第4章 番宣大合戦!⑥

***

奏絵「稀莉ちゃんの好物は?」

唯奈「すき焼きね」

奏絵「正解!」

唯奈「稀莉の誕生日は?」

奏絵「4月15日」

唯奈「くっ、正解よ」

奏絵「稀莉ちゃんがキャラとして初めて出したCDは?」

唯奈「イリスの『恋するエール』」

奏絵「正解、やるわね……」

唯奈「稀莉検定七段の私にとって常識問題よ」

稀莉「何よ、稀莉検定って、私そんなの知らないわよ」

唯奈「何って、ねー」

奏絵「我々の中では当然っていうか、ねー」

稀莉「あんたたちバトルしているのよね!? 何で意気投合しているの!?」


唯奈「じゃあ次。稀莉は母親のことなんて呼んでいる?」

奏絵「えーっと、マ」

稀莉「やめなさい!」

奏絵「よし、稀莉ちゃんのスリーサイズは?」

唯奈「出たわね。上から」

稀莉「やめて!」

唯奈「えー」

奏絵「ぶー」

稀莉「え、本気で知っているの? どうして知っているの?」

奏絵「マネージャーに」

唯奈「問い合わせていますから」

稀莉「うちのマネージャー……(怒)」


唯奈「さて、稀莉は私のことをどう思っているのでしょう」

奏絵「これは難しい」

唯奈「正解は、毎日話しても飽きないほど大好きで、ぬいぐるみのように毎日抱き着いて寝たい、でした」

奏絵「あーそれか」

稀莉「思ってないからね!?」

奏絵「それじゃあ、稀莉ちゃんは私のことをどう思っているでしょうか」

唯奈「おばさん」

奏絵「唯奈ちゃん、後で楽屋でお話ししようか」

唯奈「お菓子でもくれるの?」

奏絵「何、その純粋さ。正解は同級生だったら毎日一緒に手を繋いで通学して、帰り道は毎回より道したい声優ナンバーワンでした」

唯奈「あーそっちできたか」

稀莉「もう嫌だ、この現場」

唯奈「盛り上がってきたわ!」

奏絵「負けられない戦いがここにある……!」

唯奈「はい、CMの後も稀莉争奪決定戦続きますー!」

稀莉「帰らせてください」

***


 休憩のはずであるCM中も戦いは収まらず、言い合いが続いていた。唯奈さんが興奮気味に話す。


「稀莉の好きなところ、多く言えた方が勝ちゲーム、スタート。可愛い」

「は?」


 稀莉ちゃんの困惑もそっちのけで、すかさず私も反撃していく。


「声」

「性格」

「髪の毛」

「匂い」

「女子高生」

「歳が近い」

「足が綺麗」

「指が綺麗」

「瞳が綺麗」

「耳の形」

「唇の造形」

「鼻がすっとしている」

「清楚」

「制服姿が良い」

「肌が柔らかそう」

「抱き心地が良い」

「太もも」

「正直、エロい」

「ブラックコーヒーが飲めなくて、強がるの可愛い」

「照れる姿が可愛い」

「怒る姿が可愛い」

「慌てる姿が可愛い」

「全身、可愛い」

「全部、可愛い」

「マジ天使」

「現代の奇跡」

 稀莉ちゃんが「もう辞めて……」と顔を真っ赤にして訴える。が、CMが終わるまで勝負は続いたのであった。



***

唯奈「はあはあ」

奏絵「ぜーはーぜーはー」


稀莉「CM中、辱めを受けました」

唯奈「あんたやるわね……!」

奏絵「唯奈ちゃんこそ……!」

稀莉「この人たち、CMの間、私の、その、良いところを言い合うゲームしていました。虐めですか!? 嫌がらせですか!?」

奏絵「決着はつきませんでした」

唯奈「多すぎて終わらない」

奏絵「稀莉ちゃんだけにキリがないってね」

稀莉「え」

唯奈「……さむっ」

奏絵「その反応は辞めて!」


唯奈「なので、次のコーナーの勝負で決着をつけたいと思います」


唯奈「告白劇場ー!! あなたに恋しましたー」


稀莉「は?」

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