第6話 久しぶりにドラゴンを見たい
「授業についてだけど担当の先生が行うわ。冒険については明日話すわ。なにか聞きたいことある?」
「質問いいですか?」
「ええ。どうぞ」
「ユリ先生って冒険者なんですか?」
冒険には行きたい。
RPGのゲームを手に入れてやらないわけないじゃん?
でも普通は装備やパーティを揃えていくはず。
タイムアタックや縛りプレイではないからね。
「もちろん冒険者よ!それもけーっこう強いわよ?」
「ほんと!?」
シロが強いって言葉に反応した。
強いと思うけど張り合っちゃだめだぞ?
君は大勢相手で倒せるか倒せないかぐらいなんだから。
「本当よ!冒険の時は頼ってね!」
「「「「はーい!」」」」
*
「それじゃあご飯食べましょう!」
「「「「おおぉぉーーー!!」」」」
出てきたのは豪華だった。
家で食べたごはんより豪華だった。
人数が多い分はある。
「「おいしー!」」
シロとクロが同じことを言っていた。
しかも動きまで同じ。
なにこれかわいい。
「ジルは食わないの?」
「食べるよ?あ、シロ。ほらこぼさないように食べなよ」
「んっ!」
俺は手ぬぐいでシロのほっぺたに着いたソースを取った。
相変わらず世話が焼けるな。
「お前らって付き合ってるの?」
「「ぶっーー!!」」
ガウのやついきなり何を言うんだ!
せっかくの豪華な飯がだめになるじゃないか!
「なっ何言ってるんだよ!そんなわけないだろ!」
「ええぇ!」
なんでシロが驚くんだよ!
「シロ、まだチャンスはあるよ」
「うぅ、クロぉ~」
二人とも仲いいな。
女の子がじゃれ合ってるのを見るのけっこうすきだわ。
*
「シロは誰と同じ部屋なの?」
「ジルだよ!」
「「え?」」
なにその反応。
やっぱ変だった?
「ちなみにガウは?」
「オレはラウと一緒だよ。ラウ・ドルシー。今度紹介するよ」
「うん!」
「クロは誰と同じ部屋なの?」
「わたしは一人よ」
「えっ!寂しくないの?」
「大丈夫よ。もう慣れてるから」
「遊びに行くからね!」
「うん!絶対来てね!」
「お話もいいけど、ごはんも食べましょうね?」
「「「「あっ…」」」」
忘れていた。
せっかくの豪華な飯だからもっと食べよう。
*
「それじゃあお開きね。みんな真っすぐ部屋に戻るのよ?」
「「「「はーい!」」」」
「いくよ、シロ」
「う、うん!」
なんだ?
なんか歯切れが悪いな。
(ふふっ)
(どうしたんですか?)
(いえ、ちょっとこの後が楽しみでね)
(?)
どういうことだ?
さっきからシロが緊張しているのもそのせいなのか?
もしかして一緒の部屋だから?
いや、違うな。
今まで同じベッドで寝てたぐらい仲のいい兄妹ぐらいだし。
*
「じゃあオレの部屋はこっちだから」
「わたしの部屋はこっちー」
ここで解散か。
と言ってもそこまで遠くはないだろう。
学年ごと近くにあるし。
「シロ!頑張ってね!」
「うん!」
何か小声で話しているけど。
何か企んでいるのか?
*
「シロ、ちょっとおいで」
「どうしたのー?」
「いいからいいから」
俺が呼ぶと素直に近くに来た。
よし、これでよし。
「我が望む道の先へ誘え!
「なにこれ!」
俺たちの周りが光った。
その下には魔法陣が浮かんでいた。
「ここどこー?」
「ここは俺が見つけた人があまり来ない場所」
俺が両親に見つからないように見つけた場所。
けっこう広い野原で人がいない。
魔法を試しに使うにはうってつけの場所だった。
「どうしてここにー?」
「シロ、たまにはドラゴンの姿に戻りたいだろ?」
「いいの!?」
「ああ。ここなら大丈夫だよ」
誰も来ない場所だからそういう心配はない。
「じゃあいっくよー!ボンッ!」
「ガウガウ!」
久しぶりのドラゴンの姿。
家にいた時はちょくちょく戻っていたけどね。
さすがに学校だとそうはいかない。
*
30分ぐらいたった。
シロは満足したのか人間の姿に戻って帰って来た。
「ジル―!」
「もういいのか?」
「うん!」
「じゃあ時間も時間だし戻るか」
俺はもう一度魔法を使って戻った。
「これならいつでもドラゴンに戻れるから戻りたくなったら言ってね」
「うん!ありがとうジル!」
「ん!?」
俺と一緒に頬に温かい感触が感じた。
柔らかい。
「ちょっ!シロ!」
「へへへ。好きだよ、ジル!」
「お、おう」
何か企んでたのってまさかこれ?
(かわいいこと)
(リーシュさん、もしかしてこっちでシロとクロの話聞いていたんですか?)
(それはどうかしらね?)
これは知っていたな。
向こうで暇なときずっと見ているんじゃないのか?
テレビ感覚だな。
「と、とにかくもう寝るぞ!」
「うん!」
「ってシロはこっち!せっかくベッドが2つあるんだから!」
「えー!いいじゃん!」
「もう…。今日だけだよ?」
「うん!」
なんだかんだ一番甘やかしているのは俺だな。
でも可愛いんだから仕方ないよね?
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