サプライズの準備

食事も終わり、女性陣は風呂に男性陣は食堂の片づけをすることになった。

「ごめんね、手伝ってもらっちゃって」

 そういってファフさんが笑いかけてくる。

「そんなことないよ、主賓は二人だったんだから本来こういうことは俺達主催側がやるべきなのに……」

 食器を洗いながら隣で食器を拭くファフさんにそう言うと彼は笑いながら

「妻の意見には逆らえないから仕方ないよ」

そういって拭いた食器を棚に片づけていく。

 

 片付けも終わったので椅子に座り、二人で酒を飲んでいると屋敷のドアがノックされる。

「どなたですか?」

 そういってドアを開くとファフさん達の家を建築させるために召喚していたゴーレムが立っていた……。

「ほえぇーっ、凄いですね! 神獣のフェンリルさんだけじゃなくてゴーレムみたいな古代魔導具も使用できるんですね?」

 そういってファフさんは、物珍しそうにゴーレムをペチペチ叩いている。

「ゴーレムたちがここに来たってことはファフさん達の家が出来上がったんだと思います。ピラトゥスさんが風呂から出てきて、俺達も風呂に入ったら出来上がった家を見に行きましょう」

 そういってゴーレムを親指サイズに小さくしてネックレスにする。

「コイツは昔、フェンリルと一緒に初めて手に入れた大事な仲間なんですよ、だから昔からの癖で肌身離さず持っているんです」

 そういってネックレスにしたゴーレムを首に提げて、風呂から出てきた女性陣に家が出来上がったことを報告する。


「そっか、それじゃあ、みんなで出来上がった家を見に行こうよ!」

 俺達はみんなで出来上がった家を見に行くと、そこには二人が住んでいた山小屋よりも二回りほど大きなログハウスが出来上がっていた。

「へぇーっ、ここが私達の新しい家なんだね!」

 そういってピラトゥスさんが嬉しそうに家の中を見て回っている。

「俺達の家からは少し離れているけど何か困ったことがあれば協力するから言ってくれ。それじゃあ夜も遅いし俺達は家に帰るな」

 そういって俺達4人は満点の星空の下、手を繋ぎながら一緒に歩いて帰った……。

「雲一つないですし、明日は晴れそうですね! フレイとご主人様の洗濯物も溜まっていますし、晴れそうで良かったです」

 そういってフレイヤはやる気に満ち溢れた顔で俺を見つめてくる。

「明日は、俺も掃除手伝うから大掃除でもするか!」

 そんなこんなで明日は全員で屋敷を隅から隅まで掃除することになった。


「ファムさん、この刀なんだけど何処にしまう?」

 そういって客間に置かれていた刀を手に食堂で掃除をしているファムさんとフレイヤのところに持っていく。

「それ素手で触って大丈夫なんですか? 妖刀【鮫丸】って呼ばれていて人に害をなすものなんですよ」

 慌てた様子でファムは俺の手から刀を取り上げて大丈夫か尋ねてくる。

「うぅーん、特に変化は……。あっ、魔力が吸収されてたかも? この刀って黒の鎧と一緒の装備品なのかも?」

 そういって刀を見つめるとファムさんが頭を叩いてくる。

「人が心配しているのに何を悠長にしているんですか、まったく……」

 そう言いながらもどこか嬉しそうに俺を見つめて微笑んでいた。


「ご主人、背が届かないから手伝ってくれないか?」

 厨房に行くとフレイが背伸びをしながら上にある棚からお皿を取り出そうとしている。

「椅子とか使えばいいんじゃないか?」

 そういって食堂から椅子を持ってくるとフレイは頬を膨らまして『なんか負けた気分になるので嫌です』と言って、頑なに拒否してくるので俺は仕方なく椅子を使い棚の上の方に置いてある皿を取りフレイに渡していく。

「ありがとうご主人、おかげで助かったよ! 今日の夕飯は楽しみにしていてくれ」

 そういってフレイ料理を作り始めたので俺は邪魔にならないように厨房をあとにした。


「うぅーん、ここにも明かりがあると良いんだけどなぁー」

 そんなことを言いながら滝の裏側にある横穴のある物を作りにやって来た……。だけど松明の光りを頼りに作っているから四苦八苦している。

「【燈籠ともしび】」

 そういって辺りを明るくする魔導を唱えて隣にやって来たのはファムさんだった。

「ありがとう、明るくなったから作業がしやすくなったよ」

 お礼を言うとファムさんが俺の顔を覗き込んでくる。

「こんなところで何を探しているんですか?」

 隣にしゃがみ込み俺の手元を見つめてくる……。

「いやっ、ここに金床とか炉があったから、ちょっとある物を作っていて……。ファムさんは温室の掃除とかしてきなよ♪ 此処の掃除とかは俺がしておくからさ!」

 そういってファムさんを温室に向かわせて俺は作業を続ける……。

「今日の夕飯までには出来上がりそうだな……。ファムさん、喜んでくれるかな?」

 ファムさんが喜ぶ顔を想像しながら作業を再開する。

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