第12章 待たね、ソワレ③
***
奏絵「よしおかんに報告だー!」
稀莉「こちらのコーナーでは、よしおかんに相談したいことをリスナーさんが送り、よしおかんに聞いてもらうコーナーです。今回は会場で開演前に配った用紙に記載してもらった内容を読ませてもらいます」
奏絵「いわゆるフツオタのコーナーです。何でもOK。別に相談じゃなくても何でもOK」
稀莉「今、思うと<もうこれっきりにしてー!>のコーナーとあまり大差ないコーナーよね」
奏絵「いちおこっちはフツオタ用ですが、何だかんだで相談が多いですもんね」
稀莉「ええ。じゃあ今回限りでどっちかを終わりにしましょう」
奏絵「ええ!?」
稀莉「ネタが尽きそうな、これっきりの方かしら。はい、決定。もうこれっきりにしてー!のコーナーをイベントで終了にしましょう」
奏絵「勝手に決めていいの!?」
稀莉「あ、構成作家からオッケーが出ました」
奏絵「扱いかるっ!」
稀莉「勢いよ、こういうのは勢いなの」
奏絵「皆さん、これっきりにしてー!のコーナーは夜の部で終了、ラジオの人はさっきやった昼の部の公開録音の放送で最後になりました、まさかだよ」
稀莉「というわけで次回から新コーナーを模索します」
奏絵「潔すぎる、何も決めていないのに!」
稀莉「はいはい、行くわよ。『カップラーメンは4分待って食べる』さんから。はい、いますかー」
奏絵「お、いたいた」
稀莉「そりゃ、会場アンケートだからいるでしょ」
奏絵「恥ずかしくて、手を上げられないとかさ」
稀莉「そんなことある?」
奏絵「もしくは家族、従兄とか」
稀莉「こわっ」
奏絵「ええ、私も怖いです。知らずに友人とか来ていそうで怖いです。あっ、ごめんね、カップラーメン4分さん、もう手下げていいから」
稀莉「えっと、『こないだ告白して失恋しました。どうやったら立ち直れますか』。知るかっ!」
奏絵「あれ、カップラーメン4分さん、前に番組で読んだことあったっけ?」
お客さん「ライブ、ライブ」
お客さん「唯奈様!唯奈様!」
奏絵「唯奈さん、ライブ?」
稀莉「ああ!思い出した、唯奈のライブに行く時に告白しようか迷っていると相談してきた人だー!」
奏絵「あ、ああ!あの人か。告白したんですね」
稀莉「ざまーみろー!!」
奏絵「おいおい」
稀莉「はぁ、スッキリした」
奏絵「あんたがスッキリしてどうする。え、カップラーメン4分さんはライブの時に告白したんですか?」
稀莉「首を横に振っている。何だ、違うのか」
奏絵「スタッフ、マイク。彼にマイクを」
カップラーメンは4分待って食べる「ライブが終わった数日後、あの日の感想を言い合おうと誘い、告白しました」
稀莉「結局、唯奈をダシに使っているじゃない」
カップラーメンは4分待って食べる「め、めんぼくないです」
奏絵「こらこら、失恋した人をそんなにいじめちゃ、めっ。ライブの勢いに任せずに、よく告白した。偉いぞー」
カップラーメンは4分待って食べる「ありがとうございます」
お客さん「パチパチ」
稀莉「というかあんた、唯奈のファンなのに何でうちのラジオイベントに来ているの?出禁にするわよ」
奏絵「いいって、何番推しでもいいから聞いてね。ところで立ち直る方法ですか」
稀莉「早く別の人を好きになることね。唯奈ファンなんだから、これを機に唯奈オタクを極めなさい」
カップラーメンは4分待って食べる「はい、そうします。でも年下はこりごりなんで、今日から優しく、綺麗な年上の吉岡さんを1番にしようと思います」
奏絵「お、それはどうも」
稀莉「……渡さないから」
奏絵「えっ!?」
稀莉「はい、カップラーメン4分さんありがとうございました。次のお便りです」
奏絵「えっ」
稀莉「ラジオネーム『波打ち際のたこたこ』さんです。あれ、これってもしかして私たちにシャンプーのことを聞いてきた人ですよね?」
奏絵「そうだそうだ。え、会場にいますか?上げづらかったら上げなくてもいいですよー」
稀莉「えーっと、いた。えっ」
奏絵「え、女の子!?」
稀莉「それもかなりの美少女だわ」
奏絵「はあはあと書きながら、シャンプー名聞いてきた人が、可愛い子とは世の中わからん……」
稀莉「『お二人はどこの香水を使っていますか。また吉岡さんに質問で、稀莉さんの』、おいっ」
奏絵「何で途中で辞めるのさ」
稀莉「はい、破りましょう」
奏絵「や、破らない、破らない!えっと、『また吉岡さんに質問で、稀莉さんの匂いはどんな匂いですか。ぜひ詳細に教えてください、はあはあ』」
稀莉「はい、出禁!美少女だって出禁よ!」
奏絵「えっと、稀莉ちゃんの匂いか、ほんのり甘い、爽やかな柑橘系な」
稀莉「や、やめなさいよ!」
奏絵「要するにとってもいい香りです!」
稀莉「……」
奏絵「稀莉ちゃんから、とてもいい香りがします!!」
稀莉「二度も言わんでいい!」
奏絵「えー、私も香水を使っていますが、気分によって変えますね。そんなに種類は持っていないですけど。あとメイクさんからこれいいですよ!って貰える」
稀莉「これ正直に答えたら、オタクたちが買っちゃうあれよね」
奏絵「あれですね。枕にシュッっとかけ、添い寝気分を味わえるというあれですね。ひどい時は飲む」
稀莉「本当に飲むの!?シャンプーも駄目だけど、香水も飲んだら不味いわよ、本気で」
奏絵「ええ、なのできちんとした名称は答えません」
稀莉「あんたが答えても誰も買わないわよー」
奏絵「本当ー?」
稀莉「本当よ!」
奏絵「というわけで、ごめんね、たこたこさん。きちんと答えられなくて。ちなみに私の匂いはどうなの?」
稀莉「くさやのような、納豆のような、シュールストレミングのような」
奏絵「はい、解散!この番組、今日で終了!!」
稀莉「あー、舞台から去らない!冗談よ、さすがに冗談!いい匂いよ、いい匂いだって!」
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