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「んで、話しって何よ」
「早速高い酒を飲みながらふてぶてしいわね」
「誘ったのはお前だろ」
「そうだけど」
「いいじゃん、用意は自分でしたんだし」
「それくらいしてくれなきゃ困るわよ」
自分はうちの店に来た時は完全にお客様しているのにな。俺としてはそっちの方が良いから良いんだけど。
グラスに満ちた琥珀色をまんまるな氷で掻き混ぜながら訊いた。
「で?」
「訊き方が雑ね」
何を今さら。お前と俺の仲だろうが。
スッキリと厚化粧を落としたミケは呆れ顔を浮かべて隣りの席へ腰を落とした。
「まぁあれよ」
「ん?」
「ちゃんと言わないといけないな、と思って」
「え」
急にガチテンションでそう言うから、こっちも構えてしまうじゃん。
「するの?」
「何を」
「性転換」
「違うわよっ!」
高いスツールから思わず立ち上がってミケが答える。違うのか・・・訊いていてアレだけど、ちょっとだけホッとした。
「なんでそうなるよの」
いや、この間ミケの店で働いていた子が性転換したって挨拶に来てくれていたし、もしかして刺激を受けたのかなって。
「それはあの子の強い希望だったし、あたしの場合は、別に体まで女にならなくてもいいって言うか」
「分かってるって」
まぁもし昔からその希望があったとしたらもう手術受けているわな。
「そうじゃなくって」
平然を装っているけれど少し眉根を寄せて不機嫌と緊張が混ざったような顔をする。こういう時はたいがい言いにくいことを言う時だ。もう何年付き合っていると思ってんの。
「どうした?」
「・・・」
言い淀んでいるミケは「そう言えばね」と何度か話を脱線させた。そういうとこ、悪い癖だぞ。後回しにしたって結局同じなんだから。
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