過去との邂逅
「ただいま、屋敷に鎧か甲冑ってある?」
屋敷に戻り食堂に居た三人に尋ねるとフレイヤが何か思い出したのか手招きをして『ついてきてください』と言うので、ついて行くと庭の奥に滝があった……。
「家に滝があるとは思ってなかった……」
そういうとフレイヤは少し驚いた顔で俺を見つめたあと氷結魔導を使い、滝を凍らせる。
「この滝の向こう側に甲冑があったと思います。ご主人様、外に目を向けるのも良いとは思いますが、まずは屋敷のことをもっと調べて、どこに何があるのか把握するのが先決だと思います」
そういってモーニングスターを何処からか取り出して、凍った滝を目掛けて振り下ろす。
「さあ行きましょう!」
二人が通るには充分すぎる穴が一撃で出来上がった。
「これが一撃でかよ……。力だけだったら確実に負けるかも……」
そういって苦笑いするとフレイヤは少し頬を膨らまして『それは、私がバカぢからって言いたいんですかぁー』といって見つめてくるので『違うよ』と言って彼女の後ろをついていく。
「ここです」
滝の裏側にあった洞窟を歩くこと5分、洞窟の拓けた場所に出て、そこには大きな金庫と黒い甲冑が置かれている。
「何か、いかにも魔王って感じの甲冑だな……。ご丁寧にマントなんかもついてるし……」
そういって甲冑を装着すると思っていたよりも軽く動きやすい……。
「その甲冑、付呪されていますね。魔力の流れが少しおかしいです……。大丈夫ですか?」
甲冑を装着してからそんなことを聞かれても……。だけど特に変わったことは……。
「あっ、魔力が吸われてる……。ただ吸われる量と自動で回復できる量を比べると回復する量が多かったから気がつかなかった……。この甲冑を着ている時は極力魔導は使わない方が良いかも」
そう言いながらも魔法陣を構築して転移魔導を唱える。
「フレイヤもついてきて」
そういって彼女の手を取って魔法陣の中に入ると景色は一変し、俺とフレイヤは城門の上に移動する。
「遅かったですね、てっきり逃げたのかと……」
隣には既に着いていたのか、マーニさんが俺のことを少し怒って顔で見つめていた。
「ごめんごめん、それよりも、この下に女の子が言ってた武装した人が居るんだよね?」
そういって下を覗き込むと武器や農工具を持った男やそれを見つめる女性や子供が居る。
俺は深く深呼吸をして声を掛ける。
「そこで何をしているんだ、魔族と人との争いは終わったはずだ……。武器や農工具で無理矢理、門を開こうとしているということは戦争の意思ありと見なして抹殺するぞ」
そういって下で武器や農工具を振りかぶる人たちに向けてマーニさんから借りた戦槌をかざすと何故か人達はクスクスと笑っている……。
「お情けで和睦してもらった魔族が何を言っているんだ、クズ王様から聞いた話だと化物の子が死ぬ直前、魔王に瀕死の重傷を負わせて魔族はほぼ隷属する条件を飲んで和睦という形になったらしいじゃないか……。お前たちこそ私達にそんな態度をとって良いと思うのか? お前たちの方こそクズ王様の軍隊で滅ぼすことだって出来るんだぞ」
あのクズは国民にどんな嘘を教えているんだ……。
「化物の子って、ご主人様のこと? 許さない……」
そういうとフレイヤは手のひらに魔力を集めて火球を作りだす。
「ちょっ、平気、平気だから落ち着いてくれ」
怒るフレイヤを何とか宥めて、俺は威張り散らしていた農民に話しかけようと顔を見ると彼は俺の両親と妹を殺した村長だった……。
「本当に勇者さんは死んだのですか? 私の記憶では勇者さんは一命をとりとめて放浪の旅に出ていると伺いましたが? 特に頭を下げて和睦を願い出たのはクズ王だったと認識しています。私は皆さんと違い和睦調停の場に居たので、おそらくクズ王が見栄を張っているのではないでしょうか? 私達は貴方達、人の奴隷になった覚えもなるつもりもありません。何か御用でしたら対等の取引なら応じます。それ以外でしたらお引き取りください。でないと私達も本気で貴方達を犯罪者として捕らえなくてはいけなくなります」
そういって睨みつけるが効果は無かったようで、男達は武器や農工具を振り上げ、門を抉じ開けようとしてくる。
「どうやら話は聞き入れてもらえなかったようですね? それでは貴方達を犯罪者として捕縛させていただきます」
俺は門の前に飛び降り、門を開けようとする男達を蹴り飛ばし拘束魔導を唱える。
「さてと、ひとまず全員捕まえることが出来たかな?」
門をこじ開けようとしていた男達を助けようとした女性や子供たちも捕まえた……。
「こんなことをしてただで済むと思うなよ!」
鋼鉄のワイヤーで身動きが取れなくなっている村長が俺を睨みつけてくる。
「犯罪者を捕縛しただけですから私が罪に問われることは無いですから大丈夫です。それに王都の軍隊じゃ私に傷をつける事なんて不可能だと思いますよ」
そういって兜を外して顔を晒す。
「おっ、お前は……」
俺の顔を見た村人や村長たちは顔を青くして震えている。
「ご主人様、顔を晒すのなら最初から着ける必要は無かったんじゃないでしょうか?」
そういって門の上から様子を見ていたフレイヤが不思議そうな目で見つめてくる。
「それだとつまらないじゃん、俺だって気づいて絶望の顔に変わるコイツらの顔が見たかったんだよ」
そういって笑いかけ、魔導を使い、うな垂れる農民たちを拘束したまま陸閘の内側に連れて行く。
「罪人には罰を与えないといけないよね」
そういって俺は村長の首元に剣の峰を押し当てる。
「頼む、私の財産や地位は全てお前に譲渡するから私の命だけは見逃してくれ」
村長はそういって俺の足に擦り寄ってくる。
「私達は何も関係ありません、村長はどうなってもいいので私達を解放してください」
農民たちは村長を睨みつけて助けを求めてくる。
「お前たちは、そういって泣いていた俺の妹や両親を助けたのか? 燃えていくのをただ眺めていただけだろ? 同罪だよ……。死なせてくださいって言うくらいの苦痛を味わわせてやるよ」
そういって俺はマーニさんに耳打ちをしたあと農民たちを4つのグループに分ける。
1つ目のグループが年寄りと子供たち
2つ目のグループが若い女性
3つ目のグループが若い男性
4つ目は村長や門をこじ開けようとした男達
1・2・3のグループはそれぞれ檻に入れて4つ目のグループは3つの檻の中が見えるように少し高いところに移動させる。
「それじゃあ執行しようか」
そういって俺はマーニさんの手を握り、彼女に合図を送る。
「キャァァァッ!」
叫び声のした方を見ると1つ目のグループの檻の中に大きな狼のような真っ赤な魔獣【ヘルハウンド】が数体現れ、子供や年寄りを蹂躙していく……。
「アレン、アレン!」
そういって村長の近くに居た男は泣き叫び俺のことを睨みつけてくる……。どうやら今ヘルハウンドに喰い千切られた男の子の父親だったのだろう……。
「貴方達が俺の両親や妹を目の前で殺したのと同じことをしただけです。大丈夫です。すべてが終わったら直ぐに会わせてあげます」
そういうと2つ目の檻の中に小太りなシャーマンの格好をした【トロル】が現れる。
「彼女達にはトロルの性欲の捌け口になってもらって、孕んでもらい労働力を確保したいと思います。たぶん生まれてくる子供は人間とのハーフだから理解力もあるでしょう? まぁ、ダメだったとしても繰り返せば何とかなるでしょ」
説明が終わると同時に2つ目の檻からは女性たちの喘ぎ声と獣の様な女性の声が聞こえてくる。
「ほら村長、お前の大事な一人娘には特別な魔獣サイクロプスを用意したんだ」
そういって村長の一人娘が檻に入れられて目の前に運ばれてくる。
「それじゃあサイクロプス投入!」
俺の言葉と同時に2メートル程度の一つ目の鬼【サイクロプス】が檻の中に入れられて、あっという間に村長の娘は服を剥ぎ取られサイクロプスに犯されていく……。
「うわっ、グロッ……。ちょっ、向こうに持って行って」
娘が侵される姿を見て村長は俯き涙を流している……。
「次は3つ目の檻だからしっかり見ろよ、お前たちは俺の家族を殺したんだから」
そういって俯き、涙を流している村長の顔を掴み、3つ目の檻に顔を向かせる。
「3つ目の檻には魔獣最強って言われて恐れられている【インフェルノグリズリー】を投入します。死にたくなければ置いてある剣で抵抗してね」
その言葉と同時に金色の体毛で目が赤く血走っている大きな熊が咆哮をしてゆっくりと檻の中に入っていく。
「俺は、俺はまだ死にたくない。メアリーだって俺のことを待って……」
一人の男が剣を振りかぶり勇敢に立ち向かおうとするので俺は3つの檻の敷居を降ろし互いに干渉出来るようにする……。
1つ目の檻は既にヘルハウンドに全滅させられた後でいくつもの死骸が転がっている。
2つ目の檻はトロル達が腰を振り、女達は蕩けた顔で『トロル様の子を孕むぅーっ』と言っている。
その様子を見た3つ目の男達は剣を落し、呆然としているうちに次々とインフェルノグリズリーに殺されていく……。
「直ぐに会わせてやるからな」
そういって俺は笑いながら村長たちの腹を剣で突き刺していく。
「痛いだろ? 大丈夫、直ぐには殺さないから」
そういって回復魔導唱えて傷口を塞ぎ、また突き刺す……。
その行為を何回、何十回と繰り返す……。
『死にたい』と懇願してくるまで永遠に……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます