Interlude

Interlude ―神様ノイタズラ―

「……」


 イヤホンを外すと、ラジオから流れていた彼女の声が聞こえなくなる。代わりに聞こえてくるのは波の音。前へ行こうとする足が砂浜に沈み込み、思ったように上手く進めない。


「…………」


 いや、もう急いで進む必要などないのだ。

 風に身を任せて、ただ水面に浮かび、止まった時を漂うだけ。


 あの日、こうしていたらという後悔はない。

 どうしようもないのだ。そういう風に私はできているのだから。


 見上げる空は嫌というほどに眩しくて、その眩しさに目をつぶってしまう。


 ……神様って奴がいたらなんて意地悪なんだろう。

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