「はっ。す、すまない。コウテイペンギンのコウテイだ。」
プリンセス「まったくもう。」
ジェーン「この番組は、私たちジャパリパークのペンギンアイドルユニットPPPが、なんやかやと喋る番組です。」
イワビー「いやー、雑な番組紹介だぜ。」
プリンセス「ついに始まったわね、PPPのぺぱらじっ。」
フルル「ねえねえ、どうしてタイトルの最後に小さい『っ』がついてるの?」
プリンセス「そのほうが、なんかいい感じに聞こえるからよ。」
フルル「へえー。」
プリンセス「みんなはどう?最近、なんかいい感じのことあった?」
コウテイ「話の振り方も雑だな...」
ジェーン「そういえば、昨日の練習でイワビーさんの胸元がいつもよりはだけていて、いい感じでした。」
イワビー「お前、どこ見てんだよ。恥ずかしいだろうが。」
フルル「私、今朝じゃぱりまんを2つ食べたよー。」
プリンセス「よかったじゃない。でも、あんまりたくさん食べると太るわよ。」
フルル「いつもは4つ食べるんだけど。」
コウテイ「いつもの半分だった!」
フルル「そんなわけでお腹空いたから、じゃぱりまん食べていい?」
プリンセス「収録中よ。我慢しなさい。」
フルル「ぐー...」
ジェーン「フルルさん、寝ちゃいました。」
イワビー「本当に自由なペンギンだぜ。」
プリンセス「まったくこの子は...。こんな感じでグダグダだけど、PPPのぺぱらじっ、スタートです!」
ジェーン「この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りします。」
コウテイ「いや、ラジオだから見えないだろ。」
イワビー「じゃあ、さっそくみんなからのお便りを紹介していくぜ!」
ジェーン「まずは、ラジオネーム『木の上のネコ』さんから。みなさんこんばんは。私はPPPが好きすぎて、鼻血が止まりません。どうしたらいいですか?」
プリンセス「耳鼻科に行きなさい。」
コウテイ「コメントそれだけ?!」
プリンセス「だって、見てよ、コウテイ。こんなにお便りが来てるのよ。たくさんコメントしてる時間はないわ。」
コウテイ「たしかにこれは100通くらいあるか。でも、全部番組で読む必要はないんじゃ...」
ジェーン「ちなみに、ここにあるお便りの8割は『木の上のネコ』さんからです。」
コウテイ「差出人の察しがつくな。誰とは言わないけど。」
ジェーン「そして残りのお便りのほとんどは、『森の賢者』さんと『その助手』さんからのコンサルタント料の請求書です。」
イワビー「さっさとじゃぱりまん100個を払うのです。じゅるり。だってよ。」
プリンセス「今までいろいろ相談に乗ってくれたのは全部有料だったの?!」
コウテイ「親切なふりして...。悪どい商売だな。」
イワビー「気を取り直して、続いてのお便りは、ラジオネーム『ぱぴぷぺぱぷ』さんからだぜ。」
フルル「わー、半濁音ばっかりだねー。」
プリンセス「フルル、起きた途端に難しげな単語を使いだしたわ。」
イワビー「こんばんは。いつも楽しく聞いてます!」
ジェーン「今回が第1回のはずですけどね。」
イワビー「さて、私はこの前、アリツカゲラのロッジに泊まってきました。とっても心地よく過ごすことが出来て、また行きたいなと思いました。ところで、チェックインする時にアリツカゲラさんから『宿泊ですか?』と聞かれました。宿泊じゃなかったら何があるんでしょうか?気になりませんか?...だってよ。」
ジェーン「きゅ、休憩ですかね!そうですよね、宿泊じゃなかったらご休憩しかないですよね!!」
プリンセス「ジェーンのテンションが急に上がったわ。」
ジェーン「その件に関しては、至急プリンセスさんとコウテイさんを派遣して調査します!」
コウテイ「なんで私とプリンセスなんだ。」
イワビー「いいじゃねえかー。(ニヤニヤ)」
プリンセス「わ、私は別に構わないけど...///」
コウテイ「なんでプリンセスが頬染めてるんだ。わけがわからないよ。」
フルル「今のコウテイみたいなのをラノベ主人公って言うんだよね。」
プリンセス「あら、そろそろ時間ね。みなさん、たくさんのお便りありがとうございました。これからも、番組へのご意見、ご感想、私たちへの質問、尋問、罵詈雑言、どしどしお寄せくださいね!」
コウテイ「最後の2つはなんだ?」
フルル「それでは、ここで1曲。どうぶつビスケッツで『ホップステップフレンズ』。」
プリンセス「あ、私たちの歌じゃないのね。」
♪『ホップステップフレンズ』オンエア中♪
イワビー「ふいー。のどがかわいたぜ。」
フルル「この部屋、少し暑いもんね。」
プリンセス「水飲んだら?」
イワビー「いや、このしゅわしゅわするやつにする。」
コウテイ「ブースにコーラ持ち込んだの誰だ。」
イワビー「ぷはー、うめぇ!」
ジェーン「みなさん、そろそろ曲が終わりますよー。」
プリンセス「さて、それでは、次はこのコーナーです!」
全員『5文字でぺぱぷー。』
ジェーン「このコーナーでは、お題に沿ってPPPの5人が思い浮かべた5文字の単語を、1人1文字ずつ発表していきます。5人同じものを思い浮かべれば、きちんとした単語になるはず!」
プリンセス「小さいゃ、ゅ、ょは前の文字と合わせて1文字とするわ。まずは、簡単なのから行くわよ。」
イワビー「それじゃぁ、お題。...げふっ!」
コウテイ「げふっ?」
イワビー「いや、ちょっとコーラ飲みすぎて...」
プリンセス「だから言ったじゃないの。」
イワビー「うー...。お題。フルルも大好きな、俺たちの主食といえば?」
コウテイ「うん。まあ、これは簡単だな。」
プリンセス「じゃあ、みんなの答えを発表するわよ。」
コウテイ「じゃ」
プリンセス「ぱ」
ジェーン「り」
イワビー「ま」
フルル「び」
フルル以外『び?!』
フルル「えー、私が好きなのはたこわさびだよー。」
イワビー「知らねえよ!」
コウテイ「これは、意外に難しいかもしれないな。」
フルル「次のお題、行くよー。ライブの終わりにあると嬉しいのは?」
プリンセス「あれしかないわよね。」
コウテイ「ア」
プリンセス「ル」
ジェーン「コ」
イワビー「ー」
フルル「ル」
ジェーン「プリンセスさん...。」
イワビー「ここは『アンコール』だろ。」
プリンセス「な、なによ、その残念なペンギンを見るような目は。ライブ終わりにあると嬉しいじゃない。アルコール。」
コウテイ「じゃあ、最後のお題行くよ。『どったんばったん』に続く言葉といえば?」
コウテイ「お」
プリンセス「お」
ジェーン「さ」
イワビー「わ」
フルル「ね」
コウテイ「ああ、大澤ね。」
プリンセス「誰よ、それ。」
フルル「あ、2番の歌詞と間違えちゃったー。」
ジェーン「最後までグダグダですね。」
イワビー「い、以上、5文字でぺぱぷのコーナーだったぜ。...うー、げふっ」
ジェーン「では、ここでリクエストを1曲。ラジオネーム『ゆきやまちほーのゲーマー』さんからのリクエストです。ミルキィホー○ズで『正解はひとつ!じゃ○い!!』!」
プリンセス「もはや別のアニメの曲来た!ぜったいほかの番組と間違えてるでしょ!!」
♪『正解はひとつ!じ○ない!!』オンエア中♪
イワビー「コ、コウテイがかつてないほどのハイテンションで歌い踊っているぜ。」
ジェーン「コウテイさんがミル○アンだったなんて知りませんでした。」
プリンセス「なんだかこの曲懐かしい...。というか、私も振り付けを完璧に覚えているわ。」
ジェーン「『ゆきやまちほーのゲーマー』さんによると、この曲を聞くと無性にピンクの服を着たくなるそうです。」
プリンセス「なぜかしら。私は緑色の服を着たい気分だわ。」
フルル「ここで、PPPからのお知らせです。」
ジェーン「PPPのメジャーデビューアルバム『ペパプ・イン・ザ・スカイ』が4月25日に発売されます。」
イワビー「みずべちほーのステージでリリースイベントを行うから、みんな来てくれよな!」
プリンセス「イベント日時やチケットの入手方法などの詳細はよく知らないから、マーゲイにでも聞いてちょうだい。」
コウテイ「いい加減な告知だな。」
ジェーン「そして、プリンセスさんのソロイベント『のみこい!』が、プリンセスさんの思い立った日に開催されます。」
プリンセス「とりあえず、私が飲みたいと思ったら、知ってるフレンズに片っ端から声かけるから、みんな嫌がらずに楽しみにしててね!」
フルル「たしか、いつも5次会までやるんだよねー。」
イワビー「みんな、危険を感じたら野生解放して逃げるんだぜ。」
コウテイ「以上、お知らせでしたー。」
プリンセス「さて、PPPのぺぱらじっ、そろそろエンディングのお時間です。みんな、初めてのラジオはどうだった?」
イワビー「いやー、喋った、喋ったー。...げふっ。」
コウテイ「緊張したな。」
ジェーン「もっとお二人の絡みが欲しかったです。」
フルル「お腹空いたー。」
プリンセス「それでは、PPPのぺぱらじっ、今回はここまでです。次回も楽しみにしててくださいね!」
全員『またねー!』
プリンセス「ふー。終わったわね。」
マーゲイ「みなさん、お疲れ様でしたー。」
コウテイ「マーゲイも録音お疲れ様。うまく録れてる?」
マーゲイ「ええ、もちろん!バッチリです...よ?え?あれ?あれ?」
ジェーン「なんだかマーゲイさんが青い顔してますよ。」
フルル「あれー、レコーダーに録音用のテープが入ってないよー。」
イワビー「まさか...」
ペンギンさんのフリッパー攻撃は、メガネが吹っ飛ぶくらいの威力で、それはそれは痛いのです。(マーゲイ 談)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます