第4話 私達の家の事
そう言えば私達の家の事を話して無かった。
にい、の家の人は、にい、の自閉症スペクトラムを今でも認識出来ないみたいで。
将来の為に私や、私の親が代わりに、にい、を病院に連れて行ったんだけどね。
でも、証拠を見せつけても認めなかったんだ。
今でも、にい、は家に帰るのが嫌みたい。
「.....今日も来る?にい」
「.....そうだな」
だから、よく私の家に、にい、はやって来る。
年頃の女の子の家に男の子っていうのもおかしいかもだけど、私は全然気にしない。
そんな事を、にい、が気にしないっていうことは知っているから。
言っちゃ駄目だけど、可愛いんだ。
にい、がとっても愛おしい。
だから私は。
必死に説得しているだけど。
にい、の家族は聞いてくれない。
認めたくないんだと思うけど。
「.....」
「.....どうした?」
「だ、大丈夫だから!気にしないでよね!」
ツンデレをしながら。
私は私の家に入って行く、にい、の背中を見る。
複雑だった。
本当に複雑な日々だよね。
にい、を認めたくないのは分かるけど、にい、の気持ちも。
考えてほしいって思う。
☆
「今日はトンカツよ」
「わあ、良かったね。にい」
「.....豚.....か.....」
少しだけ台所に向いて、直ぐに顔を背けちゃった。
にい、はリビングでとても熱中している。
何に熱中しているかって?
ライトノベルだよ。
私の側でずっと読んでる。
でも、そろそろ勉強しないと。
「.....にい、勉強しないと」
「.....」
一度ハマっちゃうと抜け出せないんだよ。
それに、ハマっちゃうと抜け出して、勉強するスタイルに入るのが大変。
臨機応変が苦手なんだよね。
でも、勉強はしないといけない。
「.....勉強しないなら私、あっち行くからね!」
ツンデレで対応してみる。
すると、にい、は目だけ向けてきた。
私はチャンスと思って、にい、に向く。
そして勉強道具を取り出した。
「.....にい、お勉強しよ」
「.....そうだな。ちょっと待ってくれ」
一呼吸、整えて。
そして、にい、はキッチリと荷物を置いて勉強の体制に入った。
私はそれを見ながら、勉強を教える。
勿論、私も勉強をするけどね。
「.....英語と数学は苦手.....いや.....全科目か」
「.....いや、全部が苦手じゃないじゃん。だって、保体好きでしょ?」
「.....」
苦手の分野の差が激しいんだよね。
0点が続いたりとかもあった。
私はそれを防ぐ為に、無理じゃ無い範囲で全科目、教えているんだ。
そのお陰で一応、にい、は赤点が防げてる。
でも英語のリスニングとかは相変わらず苦手みたいで。
0点が続いてる。
だから私はリスニングは放ったらかして、英語は他で穴埋めしてるの。
ノートも貸したりして写させてる。
「.....毎回毎回すまないな」
「.....うん、大丈夫だよ.....あ、大丈夫なんだからね!」
「.....ハハッ」
にい、は保体に対する強さは凄いと思う。
教科書のページを捲っただけで100点が取れるんだから。
だからそれだけ活かせば他はどうだって良いんだ。
でも、一応、学校で必要だから教えているんだけどね。
「にい、美味しそうな匂いだね」
「.....」
「駄目か」
熱中している、にい。
私はその様に思って、苦笑してから。
教科書を読んだ.....って。
「.....キスシーン.....」
教科書に偶然に絵でキスシーンがあった。
私はモヤモヤと頭に浮かべてしま.....。
直ぐに首を振った。
ダメダメ。
集中しないと。
「.....にい?」
「.....」
よく見ると。
にい、もキスシーンを見ていた。
私はそれに少しだけ緊張して、それから直ぐに教科書を閉じさせる。
「.....あまり見ちゃ駄目だよ。にい」
「.....なぁ、イルカ.....お前.....色々な奴らに告白されていたんだよな?大変だったな」
「.....ふえ?」
そんな労いの言葉を聞くとは思わなかった。
私は目をパチクリして、赤面する。
横を見て、そして目を潤ませる。
「.....有難う.....」
「.....は?」
「.....な、何でもないわ!深追い禁物!!!!!」
ツンデレで返す。
だけど、曖昧なツンデレになっちゃった。
何だろう。
心臓がバクンバクンと、かなりマズイかも。
そんな事を心配されるって思わなかった。
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