妹の悪夢
最近私の妹が怖い。
どういう意味かって、寝ながら歩いたり話したりする。
ただ寝ぼけてるだけじゃないの?って思うでしょ、違う違う。
これは数日前に起き始めた出来事。
私は現在十八歳で、受験生。目指している大学に向けて毎日徹夜して勉強している。
いつもの様に部屋で勉強していると急に二歳下の妹の部屋から、
ドンドンドンドンドンドン!
って壁を叩いている音が聞こえて。
最初はおかしいな、って程度だったんだけど流石にうるさすぎるし、もう0時を過ぎている。こんな夜中に何をしているのか知らないが、両親も寝ているし、近所迷惑だ。
私は席から立ち上がって隣の妹の部屋をノックしに行った。
コンコン
「何やってるの」
私はなるべく大きな声にならないようにドア越しに話しかけた。
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン
私はため息をついた。どうしたんだろう、私の妹。
「入るよー」
一言かけてからドアを開く。一瞬壁を叩く音が大きくなってドキリとした。
部屋の隅の方で妹がひたすら壁を叩いていた。
手をグーにして壁の一点をずっと叩いている。
腰辺りまで伸びたその黒髪はゆらゆらと揺れていた。
あれから五分以上は経っていた為、私の中でイライラが既に蓄積しており、妹に怒鳴った。
「いい加減にして!うるさいし、近所迷惑じゃない」
大声は出せなかったが、自分の怒りを妹にぶつけた。
すると今まで壁を叩いていた妹が突然棒立ちになった。
いきなりの変化に何よ、と咄嗟に呟いてしまった。
さっきまでの激しい音が消え、部屋が異常に静かに感じる。
すると妹がバッっと私の顔を見た。しかし、いつもの活気ある目とは打って変わって、光の無い鈍い目。
私は妹が何かに取り憑かれたのではないかという考えが
「......あげ......て」
「なに?」
妹は何かを言おうとしている。
私は必死に聞き取ろうとした。怖い。
「閉じ込め......られ...て......る」
「何が?」
すると凄い勢いで彼女は目をカッと見開いた。
私はびっくりしすぎて心臓が口から飛び出すのではないかと思った。
「ここに閉じ込められているって!助けてあげてっ!」
「何を言っ......」
私の言葉は妹の行動によって喉へと引っ込んだ。
急に走り出したかと思ったら、ベットへ飛び込み布団に包まり、途端にブルブルと震え始めた。
「......そこにいるのは誰?」
彼女の目には恐怖の光が広がっていた。
そしてゆっくりと私の背後を指差す。全身に汗が流れ出るような不気味さを感じた。
「だ......れ......?」
私は恐怖に耐えきれず、部屋を出た。ドアの前で一息つく。
まだ妹があの目でこっちを見ていると思うとゾッとする。
翌朝。
私はいつもの様に寝起きの悪い妹を起こしに部屋へ入った。
しかしベッドに妹の姿はない。
どこだろうと周りを見渡すと勉強机の下で体育座りをして、こちらをじっと見据えながら震えている。
私の背後にまだ何かいるのだろうか。
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