第18章 ホワイトデイズ③
撮影、インタビューを終え、今週も収録の日がやってきた。
***
奏絵「始まりました」
稀莉「佐久間稀莉と」
奏絵「吉岡奏絵がお送りする……」
奏絵・稀莉「これっきりラジオ~」
稀莉「第49回目の放送よ」
奏絵「あと1回で50回目!」
稀莉「もう50回!」
奏絵「感慨深いね」
稀莉「もう少しで1年よ。よく続いたわね」
奏絵「いやー本当だよ。私も1年もラジオやったのは初めてだよ」
稀莉「急に4月になって終わらないわよね?」
奏絵「ちょうど改変期だけれども」
稀莉「ここで皆さんに大事なお知らせがあります」
奏絵「不吉!終わりません!ラジオ終わりません!」
稀莉「はいはい、終わらないらしいわよ」
奏絵「いくよ?皆さんに嬉しい報告があります!驚きですよ?稀莉ちゃんから発表してくれる?」
稀莉「ええ、任されたわ」
奏絵「皆、喜んでくれるかな。ドキドキ」
稀莉「なんと、奏絵からホワイトデーのお返しで、マカロンを貰いました!」
奏絵「パチパチ……って、違う―!」
稀莉「違わないわ。ここにそのマカロンがあります!」
奏絵「ラジオじゃ伝わらない!見えない!確かにあげたけど、違って、違わないけど、それじゃなくて」
稀莉「皆は知っているかしら?マカロンをホワイトデーにあげる意味?」
奏絵「え、意味?」
稀莉「お返しのマカロンは、『あなたは特別な人』という意味があるのよ!」
奏絵「はい!?」
稀莉「どうも!奏絵の特別な人、佐久間稀莉です!!」
奏絵「やめてーーー」
稀莉「特別じゃないっていうの!?」
奏絵「と、特別だけど、大切なラジオの相方だし、あの、その……もう、そこの構成作家さん笑わない―!」
稀莉「なお、クッキーを選ぶと、『あなたは友達』、という意味でバッドエンドでした」
奏絵「こわっ、そんな意味が!?危うく番組が終わるところだった……」
稀莉「番組だけで済めばいいけどね」
奏絵「こわっ、ホワイトデーこわっ!命がけなんだけど!」
稀莉「間違った選択肢を選ばなくて良かったわね♪」
奏絵「クッキーって嫌いな人が少なくて、渡しやすいと思うのだけど、そんな罠が……」
稀莉「食感がサクサクとしているから、『ドライで軽い関係』といった意味があるらしいわ。それと、種類がいっぱいあることから、『あなたも数ある人の中の一人』。そういった意味もあるらしいわよ」
奏絵「皆さんもくれぐれも気を付けてください……」
稀莉「ホワイトデーにはもう間に合わないわ。きっと、もう手遅れよ」
奏絵「リスナーさん、いのちだいじに……。それにしてもお菓子あげるだけで、色々な意味があるなんて大変だねー」
稀莉「そうね。でも大事なのは気持ちよ。意味より、心」
奏絵「そうだねー。ところで私は、稀莉ちゃんからキャンディーを貰ったのだけど、これも意味があったりするの?」
稀莉「はー、お水美味しい」
奏絵「はい?」
稀莉「では、本当のお知らせはこちらです!」
奏絵「え、教えてくれないの!?なんで、なんで!」
稀莉「なんと、これっきりラジオが『コエラジ・グランプリ』の『フレッシュ賞』を受賞しましたー」
奏絵「わーーー!」
稀莉「やったー!」
奏絵「このラジオが賞だよ!」
稀莉「光栄ね」
奏絵「うん、嬉しい!投票してくれたリスナーさんありがとう」
稀莉「いちお説明するわね。『コエラジ・グランプリ』は、声優が担当するラジオ番組を対象に、ファンの投票、関係者の投票でグランプリを決定する企画よ」
奏絵「今回で第7回目になる企画です」
稀莉「1番票を集めた、グランプリ以外に4つの賞があり、私たちはいわゆる新人賞の『フレッシュ賞』をもらったわ!」
奏絵「この1年で始まったラジオの中で、1番注目された番組ということです。ありがたい!」
稀莉「なお、『スマイル賞』には、『ひかりと彩夏のこぼれすぎ!』が、『オアシス賞』には『新山梢のコズエール!』が選ばれたとのことです」
奏絵「おー、合同イベントの面々が、受賞とは嬉しい!」
稀莉「あの変態ラジオが受賞するなんて……」
奏絵「二人の下ネタは悔しいけど笑っちゃうからねー。梢ちゃんは納得。あのほわほわ感は誰にも真似できない」
稀莉「くっ、来年はオアシス賞を取るわよ!」
奏絵「私たちはジャンル違いじゃないかな」
稀莉「よしおかんは私に癒されないっていうの!?」
奏絵「癒されると思っているの!?毎回心臓バクバクだよ」
稀莉「それはそれで嬉しい」
奏絵「何だか負けた感」
稀莉「さて、今回の受賞を記念して、『コエラジ・マガジン』にこのラジオも特集されることになったわ」
奏絵「先日、写真撮影や、インタビューも受けてきました~」
稀莉「なんと、10ページに渡り、私たちが載っているわ」
奏絵「あぁ、どんな風に載っているか、怖い……」
稀莉「ぜひ買いなさいよ!」
奏絵「ちゃんと綺麗に写っているかな。インタビューは色々とカットしてくれているかな……」
稀莉「観賞用、保存用、布教用、最低3冊がノルマだからね」
奏絵「無理しないでねー」
奏絵「さらに発表があります!」
稀莉「まさか受賞しといて3月で終了なんてね……」
奏絵「だから、終わらないよ!!」
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