第5話 学校が始まったよ

「じゃあ食堂へ行こうか」

「うん!」


*


「ではこっちに座ってね」


 学年ごとに食堂の入る部屋が違った。

 俺たちの部屋は一番近い部屋。

 学年が上がるごとに奥になっている。


「席に着いたら時間まで自由にしていいわよ。同じテーブルの子と話しをしてみるのはどうかしら?」

「ごはんはまだなのー?」

「ごめんね。みんな集まってからなの」


 さっきまで寝てたのによく食べれるな。

 俺もシロと一緒に寝てればよかったな。

 けっこう歩いたから疲れてる。

 今は空腹より睡眠が欲しいぐらい。


「ジル眠いの?」

「うん、少し眠いかな」

「じゃあ少し寝てる?」


 席に着いても目の前には何もない。

 前世でいう授業中に寝る体勢が取れるというわけだ。


「少し寝てるよ」

「わかった!ごはんがきたら起こすよ!」


 俺は言葉に甘えて机に突っ伏した。

 ああ、なんか懐かしい感覚。

 高校の時よく寝てたなあ。


*


「ジル!おきてー!」

「おきてー!」


 あれ?二重で声が聞こえる。

 そんなに疲れていたっけ?

 でも寝てたしそんなことないと思うんだけど。


「あれ?この子は?」

「クロ!」

「クロエ・シルヴァール。クロでいいよ!よろしくね」

「よろしく、クロ。俺はジークシル・アウラティア」

「ジルでいいんでしょ?」

「うん。いいよ」


 いつのまにか同じテーブルに人がいた。

 周りを見たらちらほら人が集まってきてた。


 シロはクロと仲よさそうに話していた。

 こっちの姿でもうまくやっていけそうだな。


 それよりも問題がある。

 今の俺に男友達がいない!

 これじゃあ遊びに行こうにも誘う友人がいない。


「なにキョロキョロしてるの?」

「いやちょっとね。君は?」

「オレはガウリル・デリオル。みんなからはガウって呼ばれている。君は?」

「ジークシル・アウラティア。ジルでいいよ」

「よろしく、ジル。隣いいか?」

「もちろん!」


 早速男友達ゲット!

 これは幸先いいぞ。

 入学してすぐに友達を作らないとすぐ固まってしまう。

 これが本当に大切。



「みんな揃ったかしら?」


 それぞれのテーブルに大人の人が来た。

 テーブルの数は15。

 4人ずつ座っている。


「私がみんなの担当をするユリア・シフィールよ。気軽にユリ先生とかでいいわ」


 若い先生だな。

 俺が死んだ時と同じぐらいの歳ぐらい。

 目の保養ですな。


「みんなは学校はどいうところか分かるかしら?」

「学問を学ぶ?」

「難しい言葉を知っているわね。正解よ」


 前の世界で普通に使っていたからついつい。

 これに関しては一向に治らないな。


「今では勉強の他に戦闘訓練があるのよ」

「戦ったりするんですか?」

「そう!今はみんなの将来を考えて冒険に行く授業もあるわ!」


 まじか!?

 やっぱ魔法の世界だと冒険をしたい。

 というか今までしたかったけど止められていた。


「もちろん勝手に行ってはダメよ?危ないから行くときは私が一緒に行くからね」

「いつ行けますか?」

「楽しみなのね。早くても数日以内に行くわよ。お楽しみにしててね」


 久しぶりにテンションが上がった。

 楽しみだったから声が大きくなっちゃった。


(今までで一番嬉しそうね)

(仕方ないじゃないですか。本当に楽しみだったんですから)

(まだまだ子供なのね)

(そりゃリーシュさんから見れば――)

(それ以上は言っちゃダメよ?)

(…はい)


 女性に年齢の話はNG。

 例え神様でもね。

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