177話 高月マコトは、修羅場に出会う


 ――ジャネットさんに婿むこに来ないかと言われました。


(ひゅう、やるわねマコト。よっ、この天然ジゴロ!)

 ノア様……どーしましょう?

(ん? 好きにしなさいよ)

 うぐぅ……でも、女神ノア様に決めてもらう事じゃないな……。

 自分の問題だ。


「バランタイン家に入れば、広大な領地があなたのものになります。と言っても管理は私も居ますから、煩わしいことはありません。趣味で冒険者を続けても構いませんし、毎日遊んで暮らしても良いです。ああ、私の他に側室は何人居てもよいですよ。ルーシーさんやアヤさんも勿論ご一緒に」

 ジャネットさんは、用意していたようにスラスラと言葉を並べる。

 その内容は魅力的だ。

 要は遊んで暮らせと。

 でもなぁ……と思っていたら『RPGプレイヤー』スキルが発動した。



『ジャネットさんの婿むこエンドに入りますか?』

 はい

 いいえ



 この野郎!

 久々に登場したと思ったら、変な選択肢出しやがって。

 普通は、エステルさんの所に行く前に出てくるべきだろうが!

 はぁ……、俺は小さく深呼吸した。


「俺はソフィア王女と婚約してますから」

 理由と共にジャネットさんにお断りを入れた。

 が、ジャネットさんは微笑んだままだった。


「問題ありませんよ、私がソフィア王女と話をつけますから」

「………………は?」

 返ってきたのは予想の斜め上の回答だった。

 いま、何て言った? この子。


「では、ソフィア王女が納得すれば問題ないということですね?」

「いや、ちょっと待」

 恐ろしいことに、俺がOKと言った風に解釈してないか?


「料理がきましたね。ここの料理長は知り合いなので特別メニューを作ってもらいました」

 しかも話題を変えてるし!


「ジャネットさん、あのですね……」

「ジャネット様、ローゼスの勇者様。料理のご説明をさせていただきます。本日の素材は……」


 なんか料理長の解説が始まった!?

 結局、有耶無耶に昼食は終わってしまった。


 バランタイン家のお嬢さまがご贔屓のお店とあって、とても美味しい料理だった。

 


 ◇



 俺は宿に帰って来た。

 ジャネットさんは、当然のようについてくる。

 しかもぴったりとくっついて。

 さすがに、宿では離れてくださいとお願いした。


「ただいま……」

 おそるおそる扉を開ける。


「マコト! やっと帰ってきたわね!」

「高月くん! 大変大変!」

 宿のロビーに入った途端、ルーシーとさーさんが走ってきた。

 何事?


「ノエル王女と、光の勇者様が来てるの!」

「ふーちゃんが大変!」

「姫が?」

 また何かあったのか? と思って慌てて二人について行った。



「月の巫女フリアエ……リョウスケさんにベタベタし過ぎです」

「あら、リョウスケは私に会いに来たのよ? 何か文句あるの?」

「彼は私の婚約者です。いいから離れなさい」

「束縛する女は嫌われるわよ?」

「なにを……」


 宿の一室で、修羅場が繰り広げられていた。

 腕組みをして、フリアエさんを睨むノエル王女。

 桜井くんの肩に、手を乗せ微笑むフリアエさん。


「……なあ、二人とも落ち着い……」

「リョウスケ、黙ってて」

「リョウスケさん、少しお静かに」

「……」

 オロオロする桜井くんとソフィア王女。


(……何やってんだよ)

 特にソフィア王女。


 俺はため息をつき、四人に近づいた。

 ルーシーとさーさんに話を聞いたところ、ソフィア王女と一緒にやって来たノエル王女と、フリアエさんの様子を見に来た桜井くんがバッティングしてしまったらしい。

 そこでノエル王女とフリアエさんが、バチバチとやり合っていると。


「おーい、桜井くん」

 俺は、幼馴染みに手を振って呼びかけた。

 さっきの太陽の勇者アレク相手に、一番に逆らってくれた時はカッコよかったのになぁ。

 まあ、女相手には優柔不断なのは昔からだ。


「っ!?」

 俺の声に、桜井くんよりも先にフリアエさんが反応した。

 フリアエさんが、桜井くんの肩にかけていた手をさっと下げ、両手を後ろに回した。

 少しだけ桜井くんから距離を取る。


「姫、桜井くんとイチャつくのもほどほどにな」

「ち、違うわよ!」

 声を裏返して否定してきた。


 違わないだろ。

 できればノエル王女の前では、やめてくれませんかねぇ。

 色々と助けて貰ってるんで。

 その後、ノエル王女と桜井くんも俺の方を振り向いた。

 

「マコトさん、今日は大変でしたね」

「ノエル王女、先ほどはありがとうございました」

 俺は、邪神の使徒である俺をかばってくれたことに御礼を言った。

 その時、ノエル王女が俺の隣に視線を向けた。


「ジャネット、マコトさんと一緒だったのですね」

「ええ……まあ。ノエル姉さまには関係ないでしょう……」

 ノエル王女とジャネットさんは、少しぎこちない。

「「……」」

 ノエル王女とジャネットさんの間で、少し気まずい空気が流れた。


「マコトさん」

 と空気を変えるように、ノエル王女がこちらへ話しかけてきた。


「あなたの信仰する女神様については、太陽の女神アルテナ様がお許しになっています。木の国スプリングローグ火の国グレイトキースでの功績を考えれば当然です。むしろエステルさんの発言がおかしいのです……昔は、あんな子ではなかったのですが……」

 マキシミリアンさんと同じことを言う。

 以前とは、性格が変わってしまった説だ。


 ……でもなぁ、多分あの巫女は……。

 あとで、ノア様に相談しよう。


「高月くん、どこに出かけてたんだ? 教皇様が邪神の使徒である高月くんに対して神殿騎士を差し向けようとしてるって噂もあるんだ。あまり出歩かないほうが良いよ」

 桜井くんが心配そうに言った。

 なんだって⁉


「それは知らなかったな……出歩く時は『変化へんげ』しておくよ。ありがとう、桜井くん」

「いや、出かけないほうがいいって言ったんだけど……」

 俺の言葉に、桜井くんが困った顔をした。 


「私の騎士、運命の女神の巫女エステルとの話はどうだったの?」

 会話にフリアエさんが割り込んで来た。

「「え!?」」

 ノエル王女と桜井くんが、驚きに目を見開いた。


「マコトさん! エステルさんに会いに行ったんですか!?」

「何を考えてるんだ! 高月くん!」

「色々有意義だったよ」

 俺は運命の女神の巫女エステルとの会話を共有した。

 途中、ジャネットさんからも補足してもらったので、内容に齟齬はないはずだ。

 ただ、ジャネットさん、くっつき過ぎです。


「……ふぅん、運命の女神の巫女は私の未来が視えないのね。それでよく勇者をけしかけてきたもんだわ」

 フリアエさんは不愉快そうに言った。


「でも、よかったよ。ふーちゃんはそんなことしないもんね」

「……てか、俺的には桜井くんのことが心配なんだけど」

 言うかどうか迷ったが、俺は巫女エステルの『光の勇者が死ぬ未来』についても伝えた。


 ……やはりというか、桜井くんはそのことを


 桜井くんの子供を作ることを、太陽の国が焦っているのもそのためらしい。


「高月くん、そんな顔しなくても運命魔法の未来予知は100%当たるとは限らない。むしろ悪い未来を回避するためのものなんだ」

「ああ……でも、気を付けてくれよ」

 俺は強いけど、お人よしの幼馴染みに言った。


「大丈夫です、リョウスケさん、マコトさん。太陽の国の総力を挙げて『光の勇者が死ぬ未来』を変えてみせますから!」

 ノエル王女が力強く断言した。

 愛されてるねぇ。


「運命魔法使いの私に言わせると、その未来は変えないほうがいいと思うけどね」

 そこに横やりを入れたのがフリアエさんだ。


「フーリ? 何言ってるのよ!」

「姫? どーいうこと?」

 フリアエさんの言葉には、さすがに俺やルーシーが非難した。


「未来視を変えるって、言うほど簡単じゃないの。それより『光の勇者が刺される未来』の可能性が高いなら、刺された後、どうやって救うかを考えたほうがいいわよ。そこの『光の巫女』が蘇生魔法を使えるんだし、刺された後に復活させればわざわざ未来を変えなくても平気でしょ?」

「そういう考え方もあるのか」

 なるほど……俺は感心して頷いた。


「僕もそう思う。下手に未来を変えようとして、より悪くなったり、別の事にまで影響が広がってしまう恐れがあるって大賢者様も懸念してたんだ」

 桜井くんも、フリアエさんの意見に賛成らしい。


 大賢者様の言葉なら、説得力があるな……。

 フリアエさん案のほうがいんだろうか?


「だ、ダメです! リョウスケさんが刺される未来をそのままにするなんて……!」

「わからない女ね。それがむしろ悪い未来を引き起こす恐れがあるのよ」

 ノエル王女は、あくまで未来そのものを変えよう派。

 フリアエさんは、未来の通りに動いてフォローしよう派。


 どっちの意見もわかるけど……。

 あーあ、ノエル王女とフリアエさんが再び言い争いを始めた。

 どうも、この二人は相性が悪いなぁ。

 

(桜井くん、後は任せたよ)


 そんなことを、のんびりと考えていた。

 色男は大変だねぇ。

 やれやれだぜ……。 

 さて情報はみんなに伝えたし、いつもの修行にでも戻ろうかな。



(マコト、一番重要なことを忘れたふりをするのはやめなさい) 

 はて、ノア様。

 何の話ですか?


「ところで、勇者マコトとジャネットさん」

 これまで静かにしていたソフィア王女がすっとやってきた。


「ああ、ソフィア……え?」

 ぐいっと腕を引っ張られた。


「いつまで腕を組んでいるのですか?」

「あ」

 しまった。

 気が付くとジャネットさんが、再び腕を組んでいた。

 ソフィア王女が、俺を引き寄せ、俺の腕に彼女の腕を絡めた。


「何か問題があります?」

 ジャネットさんは、涼しい顔で微笑んでいる。

 そして未だ俺の腕を離していない。


「あります。今すぐ離れなさい」

「あら、私はジャネット・バランタインですよ? ローゼス家の王女と言えど、命令される筋合いはありませんね」

 ジャネットさん、バランタイン家の威光を容赦なく使うんですね……。


「勇者マコトは、ローゼス家の一員です」

「今日、私がバランタイン家に入るようマコトに伝えました。色よい返事を貰えましたよ」

「「「ええっ」」」

 ソフィア王女だけでなく、ルーシーとさーさんの声が重なり、こちらを睨んできた。

 このままでは危険が危ない!


「ちょっと! ジャネットさん、違うって!」

 はやく訂正して!


「……高月マコトからは、婚約者がいるからと断られました」

 ジャネットさんが、しぶしぶ訂正してくれた。

 そのセリフに、三人がほっと胸を撫で下ろす。


「ですから時間をかけてマコトを落とします。というわけで、必ず振り向かせますから」

 ニッコリと、微笑むジャネットさん。

 ちょっ!?


「ローゼスの勇者であるマコトが、あなたになびくわけがないでしょう。そもそも私が許しません」

 冷たい目をしてソフィア王女が、言い放った。


「それはどうでしょうね?」

 が、ジャネットさんは不敵な態度を崩さない。

 ソフィア王女と話をつける、と言っていた。

 まさか、五聖貴族のチカラで無理やりとか……


「ソフィア王女。最近、ローゼス国内に狂暴化した魔物が増えていますね。今までなら火の国や、太陽の国から支援が貰えた。我が北天騎士団も、よくそちらへ行って魔物討伐を手伝っていました。でも、最近は対魔王の軍備増強のため、他国の軍があてにできない。仕方なく冒険者を募っているようですが、冒険者は高くつくうえ、後払いができず全て現金払い。ローゼスの財務を圧迫しているのでしょう?」

 ジャネットさんが語ったのは、俺の知らない事実だった。


「ソフィア……それって本当?」

「……事実です」

ソフィア王女が悔しげに言った。

 何で言ってくれないんだ、と思ったが……俺一人でどうにかできる問題じゃないか……。


「お金のことならふじやんなら……」

「実は……既に藤原卿には、かなりの額のお金を借りています」

 まじかー!?

 既に手が打たれていた。

 それでも、足りないと……


「私が高月マコトと婚姻ということになれば、北天騎士団が動かしやすくなります。ローゼスとバランタイン領は距離がありますので、北天騎士団の一部をローゼスに移してしまうのがよいでしょう。その分、維持費はかかりますが最近の魔物の出現状況を考えると、遊ばせることにはならないはずです」

 ジャネットさんの言い分は、理にかなっている……ように聞こえた。

 俺は政治は素人なのでわからないが、ソフィア王女が考え込んでいるのを見ると、おそらく真っ当な提案なのだろう。


「勿論、返事をすぐにとは言いません。が、自国の民のことを考えるなら……わかりますね」

「……ええ」

 真剣な顔で会話するジャネットさんとソフィア王女は、国の民を想う政治家の顔をしていた。


 ……俺の出る幕ではなさそうだ。


「ねーねー、マコト」

 ルーシーに袖をひっぱられた。

 振り向くとルーシーとさーさんが冷たい目をしていた。

「な、なにかな?」

「高月くん、他人事みたいな顔してるけど、あれって話が決まると高月くんがジャネちゃんの所に行っちゃうんじゃないの?」

 さーさん、その略し方はイマイチじゃない?


「いや、俺はローゼスの勇者のままだし、今まで通りマッカレンでいいんじゃないかな? あとジャネットさんは、旦那の条件がジェラさんに勝った男ってことらしいよ」

「それってほとんど候補が居ないんじゃ……?」

 俺と同じ感想を言うルーシー。


「なんだ、よかったー。じゃあ、ジャネちゃんは高月くんが好きってわけじゃないんだね!」

 さーさんの言葉に、ジャネットさんの眉がピクリと動いた。

 あれ? 前にこんな会話をしたような……。


「お待ちなさい、アヤさん。一つ、言っておくことがあります」

 ジャネットさんが向き直り俺の方を見た。


「私は……高月マコトに好意を持っています……」

「「「!!!」」」

 顔を赤らめながら、ジャネットさんが言った。

 ソフィア王女、ルーシー、さーさんが、はっとした顔になる。

 

「マコト……バランタイン城にあなたの部屋を用意しておきますね」

 俺の頬に手をかける、妖艶に微笑むジャネットさん。

 ペガサス騎士ナイトの時と全然違う!

 ぎり、という誰かの歯ぎしりが聞こえた。


「……さっきの話は、無しです」

「え?」

「北天騎士団の助力は要りません! 今すぐその手を離しなさい!」

「ソフィア王女……嫉妬で判断を誤るのは下策ですよ」

「判断を誤ってなどいません」

「話になりませんね」

 怪しい雲行きになってきた。


「……いいから離れなさい、行き遅れの騎士」

 ソフィア王女の言葉に、ジャネットさんの顔色が変わった。

 ちょっと!? ソフィアさん!?


「……頭の固い巫女ですね。そんなだと異世界の勇者に逃げられますよ」

 ジャネットさんのセリフに、ソフィア王女の目がますます鋭くなる。


「ジャネット、黙りなさい」

「黙らせてみたら? ソフィア」

 ソフィア王女とジャネットさんが、鼻が付くくらいの距離で睨み合う。


 あ、あれ……。

 どうして、こうなった?


「はい、ソフィーちゃん。ちょっと、落ち着こうかー」

 さーさんが、ソフィア王女をずるずる引きずっていった。


(高月くんの、あほー)

 そんな小声が聞こえた。 


「ほらほら、フーリ。こっち行くわよ」

 向こうではルーシーが、フリアエさんを引っ張っている。

 べー、とルーシーが舌を出した。


 ちらりと、桜井くんと目が合った。

 何とも情けないその顔は、きっと俺も同じ表情をしている合わせ鏡だろう。


(情けないわねぇ)

 女神様の言う通りだった。  

 



 ◇




 それからしばらくは、似たような日々が続いた。

 結局、ジャネットさんは北天騎士団をローゼスに貸し出す手配に動いてくれているらしい。

 団長である兄のジェラルドさんに相談したら「好きなだけ連れていけ!」と言ってくれたらしい。

 ジェラさん、マジ男前!

 

 あとは、

 タリスカー将軍が来て「火の国はマコト殿を支持しますから」と言ってくれたり。

 マキシミリアンさんが「何か困ったことがあればいつでも助けに行きますから」と言ってくれた。 


 桜井くんも顔を出しに来てくれる。

 ふじやんと一緒に男三人で飯を食ったり、昔話に花を咲かせた。


 ちょっとだけ問題なのが、

「あら、また来たのですか。行き遅れさん」

「石頭の巫女。こんにちは」

 ソフィア王女とジャネットさんのギスギスっぷりだ。

 一応、喧嘩しているわけでなく、北天騎士団の運用についての議論をしている。

 しているんだが、会話が怖い。

 ヒヤヒヤしながら隣で聞いている。

 ……俺を挟んで会話するんですよ、この人たち。



 ルーシーとさーさんには、毎日ぼやかれている。


「最近、一緒に居る時間が少ないんだけど? マコト」

「高月くんー、寂しいー」

「修行の時間は付き合うから! 時間を捻出します!」

 睡眠時間を削って対応している。

 昔、徹夜ゲームで鍛えた睡眠時間削減術がこんなところで役に立つとは。


(ほどほどにしないと、身体壊すわよ)

 は、はい。

 そうですね、ノア様。

 ご心配おかけして、すいません。


 ……ただ、結局のところ。

 

 みんな教皇や第一王子、巫女エステルのちょっかいがかからぬよう、気を使ってくれているのだ。

 だから、色々な人が集まってくれる。

 ありがたい。


 そんな日々が数日続き。


 ある日の朝、水の国ローゼスの騎士のひとりが息を切らせて走ってきた。

 とある知らせを持って。



獣の王ザガン海魔の王フォルネウスの両魔王軍が、西の大陸に進軍を開始しました!」



 戦争が始まった。

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