第40話 赤いチョーカー

 男ばかりで集まって居酒屋で酒を飲んだ帰りに、淳志たちはゲームセンターに立ち寄った。しばらくクレーンゲームをして遊んだ後で、悪乗りした友達がプリクラを撮ろうと言い出して、七人で押し合いながら機械の中に入った。

「いい年して男だけでプリクラってさ」

「さびしすぎるよな」

「いいじゃんか。暗いこと言うなよ。ノリだよ、ノリ」

 出てきたプリクラは七人で切り分けて持って帰った。

 二日酔いで目覚めた淳志はテーブルに落ちているプリクラを見て首をかしげた。

 プリクラの中央に見覚えのない女が写っていた。冬だと言うのに肩の出たワンピースを着て、茶色い髪を頭の後ろでまとめ、首には赤いチョーカーのようなものを巻いている。

「なんだこれ?」

 淳志は目を細めた。

 男は六人しか写っていなかった。

 一人ひとり顔を確かめて、飲み会の幹事をしてくれていた友達がいないのが分かった。

 淳志はまずその友達に電話をかけてみた。しかし、家にかけても携帯にかけても電話がつながらなかった。そこで、別の友達に電話をした。

「どうしたんだよ、こんな朝っぱらから」

「昨日撮ったプリクラを見てくれ」

 淳志が言うと、友達は面倒くさそうにため息をついた。

 電話の向こうからガサガサ音が聞こえる。

「あったけど、これが何?」

「真ん中に女が写ってないか」

「あれ、これってヤスの元カノじゃん」

 ヤスは写真から消えていた友達だ。

 何となく嫌な予感がして鼓動が早くなった。

「その元カノって今どうしてんの?」

 淳志がたずねると、友人ははっと浅く息をして黙り込んだ。

「どうしたんだよ?」

「この子、たしか四ヶ月前に死んでる……」

「死んでる?」

「かなり病んでる子で、それが重いからってヤスが振ったんだ。そしたら、一週間後に自殺したんだって」

「もしかして首吊り?」

 女は首に赤いアクセサリーをつけていた。だが、目を凝らすとそれはこすれた傷にも見える。

「合鍵でヤスの部屋に入って、ドアノブに延長コードを巻きつけて死んでたらしい」

 電話を切った淳志は心配になってヤスの家に行った。すると、家の前にはパトカーと救急車が停まっていて、救急隊員たちがストレッチャーを救急車に積み込もうとしているところだった。救急隊員の体に隠れて顔は見えなかったが、ストレッチャーに乗せられた人の首には赤い痕がついていた。

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