305話 高月マコトは、砦を防衛する

「あら? もう終わったの?」

 俺たちが砦の外に出ると、ちょうどドラゴン息吹ブレスを聖剣で切り裂くオルガさんの姿があった。


 砦を取り囲むように多くの竜が、空を舞っている。

 それと交戦する数多の飛竜騎士やペガサス騎士たち。

 あれが古竜の王アシュタロトの軍勢……。

 俺が気を引き締めていると。


「思ったより少ないわね」

「なーんだ、慌てて出てきたのに」

 ルーシーとさーさんの緊張感の無い会話が聞こえてきた。

 流石は歴戦の冒険者……。


「ねぇねぇ、まだ15分も経ってないわよ? 英雄くん、じゃない?」

「………………何が?」

 非常に失礼なことを言われている気がする。


「そんな訳ないでしょ! 魔王軍が襲ってきたんだから、防衛に参加するわよ!」

「そーだよ、オルガちゃん! 高月くんは早くないよ! ……きっと」

「ふうん? まぁ、見ての通りいつもの強行偵察ってところよ。ほとんどが若い竜だけど、中には古竜エンシェントドラゴンも混ざっているから気をつけて。って、紅蓮の牙の二人には言うまでもなかったわね」

 三人の会話から、今来ている魔王軍は本隊ではないと知った。


 竜の数は数百ほど。

 その規模の竜の群れに襲われれば、通常の都市なら壊滅の危機だ。

 が、流石は対魔王軍の前線基地だけあって堅牢なようだ。


「なぁ、ルーシー」

「なぁに、マコト?」

「古竜の見分けかたってどうやるんだっけ?」

 さっきのオルガさんの言葉では、竜の中に強力な個体である古竜が混ざっているらしい。

 

「あら? マコトのほうが得意でしょ。魔力感知でより魔力が大きい竜を区別すればいいのよ」

「うーん……、やってるんだけど……」

 空を飛んでいる竜たちを見回しているのだが、どれもしか感じない。

 どれが古竜なんだろう?


「わからない?」

「……残念ながら」

「じゃあ、私の見分けかたを教えてあげるよ! 高月くん」 

 ルーシーが心配そうな表情をすると、さーさんが横からぴょこんと入ってきた。


「そう言えばさーさんは魔法使いじゃないから魔力感知できないよね? 他に見分け方があるの?」

「うん、聞いて聞いて」

 ニコニコとさーさんが教えてくれた。


「まず竜を睨みつけるの! そしたら目を逸したらただの竜で、睨み返してきたら古竜だよ!」

 どやぁ、とさーさんが胸を張った。


「…………いやそれは」

「「その方法がとれるのは、アヤだけだから」」

 俺のツッコミの前に、ルーシーとオルガさんの声がハモった。

 相変わらずさーさんは感覚派だ。

 つーか、普通の竜はさーさんから目をそらすのかよ。

 もっと頑張れ、ドラゴン

  

 その時。


「うわああああ!」

 空中で竜と交戦していたペガサス騎士の一人が、襲われそうになっていた。


「まずいわね! テレポ……」

 ルーシーが魔法を発動させようとしている。

 けど、少し遅いかもしれない。


「水魔法・氷結界」

 俺の魔法が竜と戦士の間に割り込む。

 巨大な氷の壁と竜が激突した。

 その間に、ペガサス騎士が体勢を立て直している。


「……速くない? マコトの魔法」

「悪い、邪魔した?」

「ううん、そんなことないけど」

 魔法を使おうとして割り込まれたルーシーが、杖を構えたままの少し間抜けなポーズで固まっている。


「るーちゃん! 私たちも行こう!」

「えぇ! ……でも、マコトが」

「俺はここから、みんなの援護をするよ」

 どうやら二人は空中の混戦に参加するようだ。

 俺はどれが危険な古竜なのかもわからないし、遠距離サポートに徹しよう。


「先に行ってるわよ!」

 オルガさんは『飛行魔法』を使って、飛び出して行った。


「じゃあ、私も。空間転移テレポート!」

 ルーシーの身体の周りに小さな魔法陣が発生し、光と共にかき消える。

 凄いな、短距離のテレポートまで使いこなしているのか。


「さーさんは、空を飛べるの?」

「ふふーん、見ててね! とりゃ! 『二段ジャンプ』!」

 そう言って、空中を飛び跳ねていった。


(どこが二段やねん……)


 心の中でツッコむ。

 きっと『アクションゲームプレイヤー』スキルの能力の一つだろう。

 相変わらずさーさんの身体能力とぴったりなスキルだ。



「きゃああ!」

 悲鳴が聞こえる。

 おっと、俺も戦わないと。

  

「水魔法・氷結界」

 どこかで竜に襲われる女騎士がいたので、竜と女騎士の間に結界を張る。

 

「グギャ!」

 氷の結界に激突した竜は、目を回しながら落下していった。


「…………あ、ありがとうー!!」

 女騎士さんが、こっちに手を振っている。

 俺も手を振って返しておいた。


(さて、他に困ってそうな人は……?)


『千里眼』スキルと『RPGプレイヤー』スキルの360度視点を駆使して、戦場を見回す。

 危なそうな人がいると、水の結界魔法を使ってサポートをした。

 結構、集中力を要するな……。 



「我が王。私に任せていただければ、まとめて吹き飛ばしますが?」

 気がつくと水の大精霊ウンディーネのディーアが、俺の後ろに控えていた。

 確かに水の大精霊の魔力を借りれば、もっと早く片がつくだろう。

 けど。


「駄目だよ。みんなを巻き込んでしまう」

「……そうですか。では、私が必要になればお呼びくださいませ」

 そう言って水の大精霊は、残念そうに霧となって消えた。


 そして、しばらくは水魔法を使って遠距離からのサポートを続けた。


「意外だな。てっきり精霊魔法で暴れていると思ったが」

 また後ろから声をかけられた。

 金髪に全身が金ピカの鎧。

 ジェラルド将軍だった。

  

「どうも俺は竜と古竜の区別がつけられないみたいで。安全を考えて遠距離からのサポートに徹しますよ」

「……そうか」

 ジェラさんが何か言いたげな表情になり、言葉を飲み込んだように見えた。


「ジェラさんこそ、戦闘には参加しないんですか?」

「俺がここの最高責任者だからな。突っ込むわけにはいかん。現場の指揮はオルガに任せてある」

「へぇ……」

 かつての猪武者が嘘のようだ。

 もっとも足をコツコツと叩き、少し苛ついている様子から実は自分も戦いに出たいのかもしれない。


「ほらー! 隊列を崩さない! 危なくなったら下がって! こんなところで死んじゃ駄目だよー」

 確かにオルガさんが、竜と戦って押されている部隊へ別の部隊を回したりと、忙しく指揮をとっている。

 あとで聞いたところ、彼女は対魔王連合軍の師団長も務めているらしい。



「それにしても今回は『紅蓮の牙』が居るから助かるな」

 ジェラさんがぽつりと言った。


「ルーシーとさーさんが?」

「ああ。あれを見ろ」

 とジェラさんの視線の先には――



「あはははははははっ!」

 全身が真っ赤にルーシーの周りで、花火のような爆発が起き、竜ですら近づけていない。

 あれは――紅蓮の魔女ロザリーさんと同じ『火の精霊纏い』だろうか?

 あと、なんかルーシーのテンションが異様に高い。

 母と同じ血筋か……。


「テレポート!」

 そして自身が燃える隕石のように、竜にタックルをしかけている。

 

 …………グァァァァア…………


 翼を焼かれた憐れなドラゴンが、悲しげな声で落下している。

 ルーシー……、魔法のコントロールを上げるより自分が突っ込んでいくほうが確実と判断したのか。


 さて、紅蓮の牙のもうひとりは……。



「うりゃ!」

 可愛いかけ声と「ドガン!」というトラックが正面衝突したような可愛くない音が響く。


 さーさんが空中で竜に踵落としを食らわせていた。

 悲鳴すらあげられず、竜が落ちていく。


 そして、空中でぴょんぴょん跳ねながら次の竜を狙っている。


 …………竜が逃げ回ってるじゃん。



「無茶苦茶だな」

「無茶苦茶ですね」

「どっちもお前の女だろ」

「前に会った時は、あそこまでじゃなかったんですけどね」

「あの調子なら、そろそろ竜どもは撤退するだろう…………む、あいつは」

 余裕のあった表情のジェラさんの眉間にシワが寄る。

 視線の先には、一匹の黒と紫の斑の竜が居た。


「ジェラさん、あれは?」

「毒の古竜だ。あいつには何度も部隊を全滅させられたことがある。やつの息吹をくらうと即死だ。今まで隠れていたな」

 そう言っている間に、毒の古竜が大きく口を開く。

 

「ちっ! カリバーン!」

 ジェラルドさんが、腰の剣を引き抜く。 

 同時に、刀身が稲妻のように光を放った。

 そして、構えをとる。



 ――稲妻の勇者が持つ、太陽の国ハイランドの聖剣『カリバーン』



 その斬撃は、音速すら超えると言われているが……。



(古竜の息吹のほうが若干早いか……?)


 運命魔法・精神加速でそう判断した。

 ならば俺がやるべきは。



「ディーア」

「はい、我が王」

 姿は視えずとも、側にいた水の大精霊が俺の呼び声に応える。

 その冷たく美しい青い腕を掴む。


 同調をするまでもない。 

 0秒で水の大精霊と同期する。 

 そして、俺はその魔法を口にした。



「水と運命の魔法・時よ凍れ」



 グワンと魔力の波が、周囲へ広がる。


 そして、竜が、竜と戦う騎士たちが、喧騒が、風が……止まった。


 実際には、限りなく時の流れを遅くしただけだが。

 完全に時を止める魔法は、神級魔法だ。

 

「高月マコト……おまえ、何をした?」

「説明はあとで。ジェラさん、あの古竜に攻撃を」

「……わかった」

 即座に俺の言葉にうなずき、稲妻の勇者ジェラルド・バランタインは聖剣を振るった。



雷光剣ライトニングスパーダ!!!!」

 ジェラさんの放った光の斬撃が、1秒後には黒と斑の古竜を真っ二つに切り裂いていた。


「ふぅ……」

 同時に俺は、水と運命の魔法を停止する。

 上手くいってよかった。



「どうやら竜どもは退却するようだな」

「さっきの毒の古竜が、あいつらの切り札だったみたいですね」

 竜たちが一体、また一体と向きを変え去っていった。



「ところで高月マコト……さっきの魔法は……」

「ねぇ!! 凄いじゃない、ジェラっち。さっきの毒の古竜ってずっと手こずってたやつよね!」

「ちょっと待て、オルガ。俺はこいつと話を」

「今日は味方の被害が全然ないよー! やったー! 褒めて!」

 オルガさんが空から降ってきて、ジェラさんに抱きついている。


「マコトー! さっき何か魔法使った?」

「急に身体が重くなったよね? るーちゃん」

「え? そ、そうだったかしら? 一瞬、よくわかんない魔力に包まれたのは感じたんだけど」

「うーん、魔力はよくわかんないけど急に竜の動きが止まっちゃったんだよねー。チャンス! って思ったら私の身体もすっごく遅くなって、大変だったよー」

 ルーシーとさーさんもやってきた。

 


(さーさん……、凍った時の魔法の中でも普通に動けるのか……)


 

 対魔王用にと考えてたやつだけど、魔王クラスには通じなさそうだなぁ。

 さーさんが魔王より強い、という可能性もあるが。


「なんか毒の古竜ってのが居て、そいつの足止めに魔法を使ったんだよ。さっき、ジェラさんが倒してくれたよ」

「へぇ、どんな魔法か教えてよ、マコト」

「いいよ」

「それより部屋に戻ろうよ、高月くん。外はちょっと寒いし」

「とか言って、さっきの続きをする気かしら? アヤ」

「な、何の話かなー」

「はは……」

 そんな他愛ない会話をしていた。


 正直、魔王軍の襲来ということで緊張したが、あっさりと終わってしまった。

 偵察部隊ということだし、あんなものだろうか。

 その時。


「高月マコト」

 ジェラさんに、呼び止められた。


「何か?」

 振り返ると、ブラックバレル砦の最高責任者が険しい表情をしていた。


「さっきの戦闘……いたな?」

「はあっ!? 何言ってるの!」

「そんなことしないよ! 高月くんは!」

 ジェラさんの言葉に、俺より先にルーシーとさーさんが反応する。


「ちょ、ちょっと。ジェラっち、私も見てたけど英雄くんは危なくなった騎士たちを助けてくれてたよ?」

 オルガさんがオロオロとしている。


「どうなんだ?」

 が、ジュラさんの目は真剣に俺を射抜いてくる。

 

「まぁ、全力は出しづらかった……ですね」

 俺は正直に答えた。


「そうなの? マコト」

「精霊魔法を使うと、みんなを巻き込んじゃうからさ」

 水の大精霊が声をかけてきたが、俺はそれを断った。


 ディーアの手を借りれば、さっきの竜たちを倒せていただろうけど、きっと戦っていた騎士たちを巻き込んでしまっていただろう。

 だから俺は攻撃的な魔法を一切使えなかった。



「おまえ竜と古竜の区別がつかないと言ったな? つまり区別を付ける必要がないんだろう? どっちもお前にとってただの雑魚だということだ」

「「「え?」」」

 ジェラさんの言葉に、ルーシー、さーさん、オルガさんが驚きの声を上げる。


 それは……はっきりと自覚していたわけじゃないが。

 確かにどの竜を見ても、俺には大差ない魔力しか感じなかった。

 最後にジェラさんが斬った『毒の古竜』とやらについても。

 他の竜とあまり変わらないな、と感じた。



「おまえに頼みがある。北の大陸へ渡り『古竜の王』の軍勢と戦って欲しい。本来なら俺たちも共に戦うべきだろうが、足手まといになるだけだろうな……」

 ジェラさんが、自嘲気味に笑った。


「高月くん、どーするの?」

 さーさんが上目遣いで尋ねる。

 俺の答えなどわかっているだろうに。


「いいよ、行ってくるよ」

 俺は応えた。


「助かる。ではこれから『古竜の王』の住処を北天騎士団に捜させる。やつらは定期的に住処を移動して、場所を悟らせない。だが、おまえを送り込むには敵の正確な居場所は必須だ。数日以内に必ずその場所を見つけ出し……」



「いや、



 俺は提案した。


「何?」

「いや、無理だよー、英雄くん。相手の場所がわからないのに……」

 ジェラさんが訝しげな表情をし、オルガさんが冗談と思ったのか苦笑する。


(ふっ、俺には強い味方がいる)


「イラ様ー。視てます?」

 俺は首にかけてあるネックレスに魔力を込め、天を仰ぐ。



 ――何? 高月マコト



 不機嫌な声が聞こえてきた。


「え?」

「わわ! 天から声がきこえるよ!」

 ルーシーとさーさんが騒ぎ出した。

 あれ? 

 何でイラ様の声がみんなにまで?

 


 ――あら……、この前の魔力連結マナリンクを強化し過ぎたのかしら。声が届きすぎてるみたいね。



 いいのだろうか、それは。



 ――用件をさっさと言いなさい。



「古竜の王の場所を知りたいんですけど! イラ様なら知ってますよね?」 

 不機嫌なイラ様の声に、慌てて答える。

 どうやらまた残業中で睡眠不足なのだろう。



 ――あー、そっか。古竜の王の住処ね……、地図とペンはある? 



「ジェラさん、地図とペンある?」

「誰か居ないか!」 

 ジェラさんが怒鳴ると、兵士がさっとやってきてすぐに地図とペンを用意してくれた。



 ――高月マコト、一瞬身体を遠隔リモート操作するから大人しくしてなさい。



「はぁ…………ひっ!」

 身体中がぞわぞわっと震えた。

「え?」

 右手が自身の意図しないまま動く。 

 そして、北の大陸の地図のある地点に『×』をつけた。



 ――そこが現在の『古竜の王』の住処よ。一週間後には移動すると思うからそれまでに向かいなさい。



「大丈夫ですよ。今から行くんで」



 ――あんたねぇ……。まぁ、いいわ。準備は十分にしていくのよ? 回復アイテムと食料は余らせるくらいでいいんだからね。危なくなったらすぐ退却するのよ?



「わかってますって」



 ――はぁ、じゃあ気をつけて。私は仕事に戻……



「あ、あの! イラ様!」

 声が小さくなっていったイラ様をオルガさんが呼び止めた。



 ――何かしら? 灼熱の勇者オルガ。



「それほど簡単に古竜の王の場所がわかるのであれば、もっと早く教えていただければ……」

 やや不満そうなオルガさんの声だが、確かにもっともだ。

 どうして教えてあげなかったんだろう。



 ――それは私の神気と繋がっている高月マコトが、北の大陸に近い位置にいるからよ。さらにさっきあなたたちは竜の群れと戦っていたでしょう? 古竜の王の軍勢との因縁が深くなっているから、高月マコトの目を借りて未来を見ることができたの。太陽の国の王都に居る巫女エステルの目じゃ、ここまで詳しい『未来視』はできないわ


「な、なるほど……」

 オルガさんが納得したように頷いた。

 そうか、じゃあイラ様に尋ねるタイミングとしては良かったんだ。



「マコトと……イラ様が繋がる?」

「高月くんって……運命の女神様と仲良いの?」

 今度は、ルーシーとさーさんが不審げな目を向ける。


「いや、仲良いというか……お世話になっているというか」

 なんだろう。

 別にやましいことは一切ないはずなのに。

 


 ――じゃーね、高月マコト。また、あとでね。



 イラ様の声は聞こえなくなった。


「あとで!?」

「何それ!?」

 ルーシーとさーさんが俺に詰め寄る。


「ゆ、夢の中で女神様が現れるんだよ。前に説明したろ?」

 ノア様が夢に現れることは以前も二人には説明したはずだ。

 もう一度それを説明したのだが、納得してもらうのが大変だった。


 ひと息つき、地図を眺める。

 北の大陸の奥地。

 このあたりは高い山脈が連なる場所のはずだ。

 確かに場所がわからないと厳しいだろう。


「ルーシー、ここまで空間転移で跳べる?」

「……できるけど。あとで運命の女神様との関係についてはじっくり聞かせてもらうからね!」

 どうやらもう一度問い詰められるらしい。


「ねーオルガちゃん。北の大陸って寒いよね? 上着ないかなぁ」

「ちょっと待って、アヤ。用意させるから。それから最上回復薬エリクサーもいくつか持っていきなさい」

「はーい、ありがとうー!!」

 さーさんは、オルガさんと装備と持ち物の確認をしている。

 30分後くらいには出発できそうだ。


 そして、俺はさっきから無言のジェラさんに話しかけた。


「というわけで行ってきますね」

「…………」

「…………ジェラさん?」

 俺の言葉に、ジェラさんは応えず俺の顔を奇妙な生き物を見る目で見つめた。

 そして、ゆっくり口を開く。


「さっき紅蓮の牙が無茶苦茶だと言ったな。訂正しよう。お前が一番デタラメだ」

 大きくため息を吐かれた。

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