如月芳美「ゆきおんな」

「あの、相席、かまいませんか?」


 顔を上げると、見たことも無いような美少女がアイスティーを片手に立っていた。


「あ、どうぞ」

「ありがとう」


 周りを見渡すと、確かに席はみんな埋まっていて、相席にするほか無さそうだ。

 だけど、なにも俺んとこ来なくても、イケメンいっぱいいるぞ?


「何してたの?」


 いきなりその子が声をかけてきた。


「あ、本読んでた、家のエアコン壊れててさ」

「邪魔しちゃったね。ごめんなさい」

「いいんだ別に。ただの暇潰しだから」

「よかった」


 笑顔がクールだ。声も低めで落ち着いてる。

 同い年くらいかな? もうちょっと下? 高校生?

 涼しげな瞳が印象的な東洋の美女という感じだ。

 体つきもスマートで……胸も絶壁だけど、まあモデル体型?

 真夏なのに真っ黒のロングスカートと長袖のブラウスを着てる。

 あんまりガン見したら変態だと思われるか。


 彼女は長い髪を後ろへ追いやるとひとこと「ユキ」と言った。


「え?」

「名前。あなたは?」

「あ、俺、ヨシミ」

「へえ、女の子みたいな名前ね」

「よく言われる」


 それから俺たちは意気投合し、カラオケへ行って、そのままホテルへ行った。




 ユキは慣れていた。

 部屋に入るなり壁に押し付けられてキスされた。

 逆壁ドン喰らうとは想定外だ。


「ヨシミかわいい。初めて?」

「ま、まさか」


 童貞じゃないけど、そんなに数はこなしてない。

 ユキに引っ張られて一緒にベッドへダイブした。

 めっちゃ積極的だな。

 俺のナニは準備万端だってのに、ユキがジーンズの上から撫でまわしてくるから、もう爆発寸前。


「ちょ、待てって」

「ごめん、シャワー浴びる余裕ない。脱がせて」


 こんなこと言われて我慢できるかっての。

 ユキの猛烈なキスの嵐を受けながら、俺は彼女のボタンを外して行く。

 ブラウスを肩から滑り落とすと、恥ずかしそうに胸元を隠した。


 あれ? ブラジャーしてない?

 いくら絶壁だからってそれは……


「ねえ、ヨシミはどっち? 私どっちもいけるんだけど」


「ちょっ……ユキ、おんな?」


「ううん、オトコ♡」

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