第12章 待たね、ソワレ⑤
***
奏絵「はい、やってきました『これっきりラジオ』夜公演!」
稀莉「お待たせしました皆さん!」
お客さん「わー」
奏絵「お昼のプレゼントボックス、見ました!たくさんのプレゼントありがとうございます」
稀莉「本当にありがとう。お手紙もたくさんあって嬉しいです。後日ゆっくり読ませていただきます」
奏絵「嬉しいは嬉しいんだけど、私のプレゼントボックスにお酒がかなりあったんだよね」
稀莉「そういうイメージだからでしょ」
奏絵「ええ!?私、そんな酒豪キャラじゃないよ。バーにいる可憐なお姉さんだよ」
稀莉「それはそうと、私に唯奈のCD入れるの辞めなさい」
奏絵「スルー!?」
稀莉「本人から毎回もらうので、重複しちゃうと申し訳ない」
奏絵「なので、代わりに私が貰っておきます」
稀莉「ごめんね!次は気を付けて。……次ってあるのかしら」
奏絵「あるよ!さすがに婚姻届は入っていなかったね」
稀莉「当たり前でしょ!」
奏絵「ちょっと期待してたのにな」
稀莉「誰も事故物件は欲しがらなかったみたいです」
奏絵「おおい!」
稀莉「うん、空き地だった?」
奏絵「はいはい、仲悪いですねー」
稀莉「ところで皆さんはどこから来ましたかー」
奏絵「イベントあるあるだね」
稀莉「いいの!」
お客さん「東京!」「埼玉ー」「仙台~」「千葉!!」
奏絵「やっぱり関東圏内が多いね。遠いと思う人挙手。はい、君はー」
お客さん「徳島です!」
奏絵「おお、四国からありがとう!すだち酒も好きだよ!」
稀莉「またお酒の話……。はい、そこのあなた!」
お客さん「青森です!」
奏絵「おお、我が故郷、青森!じゃあ今日の朝食は?」
お客さん「イギリストースト!」
奏絵「グッド」
稀莉「何、マイナートーク繰り広げているのよ。青森なのにイギリス、わけわからないんだけど」
奏絵「話すと長いからまた別の機会に」
稀莉「じゃあ、残りの人たちは一斉に~」
お客さん「沖縄!」「大阪ー!」「北海道」「岐阜」「広島」
奏絵「北海道に沖縄がいましたね」
稀莉「皆さん、近くから遠くからお越しいただきありがとうございます!」
奏絵「ではでは、夜公演は昼公演と違った形式で進めていきます」
稀莉「夜公演のテーマは、はいスクリーン」
奏絵・稀莉「「バトル!」」
お客さん「パチパチ」
奏絵「バトル、つまり二人の対決です」
稀莉「私と、よしおかんでバトルし、1回1回勝敗を決めます」
奏絵「で、負けた人は……」
稀莉「罰ゲームとして、こちらの萌え萌えボックスから紙を1枚引き、紙に書かれた萌え台詞を読んでもらいます」
奏絵「ああ、やだー。私、これだけは嫌だ」
稀莉「えっ、あんたこういうの苦手だったの?けっこう定番の罰ゲームじゃない?」
奏絵「苦手も苦手よ。アラサーに今さら萌えを求めるなんて酷なことだよ」
稀莉「ふふ、思わぬところでよしおかんの弱点が発覚したわね。これは負けられない」
奏絵「くそー、絶対に負けないぞ!」
稀莉「では、1つ目のコーナーです」
稀莉「もうこれっきりにしてー!(エコー)」
奏絵「はい、このコーナーではリスナーさんに辞めたいのに辞められないことを募集し、私たちが的確にアドバイスしてあげるコーナーです」
稀莉「今回は、どちらがよりリスナーの悩める質問に上手に答えられたか、皆さんの反応、つまり拍手の数、大きさで判断します。皆さん、しっかりと考えてくださいね」
奏絵「ちなみにこのコーナー、今回で最終回です」
稀莉「私の名が入っているコーナーだけに、しっかりと有終の美を飾るわよ」
奏絵「スタッフから、ペンと紙を配られました。答えをこれに記載して発表という形式ですね」
稀莉「では一通目。ラジオネーム『バケーション・ハレーション』さんから。いらっしゃいますか、いなそうですね。『部署で飲みに行くと、上司の趣味で、2次会は必ずカラオケになります。私はオタクなので、選曲に悩みます。このアニソンなら一般人もいけるか!?と思う曲でも場をシラケさせてしまいます。カラオケはこれっきりにしたい!』」
奏絵「なるほど、これはオタクによくある悩みですね」
稀莉「はい、では解決方法を書きましょう」
奏絵「できた!」
稀莉「私も」
奏絵「では、先に私からドドーン!」
奏絵「『振り付けもマスターする!』」
稀莉「はい?」
奏絵「全身で表現するの。レッツダンス!そして、自分で合いの手を入れる。2番からは周りを煽り、ほら一緒に!という感じで、どう?」
稀莉「無理じゃない?」
奏絵「大丈夫よ、どうせ2次会なんて酔っ払いが行くところなんだから。ノリが良ければそれでオッケー。1人で、この曲知らないですよね?って遠慮しながら歌うのが駄目なの。オタク曲でも堂々としろ。そして巻き込め!」
稀莉「そんなにアクティブだったらオタクやってないわよ。じゃあ私はこれ」
稀莉「『合いの手専門にまわる』」
奏絵「えー」
稀莉「タンバリンを持って、誰の時も合いの手を入れるの。そしたら歌っていなくてもなんかずっと歌っていると思われて、出番は回ってこないわ」
奏絵「ずっと盛り上げ役にまわるわけだね」
稀莉「そうよ。歌いたくないなら歌わなければいいの」
奏絵「合いの手も曲を知っていないと、なかなかに大変そうだけど」
稀莉「それはあれよ。オタク特有のすぐコール覚えるスキルを発揮して」
奏絵「はいはい、ではお客さんの評価を聞きましょう。良かったと思う人に拍手してくださいね」
稀莉「まずは、よしおかんが良かったと思う人」
お客さん「パチパチパチパチ」
奏絵「では、稀莉ちゃんが良かったと思う人」
お客さん「パチ……パチパチ」
奏絵「これは私勝利ですね!」
稀莉「ああ、悔しい!」
奏絵「はい、では引いてもらいましょう」
稀莉「くそー、えいっ。うわ……マジで読むの?」
奏絵「ええ、罰ゲームですから!」
稀莉「くっ、自分が勝ったからって調子のって」
奏絵「はい、ではどーぞ」
稀莉「私のこと好きになるおまじない、かけてあげるね♪ほら、目を閉じて……。チュッ。これで、私のことしか見えないね♪ね、私のこと大好きになったでしょ?」
お客さん「「おおおおお!!」」
奏絵「だいすきー!」
稀莉「やだ、帰る。もう嫌だ」
奏絵「ははは、いいものですね」
稀莉「次は負けないんだから!」
奏絵「これはいかに面白い答えを書けるかの大喜利ですね」
稀莉「はい、ラジオネーム『目玉焼きにソース焼きそば』さんから。いなそうね。『お昼ご飯食べた後は、つい居眠りしてしまいます。もうこれっきりにしたいです!』」
奏絵「はい、書きましょー」
稀莉「できた!」
奏絵「早いっ!ちょっと待って一斉にいきましょう。はいっ」
稀莉「『ワサビを鼻の下に塗る』」
奏絵「『炭酸水を頭からかぶる』」
稀莉「どっちもきついわね」
奏絵「実際にやっていたら距離を置くね、その人と」
稀莉「はい、さっさと勝ち負け決めるわよ。よしおかんが良かったと思う人」
お客さん「パチパチパチ」
奏絵「稀莉ちゃんが良かったと思う人」
お客さん「パチパチパチパチパチ」
奏絵「これは僅差で稀莉ちゃん勝利かな」
稀莉「やったわ!これでよしおかんが萌え台詞!」
奏絵「えー、本当にやるの?誰得なの?」
稀莉「ほら、引くのよ。はいっ」
奏絵「うわ……。もう1回引けない?」
稀莉「駄目―!どうぞ、よしおかんの渾身の萌え台詞です!」
奏絵「ハードルあげないで。あー、もうっ!」
奏絵「お兄ちゃん、起きて、朝だよ♪起きないと悪戯しちゃうよ。すぅー、えっ、急に起きないでよ!……起きたらチューできないじゃん」
お客さん「「おおおおお!!」」
稀莉「……アリね。よしおかんが妹」
奏絵「ありなの!?年上妹って設定が意味不明だよ!?」
稀莉「何で、夜公演は録音されていないの!!」
奏絵「怒るとこ、そこ!?」
***
演者に酷な内容が夜公演は繰り広げられるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます