實くんと岳くん
これはある男の子のお話。
学校では人気者、成績も常に上位。
なんでも器用にこなす優秀な男の子。
誰もが憧れる様な存在でした。
しかし彼は生涯誰にも言えないような、過去がありました。
◆ ◆ ◆
中学一年生の頃。
彼にはとっても仲のいい友達、
實くんと岳くんはいつも一緒にいました。
岳くんは實くんのことを友達として大好きでしたが、實くんは岳くんに恋心を抱いていました。
他の友達に自分は岳くんが好きだと言うと、皆『きもちわるい』と言って離れていきました。
それは岳くんにも伝わり、彼も實くんと仲良くしなくなりました。
實くんは皆に影から『きもちわるい』と言われることになってしまいました。
それでも岳くんを好きでい続けた實くんはこっそり岳くんの後をつけることにしました。
ある日の放課後のことです。
帰宅時いつもの様に岳くんの後をつけていました。
すると突然岳くんは信号無視をした車に撥ねられてしまいました。
しかもその運転手は逃げていってしまいました。
めったに誰も通らないその道には倒れたままの岳くんとそれを電柱の影から見ていた實くんしかいません。
實くんは泣き叫びながら岳くんの所へ駆け寄りましたが、残念ながら彼は死んでしまいました。
その場で岳くんを抱きながら思う存分泣いた實くんは彼を一生懸命家まで運びました。
その日に帰宅したのが深夜だった為、両親は既に寝ていました。
ズズズッっと音を立てながら實くんは岳くんの死体を家に引きずりました。
その日は特にできることがなかったので岳くんの死体を抱いて寝ました。
次の日から實くんの両親は十日間の出張に行かなければならなくなったので、彼は一人でお留守番をすることになりました。
既に岳くんが死んでから24時間以上が経過していた為、彼の下腹部は腐敗し、変色し始めていました。
死臭も酷かったのですが、實くんは岳くんが大好きだったので気にしませんでした。
しかしこのままではマズイと思った實くんは自分の家で岳くんの棺桶になりそうなものを探しました。
探しに探し、やっと見つけたのは自分の勉強机の横に置いてある木製のデスクチェストでした。
徐々に死後硬直が緩解してきていたので、實くんは彼の下半身を無理やり曲げてデスクチェストの一番下に押し込みました。
一番下の戸棚を引いたら岳くんが棺の中で寝ているように見えるようにしたので、これでもう寂しくなくなる、實くんは確信しました。
さあ両親が帰ってきたらどう説明しよう、實くんは思いました。
完
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