第2話 5歳になりました!

「ジル!5歳の誕生日!」

「「「おめでとー!!!」」」

「ありがとー!」


 ジークシル・アウラティア。

 元新崎亮です。

 こっちの世界に来て5歳になりました。


*


「ルシアさん。元気な男ですよ」

「ほんとね。元気でかわいい私の子だわ」

「名前はもう決まっているんですか?」

「もちろんよ。名前はジークシル。ジークシル・アウラティアよ」


(リーシュさん!これは一体どういうことですか!)

(あら。もう魔法を使えるのね。すごくかわいいわよ?)

(あ、ありがとうございます。じゃなくて!)


 なんで俺赤ん坊なの!

 てっきり19歳の姿からかと思ったよ!


(言ってなかったかしら…?亡くなったから転生するしかないのよ)

(聞いてませんですよ…)

(ごめんね?)


 声しか聞こえないけど何故か謝ってる姿が分かる。

 それほどインパクトが出かかった。


(まさか赤ん坊から魔法を使えるとは思わなかったわ)

(そうなんですか?でもまた話せてよかったです!)

(ふふっ。私もうれしいわ)


(遅くなったけど転生、つまり言葉通り人生をはじめからになるわ)

(まあ今赤ん坊ですし)

(まあもう1回赤ん坊を繰り返すだけだわ!)

(記憶があると少し背徳感が…)

(気にしないことも大切だわ!)


 そういうものなのかな?


*


「ジル、先に言っておきたいことがあるんだ」


 俺の新しい父、ノスタル・アウラティア。

 軍の隊長で相当強い剣士。


「なに?父さん」

「ジルには学校に行ってもらおうと思うんだが」


 学校か。

 前の世界でも行ってたな。

 苦ではなかったから構わないや。


「ほかの家の子も行くなら行くけど…」

「学校に行ってくれるのはうれしい。けど、」

「ガウ!」

「シロに餌あげないと!」


「学校に行ってくれるのはうれしいけど」

「そうね。でも問題は。」

「「ドラゴン(だ)よねぇ…」


*


 神様に頼んだものの一つ。

 ドラゴン。


 生まれて3年間は特に音沙汰がなかった。

 リーシュさんに軽く文句を言ったこともあった。


 そんな1年後。

 俺は一つの大きな卵を見つけた。


 これはもしや!と思いすぐにリーシュさんに連絡。

 案の定、ドラゴンの卵だった。


 孵化するのはそこまでかからなかった。

 生まれてきたときの最初の印象は白。

 きれいな白色の鱗に覆われたドラゴン。


 名前はシロ。

 犬ではないよ。


*


「それにしても育ち過ぎよねえ」

「そう?かっこいいじゃん!」


 生まれて1年。

 5歳の俺の身長なんてとうに超えている。

 5メートルぐらいかな?


「ジル。学校に行くときシロも連れて行くのか?」

「もちろん!」

「う~ん…」


 まずかったのかな?

 でもこっちだと普通にいるんじゃないのか?

 本にも載っていたし。


「ジル。よく聴いてくれ」

「?」

「シロを連れて行くのは止めはしない」

「うん」

「けど連れて行くなら契約獣として連れて行きなさい」


 契約獣。

 もしくは召喚獣とも言う。

 自分自身が戦わないときに便利な魔法。


 と言っても自分が完全に上の立場になるわけじゃない。

 どちらかというと対等。

 信頼度が大切な魔法だ。


「父さん、なんで契約しないといけないの?」

「ジルはずっと一緒にいるからわからないと思うけど」

「ドラゴンって本当はこわーい生き物なのよ?学校のみんながびっくりするわ」


 まあそうだろうとは思っていたけど。

 ゲームでもそうだったし。

 なにより自分たちよりでかい。

 その上鱗も硬い。


「シロはそんなことしないと思うけど。父さんがそういうなら」

「分かってくれてうれしいよ」


「契約は明日にしよう。今日はジルの誕生日だ」

「盛大に祝らないとね!」


 こっちに来てから何不自由ない生活。

 そんなかでも豪華なご飯は本当に美味しかった。

 こっちの世界でも誕生日は好きだ。


 翌日。

 午前中に契約をするとのこと。

 まだシロしかいないな。


「おはよう。シロ」

「ガウ♪」

「あははっ。ほら朝ごはんだよ」

「ガウガウ♪」


 声だけで考えると犬だな。

 でも実際は5メートルの巨体。

 じゃれつかれて来るときいまだに怖いときがある。


「シロ。今日は俺と契約をするんだ」

「ガウ」


 話半分飯半分。

 大丈夫なのかな?


「おはよう。ジル」

「おはよう。父さん」

「じゃあさっそくやろっか」

「そこまで難しくないの?」

「ああ。魔法を使うけどジルなら簡単だろ?」

「まあ、たぶんね」


*


 赤ん坊の時にリーシュさんと話していたこと。

 俺は神様、リーシュさんの恩恵で魔力も魔法の制限がない。

 俗に言うチートだな。


 と言っても体は人間。

 精神も何もかもは人間だ。

 死ぬときは死ぬ。


*


 まあ無理をせず生きようと思った。

 魔法もそこまでバカバカ使っていない。

 被害が出たら元も子もないからね。


「契約の魔法は簡単。俺もちょうど契約獣が欲しかったから一緒にやろうか」

「うん!」


 今は俺と父さん、それにシロしかいない。

 どいつと契約するんだ?


「せっかくだから召喚魔法も見せるよ」

「契約しているものしか呼べないんじゃ?」

「基本は契約獣を呼ぶための魔法ってのはわかってるよね?」

「もちろん」

「契約していない場合に使うとランダムで呼ばれるんだ。基本は自分の魔力にあった生物が来るんだけどね」


 ブラックボックスみたいなのかな。

 ランダムで生物が出てくる。

 面白そうだな。

 けど初見だから信頼度はコツコツ高めることになりそう。


「それじゃあ少し離れていてね」


「我が呼び声が聴こえし仲間よ。今私の前に現れよ。召喚サモン


 父さんの魔法が発動と同時に魔法陣が浮かび上がった。

 光だすと魔法陣から鷲が出てきた。


「ほう!鷲か」

「かっこいい!」


 父さんが止まれるように腕を出すとそこに止まった。

 さすがに服の上だよ?

 生身に止まると血だらけになる。


「じゃあ次が大切だからね」

「はい!」


「我求む。汝との新たなる契約を。契約コンタクト


 今度は鷲が光りだした。

 光ると鷲の大きさと同じ魔法陣が下に出てきた。


「これは成功の印。受け入れてくれたらこんな風に魔法陣が浮かび出るんだ」

「失敗すると?」

「何も起きない。その場合は相性が悪いからほかと契約したほうがいいかな」


 なるほどなるほど。

 とりあえず成功の場合は魔法陣。

 失敗だったら何もなしね。


「物は試し!ジルもやってみようか」

「わかった!」


 シロに近づく。

 もうご飯を食べ終わったらしく座ってこっちを見ていた。

 えっと確か。


「我求む。汝との新たなる契約を。契約コンタクト!」


 よし!

 問題なくシロの下に魔法陣が浮かび上がった!


「やった!せいこ…う?」


 やたら光っているんだけど。

 え?まぶしすぎる!


「ジル!大丈夫か!」

「う、うん。俺は大丈夫だけど」


 シロどうなっちゃったの?

 詠唱もあってたはずだけど。

 まさか失敗?

 そんな…。


「…え?」


 まぶしかった光が消えていく。

 そんな光の中に何か見えた。


 俺と同じぐらいの素っ裸の女の子が。

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