魔神、現る!……が、タイミングが……
あきらさん
第1話
僕は突然、魔神に出会った。
「私は魔神!お前の願い事をどんな事でも一つだけ叶えてやろう!」
我慢が限界に達し、ギリギリの所で公衆トイレに入った僕は、用を足している最中に紙が無い事に気付いた瞬間、その魔神が便器の中から現れた!
「あっ!」
予想していなかったタイミングで現れた事に驚いた僕は、手がすべってスマホを便器に落としてしまった!
魔神と名乗る、ヘンテコな姿をしたプチマッチョのそいつの胸には、カウンターのような物が表示されていた。
60から徐々に数字が減っている所を見ると、どうやらカウントダウンをされているようだった。
「残り時間は少ない。早く願い事を言え!」
何が何だか分からない僕は、とりあえず現実を受け入れようとし、いろいろな事を必死で考えた。
どんな願いでも叶えてくれる?
今はトイレットペーパーが欲しい!
いや!?新しいスマホが欲しい!
いや!?良く考えろ!!
どんな願いでも叶うんだったら、金持ちとか永遠の命とか、草彅剛みたいなイケメンになるとかいろいろあるんじゃ……
魔法使いになるとか、非現実的な事でも大丈夫なのか?
いや……まてよ……
その前に、本当にどんな願いでも叶うんだろうか?
魔神の力を超えるものは無理とか、命と引き換えに願いを叶えるとか、この手の願い事にはリスクや制限がつきものだぞ。
その辺をちゃんと確認しておかないと、後でえらい事になりそうだ。
この時点で、何の疑いも無く魔神の存在を信じきってる僕もどうかと思うが、こんなチャンスはまたと無い!
とにかくノーリスクでどんな願いでも叶えられるのか、それを確認するのが先だ!
胸のカウンターは残り30となっていた。
「魔神様!僕は
「太郎太!!お前の願いを叶えてやろう!!」
「えっ!?えっ!?何!?願い!?まだ何も願ってな…」
「そう!!この魔神様はノーリスクでどんな願いでも叶える事が出来るのだ!!」
「!?」
「これで太郎太の願いは叶い、胸のわだかまりはとけた!さらばだ!!」
「えっ!?ちょっと待って!!今のは願い事じゃなくてただの確認です!!まだ行かないで〜!!」
魔神は自分で便器の水を流し、僕のスマホと一緒に排水の奥深くへ去って行った……
落ち込む僕は天を見上げると、上の棚にはストック用のトイレットペーパーが置かれていた。
そして、そのトイレットペーパーでお尻を拭こうと、手に巻き付けていると、トイレットペーパーに何やら文字が書かれているようだった。
「む・ね・の・タ・イ・マ・ー・は・カ・ッ・プ・ラ・ー・メ・ン・用・で・す・。・魔・神」
「どうでもええわ!!」
魔神、現る!……が、タイミングが…… あきらさん @akiraojichan
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