第7話 世界は破滅した様に見える
例えば。
もし、にい、が普通だったら?
私はきっと、にい、に出会えていないし、恋もしてないかも知れない。
それを考える度に運命って本当にアイロニーだなって。
思ったりもするんだ。
☆
私達をみんなは心配してくれて、そして私達はそれに答えた。
にい、は相変わらずだったけど、私は一生懸命に説明をしたよ。
「.....次の時間って何だっけ?」
「体育だね」
うーん、にい、の苦手なものだね。
今の状態でそれは結構最悪かも。
にい、は嫌な事から逃げやすいから.....。
でも、成績の為には仕方が無いんだよね。
「.....にい、大丈夫?」
「.....体育か.....だけど頑張るよ」
「え?」
珍しく、にい、は嫌がる様子も見せない。
私は驚愕していた。
にい、は体操服を持ってそれから歩き出す。
私の方をチラ見して、あ。
「.....待って、にい」
「.....」
私は一応、同級生に返事をしてから。
にい、と一緒に歩き出した。
早めに更衣室に向かう。
簡単に言えば、確認強迫。
別の部屋に移動するのも、結構大変なの。
でも珍しいな。
にい、がそんなに積極的に体育に行くなんて。
私は驚きながらも、少し嬉しかった。
☆
「.....女子と男子の混合?」
「そうらしいね」
同級生に聞いたらそんな感じらしい。
男子と女子の混合.....そうだ。
それだったら、にい、を見れるし側にいてあげれるね。
大丈夫かな、にい。
私は心配しながら、にい、を探した。
にい、は居なかった。
「あのバカ、また変な行動してやがるぜ」
「そうだな」
通りすがりの男子の言葉にムッとした。
確認強迫だね。
でもそれは仕方が無い事じゃない。
その様に思いながら、私は男子の更衣室に向かった。
☆
更衣室。
にい、居るかな。
私はその様に思いながら、ノックをする。
返事が無い。
居るはずなんだけど。
でも、仕方が無いと思う。
確認強迫のせいだから。
「.....にい、居る?」
更衣室を開けてみる。
明るい部屋の中、にい、は確認強迫に追われていた。
彼方此方を確認している。
私はそんな、にい、の肩を軽く叩く。
「.....にい、大丈夫だよ。そんなに確認しなくても.....忘れてないから.....」
「.....駄目だ.....母さんの言う事.....忘れて.....駄目だ」
「.....!」
確認強迫じゃなかった。
また、にい、の母親の事。
頭の中の強迫観念の様だった。
私は、にい、を抱きしめて子供の様にあやす。
「.....にい、落ち着いて.....大丈夫、大丈夫だから.....」
「.....無理だ.....もう終わりだ.....全てが.....」
「.....にい、大丈夫だから.....!」
世界が終わった様な顔をする、にい。
私は何もしてあげられない。
代われない。
だけど代わりに、にい、を抱きしめられる。
それだけで幸せだけど。
にい、がとても辛くて、可哀想だった。
どうしたら良いんだろう私。
もしかしたら私だけじゃもう限界なのかも知れない。
「.....にい、別のお医者さん行かない?近所のお医者さんに良い所知ってる」
「.....嫌だ。医者は母さんが認めない」
「.....でもこれ以上はもう限界だよ。にい、を見てられないよ.....痛いよ.....」
お医者さんには行ってるけど、何も改善しない。
それは、にい、のお母さんが適当に選んだから、だ。
それじゃ駄目。
絶対に改善しないと思う。
だから、私が別の所に連れて行ってあげないとって思う。
近所のこの前、知り合った、同級生のお医者さん。
そこは結構、お医者さんが優しいらしいから。
「.....にい、私ね。将来お医者さんになる。にい、を助けるから。絶対に.....!」
「.....医者なんて.....信用出来ない」
「にい.....お願い。お医者さんに行って.....」
にい、は驚愕した。
気が付くと、私は号泣していたの。
にい、を驚かしていた。
私も驚愕して。
そして目元を抑える。
「あ、あれ?えへへ.....私が.....あれ?」
駄目だ。
涙が止まらない。
鼻水も出る。
拭っても、拭っても出る。
「.....ご、ごめんね!にい!私が強くなきゃ.....」
「.....イルカ.....」
「つ、強くなきゃ.....」
にい、が本当に辛そうで.....仕方が無い。
涙が止まらない。
駄目、泣いちゃ駄目。
だけど。
「.....イルカ。そんなに.....俺の事を.....」
「.....えっと、えっと、ご、ごめんね。にい」
咄嗟の事に。
私は仕方が無かった。
すると、私の唇に。
突然、柔らかい感触が飛んで来たの。
にい、が両頬を抑えて、そして。
「.....!!?」
気が付くと、にい、とキスしていた。
にい、は直ぐに離れる。
そして、話した。
「.....ごめん、自分でもよく分からない。だけど、キスしたらって思って」
「.....」
涙が一瞬で止まって。
そして赤面に変わった。
まさかの事態に私は目を回す。
えっと、えっと!?
「.....これしか思いつかなかった」
「.....に、にい.....」
「.....俺は.....大馬鹿野郎かもな。対処法も分からない.....だけど、イルカの涙は止まった。取り敢えずは安心した」
私は、にい、の赤くなる様子に。
目をパチクリして、それから私も赤面した。
信じられない事に私は。
嬉しくて心臓がバクバクしていた。
「病院は嫌だ。だけど.....イルカが泣くなら行くよ。泣く姿を見たくは無い」
「.....にい.....」
にい、の様子に。
私はまた涙が出そうになったけど。
必死に堪えた。
それから、にい、に満面の笑みを見せる。
あ、体育.....行かなきゃ。
「.....にい、行ける?」
「体育か。行こうか.....確認も終わったし」
今日は記念日になった。
私の特別な、記念日に、ね。
とても嬉しかった。
属性は何を選択すればお嫁さんにしてくれますか? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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