ヒーロー達のプロローグ

進藤武蔵について

 コックピット内でシミュレーターを起動し、仮想敵を続々と撃墜していく男。

 首から下げたドッグタグには、“進藤武蔵(性別や名称変更可能)”と書かれていた。


「さて、このくらいか」

 新しく受領した機体のテストを済ませたおれは、コックピットから外に出ると、備え付けのワイヤーリフトで地上に降下した。

「それにしても……。“漆黒”、か……」

 見た目通りの名前だ。

 いかつい顔をしてるし、機体自体もごつい。

 おれの受領した機体は、明らかに違った代物しろものだった。


 各種実弾系の装備、今まで使っていた清夜には無いミサイルコンテナ、そして圧倒的な出力を持つブースター。


 今まで戦ったアレヴィアルやエーギアス型のデータを用いて演習してみたが、あっけなく撃墜出来た。

 しかも被弾ゼロでだ。

「これは……光明が見えたな……」

 しかし、疑問が一つだけある。

 なぜ司令部は、わざわざおれ専用のカスタムを施したのだろうか?

 いや、機体特性の点もあるが、そうじゃない。「生体認証」ってやつだ。

「ま、今は頼るだけだ。よろしく頼むぞ、相棒」

 おれは機体に背を向けると、格納庫から去った。

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