第4章 番宣大合戦!⑦

***

唯奈「告白劇場のコーナーではシチュエーションに基づいて、稀莉に告白をしてもらいます。稀莉がキュンキュンしたと思う方を選んでいただきます。より稀莉のハートを射止めた方が勝ちということです」

奏絵「なるほど、やりがいがあるわね」


稀莉「ねえ、私承諾してないんだけど!?」


唯奈「ちなみに稀莉は男♂設定です。なので男性リスナーさんもどちらの告白がキュンッ☆とくるか判定してくださいね」

奏絵「どっちから先にやる?」

唯奈「それでは、私から行きましょう」

奏絵「うすっ、お手本とやらを見せてもらおうではないか」

唯奈「後攻をやりづらくしてやるわ」


稀莉「あのー、私の許可……」


唯奈「あっ、稀莉。そのボックスからシチュエーションを引いてね」

稀莉「え、うん、わかった。がさごぞ『後夜祭』、って、何で私は素直に引いているのよ!?」

奏絵「『後夜祭』……捗るシチュエーションだわ」

唯奈「さぁやるわよ、稀莉、準備はいい?」

稀莉「あーもう、来るなら来なさいよ」



唯奈「告白劇場はじめるわ!」

~~~

唯奈「大盛況だった文化祭が終わった。でも私の本番はこれからだ。皆が片づけを始める中、誰もいない教室に私は彼を呼び出した」

稀莉「ガラガラ、あ、唯奈いたいた」

唯奈「稀莉君、来てくれてありがとう」

稀莉「ああ、うん。トイレ行くって言って片付けから逃げてきたんだ。あんまり時間とれないけど……何?」

唯奈「あのねあのね」

稀莉「うん」

唯奈「劇の主役かっこよかったよ」

稀莉「えっ、唯奈見ていたの? うわー恥ずかしいな」

唯奈「ううん、恥ずかしくなんてないよ。ほんと稀莉君、かっこよくて、誰よりも輝いていたんだから!」

稀莉「そんなに褒められると恥ずかしいな」

唯奈「でもね」

稀莉「うん?」

唯奈「私が稀莉君と同じクラスだったらな」

稀莉「どういうこと?」

唯奈「それだったら私がお姫様に立候補して、劇で一緒に踊れたのになー」

稀莉「それって……」

唯奈「ねえ、稀莉君」

稀莉「ち、近いよ、唯奈」

唯奈「窓の外見て。キャンプファイヤーやっているね」

稀莉「う、うん」

唯奈「一緒に踊りたいなー」

稀莉「え」

唯奈「これから二人だけの劇始めない?」

~~~

唯奈「終了ー!」


奏絵「あーなるほど、なるほど。青春だわー」

唯奈「見たか、私の実力」

奏絵「安易に好きって言わないことが好感持てるわ、この後が気になる」

稀莉「ちょっと私はヤンデレっぽさを感じたのだけど」

唯奈「ふふ、稀莉はときめいたかい?」

稀莉「断ったら刺されそうな意味でドキドキしたわ」

唯奈「あれ、不発? おかしいな」


奏絵「じゃあ、私の番ね。稀莉ちゃん、ボックスからお題宜しく」

稀莉「苦行がもう一回あるのか……。はい、『卒業式』よ」

唯奈「鉄板、鉄板中の鉄板ね」

奏絵「うーん、逆に難しいかも。でも行くわ」

稀莉「早く帰りたい」

唯奈「よしおかんの実力みせてもらうわ!」

奏絵「いざ参る!」



奏絵「告白劇場、始まるよ」

~~~

奏絵「卒業式、それは高校最後の日。気持ちを伝えるのもこれが最後のチャンスだ。式が終わった後、私は彼を探していた」

奏絵「探し続けて数分。校門の近くで、何度も見た彼の後ろ姿をやっと発見した」


奏絵「稀莉君、待ってー」

稀莉「どうしたんだよ、奏絵。そんなに慌てて」

奏絵「好き」

稀莉「へ?」

奏絵「私、稀莉君のことずっと大好きでした!」

稀莉「え、お、おう。突然だな」

奏絵「うん、好きだよ」

稀莉「その、えーっと、ありがとう」

奏絵「えへへ、やっと言えた」

稀莉「本当ありがとう奏絵。でも俺、大学は東京行っちゃうからさ。気持ちは嬉しいけど」

奏絵「わかっている、わかっているよ稀莉君。地元に残る私と、東京に行く稀莉君じゃ難しいことはわかっている」

稀莉「悪い。俺もお前のこと好きだったよ。お前がいてくれてこの3年間ずっと楽しかった」

奏絵「ほんと? 嬉しい。ありがとう、稀莉君」

稀莉「でもごめん、付き合えない。長続きしないと思うんだ。遠距離じゃ、お互い負担になると思うし」

奏絵「そうだよね……でも、私は諦め悪いの」

稀莉「う、うん」

奏絵「だから、はい」

稀莉「えっ、なにこれ」

奏絵「切符」

稀莉「切符?」

奏絵「これをこうするの」

稀莉「何だよペンなんか取り出して」

奏絵「私行き」

稀莉「へ?」

奏絵「奏絵行きの切符です! 東京に行っても、何処でも、私の元にいつでも戻って来られるからね!」

~~~

奏絵「FIN」



唯奈「甘い、甘いわ」

奏絵「ドヤァ」

唯奈「卒業式だから最後の思い出に第二ボタンを貰うと思ったのに、逆に切符を与えて忘れないでね!と念押しするなんて変化球投げてきたわね」

奏絵「ふふふ」

唯奈「それにいきなり『好き』って言ったのも意表をついて得点が高いわ。やるわね、吉岡奏絵」

稀莉「いやいや、私行きの切符なんて迷惑でしょ!ヤンデレの次はメンヘラを感じたわ。そんなヤバい切符なんて東京に行ってすぐポイよ」

奏絵「その割に稀莉ちゃん、顔が真っ赤だよ」


稀莉「っつ!?」

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