第4話 学校へ行きますよ

 今更だけどRPGみたいな世界に学校が必要なのか?

 そう思っていた。

 けどあったほうがいいと思いなおした。


 まず命の危険性。

 たしかに魔法は親や師匠などを見つけ魔法を教えてもらえばいい。

 けどそうなると単独、共戦に慣れていない。


 この世界は魔法が使えるからと言って人類が上位に立っているわけではない。

 シロみたいなドラゴンなどの元が強い種族が上に立っている。

 だから人類は共戦を主としている。


 なら学校で魔法を教えつつ戦闘に慣れさせる。

 もし、魔法の解明・新技術などを見つける可能性がある人は研究へ。

 戦闘に優れていたら軍への招待が来る。

 まあたいていの人は冒険者になる。


 冒険者はいろいろなことをしている。

 主に依頼に出てきた危険な生物の討伐。

 薬草などの採取。


 ほかにも商人の護衛や軍への協力。

 町の防衛もやっている。

 人それぞれにあった仕事ができる仕事場みたいなところだ。


「ジルとシロは何になりたいの?」

「もちろん冒険者!」

「シロもぼうけんしゃー!」


 もちのろん冒険者に決まっている。

 地球とは違い、この世界は知られていないところもある。

 知られていないものもある。

 そんなの聞いたら冒険者になりたいもんだ。


 それとシロ以外のドラゴンとも会ってみたい。

 なぜならドラゴンが好きだからね。

 浮気とかじゃないよ?

 好奇心だからね?


「もう明日から学校だ。二人とも、決して無理をしてはいけないよ」

「「はい!」」


*


 学校開始の日。

 いつもより早く起きた。

 結構楽しみでもあるからね。


「おはようジル、シロ。よく寝れたか?」

「うん」

「ん~」


 シロはまだ眠いらしい。

 と言っても起きないと遅れちゃうからな。


「二人の用意は終わっているわ。ちゃんと忘れずに持っていくのよ」

「「はーい!!」」

「まあ朝ごはんをゆっくり食べる時間はまだあるから。先に食べようか」


 学校開始ということで朝ごはんだけどすこし豪華だった。

 かといってこってり系ではない。

 さすが母さん。

 料理に関しては敵わない。


*


「しっかり荷物は持った?忘れ物はない?」

「母さん大丈夫だって」


 心配してくれるのはうれしいけど心配し過ぎだと思う。

 まあ5歳だから普通はそうだよね。


「シロもほら。しっかり荷物は持ったかしら?」

「たぶん!」


 たぶんかい!

 母さんも俺も確認していたから大丈夫だとは思うけど。


「それじゃあいってきます」

「いってきまーす!」

「気を付けるんだよ」

「無理をしないでね」

「「はい!」」


 学校にいる期間は5年間。

 前の世界と一緒で長期休みがあって帰省もできる。

 それまでこの家とお別れだ。


*


「ジルー。学校までどれぐらいかかるのー?」

「歩いて昼頃だから大体3時間ぐらいかな」

「えー!遠いよー!」


 まあ俺も遠く感じるよ。

 前の世界だと車や電車もあったんだし。


「じゃあさ!じゃあさ!わたしに乗っていくのはどう?」

「え?冗談でしょ?」

「冗談じゃない!真面目だもん!」


 初日早々ドラゴンに乗って学校?

 まずいんじゃね?


「いい?シロ。学校ではまずドラゴンの姿になれないことが多いんだ」

「それは前聞いたよ!ドラゴンは人間よりすーっと強いからでしょ?」

「そう。だからみんな怖がっちゃうんだ」


 本人を目のまえで言うのもなんだけど怒るときには怒らないと。

 あー。そんな悲しい顔をしないでほしい。


「でも代わりに俺とずっと一緒にいることができるからさ」

「ならいい!そっちのほうがうれしい!」

「わっ!」


 いきなり抱き着いてきた。

 なんかふわふわしている。

 ロリコンではないからね?


「じゃあ行こうっか」

「うん!」


*


「そろそろ着くのー?」

「うん。ほら、あそこに学校があるんだ」

「おーっ!」


歩いてほぼ3時間。

 途中休みもはさんで予定より長くなった。


「シロ、すぐけんかとかしちゃいけないよ?」

「うん!」


 本当に分かっているのかな?

 いつも俺のことになるとすぐ怒るし。

 うれしいにはうれしいけどさ。


「早く行こうか」

「いこいこ!」


*


 学校に着くと外で運動会のテントみたいなのがあった。

 そこで受付を行っている。


「えー、入学者さんですか?」

「はい。ジークシル・アウラティアです」

「シロ・アウラティア!」


 シロも学校に行くってことになったから名前も少し変わった。

 ファミリーネームが付いただけだけど。

 変えようかと言ったら嫌がったし。


「じゃあ案内するからついてきてね。荷物は部屋に置かれているからね」

「「はい!」」


*


「ここがあなたたちの部屋よ。外に出るときはしっかり鍵をかけること。いいね?」

「「はい!!」」


 案内してくれたのは先生かな?

 案内をしてくれたらすぐ行っちゃった。

 まだ案内する子がいるから忙しんだなあ。


 ちなみに全学年でおよそ300人。

 1学年に60人しかいない。


 まあ前の世界でもこんなもんか。

 学校によっては全学年合わせても10人しかいないところもあるらしいし。


「言い忘れていたわ。時計は読めるかしら?」

「はい」

「じゃあ夕方の6時になったら食堂に来てちょうだい。学年ごとで場所が違うから気を付けてね」

「「はーい」」


*


「じゃあ荷ほどきをしようか。シロの荷物は?」

「ママが渡してくれた洋服しかないよー?」


 あらかじめ頼んでおけば部屋まで持っていってくれる。

 こっちの世界でもサービス精神がすごい。


 それにしても服だけか?

 というか気になっていたんだけど。


「男女同じ部屋なのか」

「ジルはいやなの?」

「嫌じゃないよ!全然!」


 そんな悲しい顔はしないでほしいよ。

 俺まで悲しくなっちゃう。


 でもなんでだろう。

 さすがに5年間になると男女分けるとのが普通となるけど。


「まあ細かいことはいいか」

「そうそう!今はあそぼ!」

「違うでしょ?って言っても荷物が少ないのか」

「?」

「残念だけど俺は荷物を片付けるから遊べないよ?」

「じゃあ寝てる!」


 そういうと部屋にあるベッドに行って寝ちゃった。

 寝るのはやいな。


 まあ俺は荷ほどきをするだけだ。

 シロと違って魔法の本や実験の道具を親に内緒で入れといたからね。

 夕飯までに終わるかな?


*


 夕方。

 無事に荷ほどきは終わった。


「シロ―。食堂へ行くぞー」

「ん~」


 おっとまた腕をつかまれそうになった。

 前みたいに噛まれるのはごめんだ。

 けっこういたいし。


「もうちょっとねてたいー」

「だーめ。時間通りに行かないと怒られちゃうよ?」

「それはいやー!」


 しぶしぶ起きた。

 あーあ。寝ぐせまでついちゃってる。


「シロ、ちょっとまって」

「今度はなにー?」

「髪がぼさぼさじゃん。直してから行こう」

「ジルがなおしてくれるの!?」


 え?俺変なこと言った?


「嫌だった?」

「全然!むしろうれしい!」

「そ、そうか。じゃあこっちにきて」

「うん!」


 シロが俺の前に座った。


 改めてみると綺麗な髪だなあ。

 白色というか銀色と似ている。

 けっこう目立つ色だ。


「せっかく綺麗な髪なんだ。しかも女の子なんだし。少しは大事にしなよ?」

「えへへへ。大切にするよ!」


 元気な返事が返ってきた。

 どうやらシロは褒めると表情に出やすい。

 そこがまたかわいらしいよねえ。

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